波風立男氏の生活と意見

老人暮らしのトキドキ絵日記

『自分以外全員他人』を読む

2024年01月13日 | 読書

今年初の小説自分以外全員他人』(西村亨著:筑摩書房)を読む。「猛烈に面白かった・・・・善良さや純粋さを蹂躙する社会の悲劇を見ているはずがなぜだか笑ってしまう。猛烈に面白かった」という新聞書評を見て図書館に行ったら貸してくれた。
マッサージ店で働く44歳独身の主人公。繊細で人づきあい苦手、暴発してしまう前に自死し生命保険を家族に渡すことだけを希望に生きながらえている。

人に過剰な親切を見せながら、決して踏み込まれないよう壁を作り、人を好きになることも好かれることにも罪悪感を覚え、気の合う人と出会っても、関係が深まりそうになるとわざと嫌われるような真似をして遠ざけた。自分といたらきっとその人は不幸になる(P105) 「ここがこの小説執筆の肝だろう」と付箋を貼っていた波風氏。真面目に考え過ぎたら、(動植物の命を食べること含めて)誰にも迷惑をかけずに生きることも、死ぬことも容易ではない。優しく孤立しがちな(表面的にも内面的にも)人間に、何かの拍子に生死の選択をあいまいにさせてしまう今の社会と時代。

事件らしい事件無く、淡々とした日常が続き、最後の最後近くまでどんでん返しや伏線改修といった「へーっ!」は全くない。だが、生きる時間が未だたくさんあるのに生きることに限界を感じ唯一の希望である自死に向かう姿は、悲劇そのものだが外側から眺めている者には書評の通り実に喜劇。誰の人生もそんなものかもしれない。本作が昨年度の太宰治賞、妙に納得。最後の高揚場面、あれで主人公の唯一の希望はどうなる?


一気呵成に読んだ。ママヨさんも読みたいと言うので、図書館に返却日延長お願いしなければ。つきあいが長くなったり、仲の良かった人にもう1人加わって3人グループになったら私は必ず外されるのでその前に身を引く、と言っていた人を思い出した 来週初め、雪だるまが斜めになり斜線の暴風雪警報マークが、小さな雪だるま&雲マークに変わった。そのままよろしくお願いしますね。

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抜き人

2024年01月09日 | 日記・エッセイ・コラム

終の車 昨年末に12年目直前の波風号が坂道で雪に埋まり、「もう良いかなまで乗って免許返納」の計画揺らいだまさにその時、車屋さんが2024年カレンダー配付で来宅。「良いタイミングで来てくれるものだなあ」と商談開始。D社の可愛い顔したのを見積もってもらいさて契約という前日、安全検査不正のニュース。急遽S社の雪に強く可愛い顔したのに変更。危ない危ない。タイミングの妙というか、運不運の分かれ目を覗く2024年の幕開け。

書初め 波風家の正月恒例イベントだが今年は未だ。その年1年の目標を書いているが、折々に不思議に思い出し「そうだよなあ」なんて気を引き締めたり緩めたりする。昨年は「難しいことをこつこつと」だった。今年は、自分らしい時間の使い方にしたいが、言葉先行・内容貧困なので検討中。

読書初め 岩波ブックレット『検証 ナチスは「良いこと」もしたのか』、『女の一生』(伊藤比呂美著:岩波新書)、『手塚治虫と戦争』(手塚治虫著:手塚眞監修:小学館)、今読んでいる『自分以外全員他人』(西村徹著:筑摩書房)。今年最初の読書交流会『ほんのおつきあい』は1月28日(日)にいつもの時間で開催予定。


画像は鉄の彫刻『抜き人』、は嘘で(笑)鉄製の栓抜き。子どもの頃からずうっと台所にあって家庭を持った時に貰い捨てるに捨てられない道具。あぐらをかいた人が大きく背伸びしているように見え、アフリカ彫刻の風体 車は顔つきが可愛いのが好き。ギラギラと威圧するの嫌い。選ぶ車種は意外に絞られる。装備や金額も大事だが「いつまでも飽きがこない(と思える)庶民的な」顔とスタイル重視の波風氏。外国車には好きなのが沢山あるけれど・・・・。

