電網郊外散歩道

本と音楽を片手に、電網郊外を散歩する風情で身辺の出来事を記録。退職後は果樹園農業と野菜作りにも取り組んでいます。

私がオペラを楽しむようになったきっかけは

2023年02月02日 06時00分26秒 | -オペラ・声楽
私の場合、クラシック音楽の中でもオーケストラ音楽には比較的早くから親しんだのでしたが、オペラはなかなかそうはいかず、ふだん聞き慣れている歌とくらべて発声が人工的で不自然だとか、いろいろな理由で敬遠する時期が長く続きました。ただ学生時代に NHKのイタリア歌劇団招聘により、何度かテレビの映像で接することがありました。記憶に残るのは、エレナ・スリオティスとフィオレンツァ・コッソットの二人が出た「ノルマ」の舞台です。なんだかスゴイというのはわかりました。

その後、ビデオディスクが普及し始め、私もLDとCDのコンパチブルプレーヤーを購入して、子供のアニメなどとともに、クラシック音楽のタイトルをポツポツと購入していました。その頃、黒田恭一さんあたりが「ビデオディスクを楽しむならなんといってもオペラが一番」というようなことを強く主張していましたので、それではと購入してみたのが1985年の9月、ヴェルディの歌劇「ドン・カルロ」の3枚組レーザーディスクでした。ビデオテープと違い、場面の頭出しが容易で重宝したというよりも、レヴァイン指揮メトロポリタン歌劇場のゼフィレッリ演出の公演が素晴らしく、冒頭の前奏曲と「冬は長い。生活は苦しい」という合唱にぐいっと引き込まれるのを感じました(*1)。ですから、私がオペラに開眼したのは、間違いなくこのときでしょう。



その後、高価だったけれど少しずつオペラLDを買い求め、この頃に刊行され始めた音楽之友社の「名作オペラブックス」も揃えていき、ヴェルディ、プッチーニ、モーツァルト等の有名タイトルを楽しみました。しかし、当地で実演に接する機会はあまりなく、東京に出かけてオペラを楽しむには経済的負担が大きいのと、子どもも小さく親も病気がちだったために、自分だけ道楽を追いかけることもできなかったのでした。



時代は移り、LDはDVDに変わっていき、私も仕事が忙しく責任も重くなり、「名作オペラブックス」シリーズの購入も中断してしまい、たまに昔のLDを取り出してかけてみるのがせいぜい、という時期が長く続きました。ところが退職してフルタイムの仕事を離れた今、当地山形で新県民ホールを中心にさまざまな形でオペラ公演を楽しめることを思うと、実に感慨深いものがあります。ありがたいことです。

(*1): ヴェルディ/歌劇「ドン・カルロ」第1幕を見る〜「電網郊外散歩道」2005年7月


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