読売オンラインの記事(*1)によれば、江戸時代の日本画家、伊藤若沖の絵に、プルシアン・ブルーが使われていることがわかったそうです。「若沖 奇想のブルー、群魚図で舶来人工顔料使用」などと題された新聞記事のほうにはカラーの写真が掲載されており、なるほど、「ルリハタ」の鰓の付近に青い色が使われているのがわかります。下地にプルシアンブルーを用い、その上に墨で模様を描いているのだそうで、効果的な着色と感じます。
この「群魚図」(*2)の左下隅に描かれた「ルリハタ」という魚のほぼ全面に、プルシアンブルーの成分である鉄が、蛍光エックス線分析で確認されたとのこと。プルシアンブルーというと、その昔、中学生の頃にいたずらした、青写真の実験でおなじみの物質です。たとえば鉄(III)イオンFe3+ にヘキサシアノ鉄(II)酸イオン[Fe(CN)6]4- を加えると生じる、あの濃い青色の沈殿。発見されたのが1704年のドイツといいますから、たぶんその数十年後に日本に輸入され、若沖やその他の画家らによって使われたのでしょう。鎖国の時代、人の出入りは禁じられていましたが、こうした人工顔料が入っていたということは、文物の輸入はかなりあったということなのでしょう。
ただし、Google で「ルリハタ」で画像検索すると、これはまた鮮やかな青色で、必ずしもプルシアンブルーのような暗い青色ではないみたい。このあたりは、写実的な意味でプルシアンブルーという顔料を選び使ったのではないのかもしれません。
(*1):若沖の一幅、「プルシアンブルー」で彩色か~「読売ONLINE」より
(*2):「皇室の名宝展」の『動植綵絵』
この「群魚図」(*2)の左下隅に描かれた「ルリハタ」という魚のほぼ全面に、プルシアンブルーの成分である鉄が、蛍光エックス線分析で確認されたとのこと。プルシアンブルーというと、その昔、中学生の頃にいたずらした、青写真の実験でおなじみの物質です。たとえば鉄(III)イオンFe3+ にヘキサシアノ鉄(II)酸イオン[Fe(CN)6]4- を加えると生じる、あの濃い青色の沈殿。発見されたのが1704年のドイツといいますから、たぶんその数十年後に日本に輸入され、若沖やその他の画家らによって使われたのでしょう。鎖国の時代、人の出入りは禁じられていましたが、こうした人工顔料が入っていたということは、文物の輸入はかなりあったということなのでしょう。
ただし、Google で「ルリハタ」で画像検索すると、これはまた鮮やかな青色で、必ずしもプルシアンブルーのような暗い青色ではないみたい。このあたりは、写実的な意味でプルシアンブルーという顔料を選び使ったのではないのかもしれません。
(*1):若沖の一幅、「プルシアンブルー」で彩色か~「読売ONLINE」より
(*2):「皇室の名宝展」の『動植綵絵』