テレビで見る度、このドイツの首相は何か違うな、と自分より2つ年下の類い希な政治家を思ってきた。静かな威厳、確固とした信念、深い人間性。ドイツだけで無くヨーロッパの中心だった政治家の誕生から退任までの評伝『アンゲラ・メルケル』(東京書籍)を半分読んだ。期待に違わない面白さというか、予想できない凄まじい世界で権力をしたたかに掴み巧みに行使した才能と事実に驚く。周囲の「エゴというものがなく、もっと言えば虚栄心が無かった」、本人の「虚栄心の強い方ではありません・・・・虚栄心を利用するのがうまいのです」という言葉に立ち止まる。
辞書に、実質が伴わないのに見せかけだけで人に良く思われようとする心(=虚栄心)、自分自身を相当な存在であると思い込むこと(=自尊心)とある。権力を誰のためにどう使うかが政治家の仕事だが、権力や虚栄心、自尊心の扱いを間違えなかったメルケルと、公邸忘年会の某国首相のアホさ加減酷と比べ、そんなのをトップにしておく国民レベルの違いにもウンザリする。
話飛ぶが、教員は、民主的で平和な公的意見の割りに、内輪での考え方や振る舞いに驚くような虚栄心や間違った自尊心を感ずることがある。功成り遂げた退職校長に多い。あの波風氏も「先生病は簡単には治りませんね」と少し偉そうな口をきくとママヨさんにピシリと指導される。その根源を考えると、教育というのは古い人間が古い価値感をもとに新しい人が新しい価値感で生きられるよう教える仕事から来ているからかもしれない。不思議なことに、教員は初めから死ぬまで「先生」と言われるから間違い続ける。
だから、時々自分を冷静に見つめて「俺は偉くないぞ」と偉そうに(笑)ブログなとで表明しなければいけない。
「社長になりました」と教え子があいさつに。「先生はタバコのことを正直に言ったら親に言わないと約束したのに夜に家庭訪問した」と言われた。会うたびにこれを言われる(笑)ウドン食べに来たいと言う。嬉しい 「立男さんは目立つことが苦手で嫌いな人」とママヨさん。「人と何かするシナリオ書いて喜んでいる人」とも。虚栄心は利用して吉だね
明日6月5日(月)22:00~視聴者投票1位『映像の世紀(ベルリンの壁崩壊とメルケル)』(NHK)、これとても良かったよ。