6月の第3日曜日、例年であればサクランボの収穫シーズン真っ盛りなのですが、今年は例年になく早い収穫で農作業も一段落、安心して山響こと山形交響楽団(*1)の第310回定期演奏会に出かけました。お昼を早目に食べ、時間に余裕を持って出かけた結果、駐車場は無事に確保でき、会場の山形テルサホールに入場します。恒例のプレトークは西濱事務局長と指揮者の二人でやり取りするのがパターンなのですが、今回は指揮者のラデク・バボラークさんがドイツ語で話すということで、ドイツ語はさっぱりの西濱事務局長のために特別通訳をゲストに迎えたとのこと。誰だろうと思っていたら、なんと、常任指揮者の阪哲朗さんでした(^o^)/
パンフレット内の阪さんの文章の中にも触れられていましたが、実は阪さんがスイスのビール歌劇場で働いていた頃、チューリヒの国際音楽コンクールでスイス・ロマンド管弦楽団と共にビール歌劇場管弦楽団も伴奏を受け持っていたのだそうです。今から30年前の1993年に、まだ10代のバボラークさんがホルンでコンクールに参加し、1位なしの2位になったのだそうな。楽員は2位じゃなく1位だろうと審査委員長に食い下がった一幕があったのだそうです。阪さんとバボラークさんはそのとき初めて言葉を交わした御縁でしたが、バボラークさんはベルリン・フィル等の首席奏者を経て指揮をするようになり、30年後の今は互いに山響の指揮者として仕事をしている不思議さに驚く、とのことでした。うーむ、それは本当にご縁としか言いようがないですね〜。
さて、本日のプログラムは、
というものです。素人音楽愛好家としての楽しみポイントは、まずロゼッティのホルン協奏曲という音楽に初めて接することと、ベートーヴェンの序曲をどんなふうに鳴らすのか指揮者としての方向性への興味、そして何と言ってもチェコではニューイヤーコンサートの曲目となるというドヴォルザークのスラブ舞曲集第1集を生で聴けること、でしょうか。
第1曲、ベートーヴェンの劇音楽「エグモント」序曲です。楽器編成とステージ上の配置は、正面左から第1ヴァイオリン(8)、第2ヴァイオリン(7)、ヴィオラ(5)、チェロ(5)、右端にコントラバス(3)という 8-7-5-5-3 の弦楽5部に、正面奥にフルート(2)、オーボエ(2)、その後方にクラリネット(2)、ファゴット(2)、正面最奥部にトランペット(2)、右奥にホルン(4)、左奥にはバロック・ティンパニというものです。コンサートマスターは高橋和貴さん。
「エグモント」序曲の冒頭、わざとずらしたようなズザーっという始まり方に、ヨーロッパのオーケストラの響きの流儀だと感じます。そして、中〜低音域をしっかり響かせて、力強い堂々たる音楽の歩み、立派な響きです。ああ、いいなあ。盛り上がって曲を終えた後、指揮者は木管セクションを立たせ、次いで全員を立たせて聴衆の拍手を受け、退きました。
次は、期待の第2曲め、ロゼッティのホルン協奏曲です。楽器編成はぐっと小さくなって、6-6-4-3-2 の弦楽5部にHrn(2), Ob(2)というもの。真ん中の指揮台を撤去し、ここに独奏ホルンと指揮のバボラークさんが立ちます。初めて聴くロゼッティの変ホ長調のホルン協奏曲、第1楽章:アレグロ・モデラート。小さめな編成のオーケストラが優雅な主題で始まると、ここがけっこう長くて、なかなか独奏ホルンが始まりません。まもなく独奏ホルンが同じ主題を奏して協奏曲らしい展開となりますが、印象的にはモーツァルトと同じ時代というのが頷ける雰囲気です。ただし、ぐっと技巧的なパッセージも多く、苦もなく流れるように演奏され、柔らかい音色が弦楽ともしっとりとマッチするのを体感すると、名手の名手たる所以を実感します。この印象は、第2楽章:ロマンツェ、アダージョ・ノン・タントに入っても変わらず、弱く優しく吹奏される音楽の、独奏ホルンの音が静かに響く時間が実に貴重な経験です。そして第3楽章:ロンド、アレグレット・ノン・トロッポと指示された、速く軽やかな音楽です。独奏ホルンは、非常に速いパッセージも難なく通過し、軽快さも感じさせます。チェロのピツィカートのムチのような音も面白いものです。初めて聴く曲ですから断片的な印象にとどまりますが、モーツァルトとほぼ同時代の音楽、モーツァルトのホルン協奏曲に影響を与えたと言われているらしい優雅な音楽に満足した日でした。
3曲めはベートーヴェンの歌劇「フィデリオ」序曲です。楽器編成は 8-7-5-5-3 の弦楽5部に Fl(2), Ob(2), Cl(2), Fg(2), Hrn(4), Tp(2), Tb(2), Baroque Timp. というものです。ベートーヴェンらしい、劇的な開始です。管楽器群の互いに溶け合ったようなハーモニーがステキで、バロック・ティンパニの音と共に次第に緊張感が高まります。爆発するようなエネルギーと共に展開される音楽は、聴きなれた序曲ですが、また新鮮な印象を受けました。
ここで15分の休憩。物販も再開されたようで、せっかくですので新TシャツとバボラークさんのCD2枚を購入して来ました。
