*ついでに映画版のお話も
チャップリン映画『キッド』の名子役、ジャッキー・クーガン坊やが8歳でタイトルロールを演じた1922年版、デヴィッド・リーンが監督した1947年版、そして「涙のあと幸せはやってくる」のキャッチでおなじみ、ロマン・ポランスキー監督の2005年版と、何度も映画化されているチャールズ・ディケンズの名作ですが、ミュージカルを映画化したのは1968年制作のこれ1作だけ。
----------------------------------------------------
原題:OLIVER! (1968年イギリス/146分)
監督:キャロル・リード
原作:チャールズ・ディケンズ
脚本:ヴァーノン・ハリス
音楽:ジョン・グリーン、ライオネル・バート
出演:マーク・レスター、オリヴァー・リード、ロン・ムーディ、
シャニ・ウォリス、ジャック・ワイルド、シーラ・ホワイト、
レナード・ロシター
----------------------------------------------------
チャールズ・ディケンズの「オリバー・ツイスト」を、『第三の男』のキャロル・リード監督が映画化。
大ヒットしたミュージカルを忠実に映画で再現したという印象です。
貧乏人が生活苦にあえぐ19世紀のロンドンを舞台に、母親を知らず救貧院で育ったオリバー少年の数奇な半生が描かれています。
絶望と飢えの世界から逃れ、ロンドンにたどり着いたオリバーはスリの少年ドジャーと出合い、彼らの仲間に迎えられます。
初仕事は失敗するものの、それがきっかけで実の祖父母と叔母(後に判明)に会えることになる、まあ紆余曲折の末にハッピーエンドという健全なお話です。
「もっと食べ物を下さい」と抗議したばかりに救貧院を追い出され、わずかな金で葬儀屋に売り飛ばされ、逃げ出してスリの手伝いをしていたと思えばお金持ちの老紳士に同情されて小公子に。
やっと幸せになれるのかと思えば、街で仲間に見つかり連れ戻され―と、その紆余曲折が長いんですが、、、
『小さな恋のメロディ』を先に観て、ジャック・ワイルド目当てで本作に辿り着きました。
キャロル・リードのミュージカルなんてあんまりピンと来なかったけれど、これでオスカー獲得しちゃったんですよね。
実際、歌も踊りもすごく良かったですが、私はセットと衣装が時代を上手く表現していて素晴らしかったと思います。
ミュージカルシーンで印象的だったのは、ドジャーとオリバーが街を駆け回りながら歌う「Consider yourself」、薔薇を売る女性が登場する「Who Will Buy?」、スリの子供たちと彼らのマドンナ的存在ナンシーがいっしょに歌い踊る「I'd Do Anything」。
前2つは大掛かりな屋外セットをダイナミックに使った躍動感がいいし、3つ目は振付がとても楽しい。
しかし、なんだかんだ言っても、本作の魅力はこの2人に尽きます。マーク・レスターは健気で可愛らしいし(歌吹き替えはチョト残念だけど)、ホントはいいとこのボンボンって雰囲気もあって、オリバー役にピッタリ。
でもでも、私はやっぱりドジャー役のジャック・ワイルドが好き

この時16歳ってのにもビックリだけど、歌も踊りも演技もスバ抜けて上手すぎ! オリヴァー・リード、ロン・ムーディを完全に喰っているシーンさえありましたぞ! 本作が映画初出演にして、いきなりアカデミー助演男優賞にノミネートも納得です。
こんなに才能があっても映画界でパッとしなかったのは、一体何が原因だったのか? 53歳の早すぎる死も残念でなりません。
最近約90分の新規映像+音声特典を収録したDVD「製作40周年アニバーサリーエディション」が発売になったので、また観てみようと思います。
■可愛い画像が盛りだくさんの
英国のサイト を発見!

画像は全てそちらから拝借しました。