goo blog サービス終了のお知らせ 

電網郊外散歩道

本と音楽を片手に、電網郊外を散歩する風情で身辺の出来事を記録。退職後は果樹園農業と野菜作りにも取り組んでいます。

サリエリ「フルートとオーボエのための協奏曲」を聴く

2009年10月13日 05時30分52秒 | -協奏曲
先日の山形交響楽団のモーツァルト定期で聴いたオーボエ協奏曲をきっかけに、なんとなくいろいろな作曲家のオーボエ協奏曲を集めたCDを聴いております。たとえばこのアントニオ・サリエリ作曲「フルートとオーボエのための協奏曲」。こういう音楽史の逍遥が可能な点は、CD 等の録音技術の恩恵を感じるところです。

第1楽章、Allegro spirituoso アレグロ・スピリチュオーソ、と読むのでしょうか。速く、気品を持って、といったところか。オペラの序曲のような始まりです。オーボエとフルートが小鳥のように呼びかわし、ソプラノとメゾソプラノの二重唱のように、寄り添いながら技巧を聴かせます。決然とした弦楽合奏の軽やかさも楽しい。
第2楽章、ラルゴ。ゆったりとしたテンポで、弦楽のやわらかな始まり。オーボエ・ソロが入ってくるとフルートがこれに答え、二本の笛が、やっぱりオペラ・アリアの二重唱のように歌います。シンプルな中にも様々なニュアンスをこめて、ほんのり翳りをおびた曲想の転換など、まことにオペラを得意とした作曲家らしい作りです。
第3楽章、アレグレット。フルートとオーボエのデュエットから始まり、躍動的なオーケストラがこれに答え、活発なフルート・ソロが続きます。ここでは、華やかな二本の笛の掛け合いとともに、これに合わせる小編成のオーケストラの躍動感の見事さを注目しておきたいところです。

演奏は、Andre Lardrot(Ob)、アントニオ・ヤニグロ指揮イ・ソリスティ・ディ・ザグレブ。CD は、Romantic Oboe Concertos というタイトルの Briliant の2枚組(99525)。演奏データは、

■Andre Lardrot(Ob), Antonio Janigro, I Solisti Di Zagreb
I=7'10" II=7'03" III=5'20" total=19'33"



サリエリというと、映画「アマデウス」での悪役のイメージが強いわけですが、実際はどうだったのか、事実に即した、比較的公平な見方と思われる記事を探してみました。どうも、芝居や映画の筋書きや設定をうのみにはできないようで、モーツァルトの音楽を理解し、演奏の機会を与え、ベートーヴェンやシューベルトなど多くの若い音楽家を無償で育てた音楽家、という理解が公平な見方のようです。映画「アマデウス」の面白さは認めつつ、サリエリの描き方は、ややゴシップ趣味に走りすぎているように感じます。

(*1):Wikipediaにおけるサリエリの記述
(*2):サリエリはむしろモーツァルトの理解者だったのでは?
(*3):作曲家別作品紹介:サリエリ
コメント (5)