(〜今日は畑仕事でくたびれましたので、この続きのドヴォルザークはまた明日〜)
(*1): 山形交響楽団公式ホームページ
パンフレット内の阪さんの文章の中にも触れられていましたが、実は阪さんがスイスのビール歌劇場で働いていた頃、チューリヒの国際音楽コンクールでスイス・ロマンド管弦楽団と共にビール歌劇場管弦楽団も伴奏を受け持っていたのだそうです。今から30年前の1993年に、まだ10代のバボラークさんがホルンでコンクールに参加し、1位なしの2位になったのだそうな。楽員は2位じゃなく1位だろうと審査委員長に食い下がった一幕があったのだそうです。阪さんとバボラークさんはそのとき初めて言葉を交わした御縁でしたが、バボラークさんはベルリン・フィル等の首席奏者を経て指揮をするようになり、30年後の今は互いに山響の指揮者として仕事をしている不思議さに驚く、とのことでした。うーむ、それは本当にご縁としか言いようがないですね〜。
さて、本日のプログラムは、
- ベートーヴェン:劇音楽「エグモント」作品84 序曲
- ロゼッティ:ホルン協奏曲 変ホ長調 C.49/K.III:36 ラデク・バボラーク(Hrn)
- ベートーヴェン:歌劇「フィデリオ」作品. 72c 序曲
- ドヴォルザーク:スラヴ舞曲集 第1集 作品46
ラデク・バボラーク指揮、山形交響楽団
というものです。素人音楽愛好家としての楽しみポイントは、まずロゼッティのホルン協奏曲という音楽に初めて接することと、ベートーヴェンの序曲をどんなふうに鳴らすのか指揮者としての方向性への興味、そして何と言ってもチェコではニューイヤーコンサートの曲目となるというドヴォルザークのスラブ舞曲集第1集を生で聴けること、でしょうか。
第1曲、ベートーヴェンの劇音楽「エグモント」序曲です。楽器編成とステージ上の配置は、正面左から第1ヴァイオリン(8)、第2ヴァイオリン(7)、ヴィオラ(5)、チェロ(5)、右端にコントラバス(3)という 8-7-5-5-3 の弦楽5部に、正面奥にフルート(2)、オーボエ(2)、その後方にクラリネット(2)、ファゴット(2)、正面最奥部にトランペット(2)、右奥にホルン(4)、左奥にはバロック・ティンパニというものです。コンサートマスターは高橋和貴さん。
「エグモント」序曲の冒頭、わざとずらしたようなズザーっという始まり方に、ヨーロッパのオーケストラの響きの流儀だと感じます。そして、中〜低音域をしっかり響かせて、力強い堂々たる音楽の歩み、立派な響きです。ああ、いいなあ。盛り上がって曲を終えた後、指揮者は木管セクションを立たせ、次いで全員を立たせて聴衆の拍手を受け、退きました。
次は、期待の第2曲め、ロゼッティのホルン協奏曲です。楽器編成はぐっと小さくなって、6-6-4-3-2 の弦楽5部にHrn(2), Ob(2)というもの。真ん中の指揮台を撤去し、ここに独奏ホルンと指揮のバボラークさんが立ちます。初めて聴くロゼッティの変ホ長調のホルン協奏曲、第1楽章:アレグロ・モデラート。小さめな編成のオーケストラが優雅な主題で始まると、ここがけっこう長くて、なかなか独奏ホルンが始まりません。まもなく独奏ホルンが同じ主題を奏して協奏曲らしい展開となりますが、印象的にはモーツァルトと同じ時代というのが頷ける雰囲気です。ただし、ぐっと技巧的なパッセージも多く、苦もなく流れるように演奏され、柔らかい音色が弦楽ともしっとりとマッチするのを体感すると、名手の名手たる所以を実感します。この印象は、第2楽章:ロマンツェ、アダージョ・ノン・タントに入っても変わらず、弱く優しく吹奏される音楽の、独奏ホルンの音が静かに響く時間が実に貴重な経験です。そして第3楽章:ロンド、アレグレット・ノン・トロッポと指示された、速く軽やかな音楽です。独奏ホルンは、非常に速いパッセージも難なく通過し、軽快さも感じさせます。チェロのピツィカートのムチのような音も面白いものです。初めて聴く曲ですから断片的な印象にとどまりますが、モーツァルトとほぼ同時代の音楽、モーツァルトのホルン協奏曲に影響を与えたと言われているらしい優雅な音楽に満足した日でした。
3曲めはベートーヴェンの歌劇「フィデリオ」序曲です。楽器編成は 8-7-5-5-3 の弦楽5部に Fl(2), Ob(2), Cl(2), Fg(2), Hrn(4), Tp(2), Tb(2), Baroque Timp. というものです。ベートーヴェンらしい、劇的な開始です。管楽器群の互いに溶け合ったようなハーモニーがステキで、バロック・ティンパニの音と共に次第に緊張感が高まります。爆発するようなエネルギーと共に展開される音楽は、聴きなれた序曲ですが、また新鮮な印象を受けました。
ここで15分の休憩。物販も再開されたようで、せっかくですので新TシャツとバボラークさんのCD2枚を購入して来ました。
(〜今日は畑仕事でくたびれましたので、この続きのドヴォルザークはまた明日〜)
(*1): 山形交響楽団公式ホームページ
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