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嫌な始まり

2024年01月04日 | 日記・エッセイ・コラム

死者73人、3.7万人避難の最大震度7強の能登半島地震。この地域、この3年間で震度1以上の揺れ433回、昨年は震度6強も。よりによって1月1日にこんな大災難なんて!
感じたのは、揺れる土地に住んでいていつか大被害受けるかも知れないと思っていても住み着いたところから動かない、動けないこと。火災200件以前の観光名所「朝市通り」をグーグルマップで検索したら、古民家立ち並ぶ実に雰囲気ある街並み。年末の夕食後、「今、少し揺れなかった?」、「何も感じませんけど」ということがあったがそんなことでも気味が悪かった。
緊急警報後に直行で「能登半島   原発」のスマホ検索。もし原発事故あれば半島北の住民は避難困難を思い出した。「地震→津波→原発=天災+人災」を心配しなければならない国は本当に恐ろしいし絶対に間違っている。電気代と原発稼働を天秤にかける馬鹿にはなりたくない。

海保機5人死亡、JNN機炎上のニュースが次の2日に。羽田空港が国際線の導入で過密状態と聞いていたが、こんなことが起きるなんて。ニュース画像で見る限り旅客機の379人全員脱出は奇跡。海保機が地震の救援物資運ぶ離陸態勢での事故とは。
昨年末、ママヨさんが当地と羽田間で行きも帰りも悪天候で運休遅延。「危ないなら飛ばないのがベスト」と思っていたが避けられない事故原因があったとは。
若い時は平気だった「魔の11分」(世界の航空機事故の7割が離陸時の3分、着陸時の8分)、今は心から恐ろしい。羽田の空から見る灰色に光るビル群を「まるで墓石が並ぶ墓地のよう」とママヨさんが呟いた言葉がずうっと忘れられない。今回の事故の原因は未だ不明だが、人がすることには必ず失敗があるをあらためて実感。平穏な日々の暮らしが、一見障害物の無い雪原のようだが、薄い氷の上を運良く割らずに歩いているだけ、という感じがする。


いつもなら書き初めする三が日、今年はとてもその気になれない。「自分たちらしい時間で暮らす」を考えていたのだが おせち料理を作らなくても困らないもんですね、と東京帰りの疲れ覚めやらぬママヨさん。チャーシューや海鮮巻などの手作りが、レトルトやレンジでチンの合間に増えてきた地震と飛行機事故で苦しんでいる直後の人々へのマスコミインタビューが行われていないことは良いこと。自民党裏金とお笑い芸人の性加害を腰据えて報道しないのは悪いこと。※死者92人、安否不明242人、避難者33.055人(1月5日昼現在)

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新しい時が始まる

2024年01月01日 | 日記・エッセイ・コラム

1月1日が月曜日なのは何となく気分が良いね。なにごともケジメが大事、と思うのは我ながら老人くさい。老人が老人くさいと言ってどうなの?と思う年頭、読者の皆様、今年もヨロシクの心です。こんな感じでブログを書き続けたい気持ちなのだあ。(「小沢昭一的心」風に)

辰年生まれが日本全体で男488万人、女517万人。今年3月に72歳になる波風氏と同じ52年生まれが163万人で、84歳の辰年112万人、12歳の辰年104万人、48歳180万人が最多(総務省発表)。この数字とてもヤバイ感じ。あと少ししたら「人間少なくなったなあ」となり今の暮らしが立ち行かなくなる不安。
今日来た年賀状に「来年は出しません」が沢山混じっていた。(情報化+高齢化+郵便代値上げ)×老人的億劫さ=年賀状自主的廃止で実に仕方の無いこと。緊張して作った「辰年の年賀状」の子ども時代、年賀状待っている心はわけもなくワクワクしていたなあ。これも老人くさい語りかなあ。


画像は、歯医者さんからご要望の歯磨き時計。某歯科医待合室で時を刻んでいるはず。相当に長く待たされ見続けないと歯磨きを感じないなあ(涙)明日、波風家恒例(この字を書きたかったのに「高齢」と出た)の書き初め。波風氏は「時」について考え中 昨年は14個、今年は7個。前者は昨年の忘れられない出来事、後者は今年の実行目標。

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