野村萬斎演出、阪哲朗指揮で、J.シュトラウスII世の喜歌劇「こうもり」を観てきました。12月17日の山形県民ホールでの公演は、滋賀・びわ湖ホール、東京芸術劇場に続く最終公演、千秋楽です。
実は、この日は総代をしている寺の行事があり、終わってから急いで昼食を食べて妻と共に車で出発、出た時間が遅かったので高速を使って急いだのでしたが、途中で妻と話をしている間にうっかり高速の降り口を通り過ぎてしまい、ひとつ先のICで折り返して戻るというハプニングもありましたので、開演の14時に遅れてしまいました。幸いにスタッフの皆さんの機転で、序曲の終わりの拍手のタイミングでなんとか滑り込み、第1幕から観ることができました。
オーケストラピットは横長ですので、通常の配置はできません。実際には、中央に弦楽5部が左から第1ヴァイオリン、チェロ、ヴィオラ、第2ヴァイオリンと並び、正面奥にコントラバスという配置です。左側には木管が手前からフルート、オーボエ、その左にクラリネットとファゴット、最左部にホルンが座り、弦楽セクション中央部チェロの左側にはハープが見えます。弦楽セクションの右側には、ティンパニとパーカッション、トランペット、トロンボーン等の金管楽器が陣取ります。
第1幕は、中央に狂言の舞台のような形で作られた正面手前側に、12畳ほどの畳が配置され、ちゃぶ台が置かれています。そして正面には「福」ののれんがかかり、舞台の向かって右端に講談調の語りが座ります。語るのは桂米團治師匠。今回は野村萬斎演出ということで狂言の要素を取り入れたものになっており、時代としては明治維新後の文明開化・鹿鳴館の時代で、日本橋の高利貸しが主人公の一人です。その割には名前がアイゼンシュタインと洋風なのですが、そこはオペレッタのお約束「細かいことは気にしない」なのです。左右の字幕とともに、この語りが軽妙で物語の背景を説明してくれますので、初めての人にもわかりやすい。序曲や有名どころのアリア等は承知している妻も筋書きの詳しいところは初めてですので、なるほど〜と演出のわかりやすさに感心しておりました。
与儀巧さん演じる昔の恋人アルフレードの歌声に弱い奥様ロザリンデは田崎尚美さん、着物を着て座布団に座って演じ歌うのはなかなか大変でしょう。その点、幸田浩子さん演じる女中アデーレの場合は、セリフはともかく立って歌うことが多いので、まだいいほうかな。しかし幸田さん、おきゃんな役が似合います(^o^)/ 旦那のアイゼンシュタインが福井敬さんで、立派なテノールがいかにもやり手の金貸しという風情ですが、勝手気ままな分、またコロッと騙されやすい面もありそう。青山貴さん演じるファルケ博士にころりと騙されて、刑務所に入るはずが夜会に出席するのを承知しウキウキと出かけてしまいます。夫がでかけたあとに、奥様が昔の恋人と仲良くしているところへ、山下浩司さん演じる刑務所長フランクがやってきて、アイゼンシュタインと間違えてアルフレードを連行していきます。間違いだと言えない奥様もたいがいですね〜(^o^)/
ここで20分の休憩。舞台上は2幕の開始前の様子です。
第2幕は鹿鳴館の中。黒子が畳を集めて中央の金屏風の前に一段高いところを作り、夜会に出席した貴族の皆様は衣装の節約のために幕に衣装を描いて首だけ出す書割方式。これは笑いましたし、なかなかいいアイデアです。若い保護者の負担軽減のために小学校の学芸会でも使えるかもしれない(^o^)/ で、夜会の主催者オルロフスキー公爵が、なんと白塗りのお公家さんスタイルで、カウンターテナーの藤木大地さんです。メゾソプラノが演じることも多い役どころですが、いや〜、声も歌も素晴らしかったのに加えこのアイデアも秀逸でした。
ここでは女中アデーレと佐藤寛子さん演じるその姉、踊り子のイーダが多少の山形弁を交えて笑わせます。そこへ旦那のアイゼンシュタインが登場、奥さんの衣装で着飾ったアデーレを我が家の女中にそっくりだと驚きますが、アデーレはコケットリー全開でアリアを歌い、しらばっくれます(^o^)/
フランス人の騎士だと名乗って刑務所長が登場したのに続き、ハンガリーの貴婦人だと名乗って奥様ロザリンデがやってきて、旦那がさっそく口説き始めますが逆に自慢の金時計を巻き上げられてしまいます。ハンガリーの貴婦人だと証明するためにロザリンデがチャールダッシュを歌い、夜会は締めくくりの舞踏会へ。
15分の休憩の後、第3幕が始まります。黒子が鉄格子を運び、舞台は一転して刑務所の中に変化します。ここで、酔っぱらいの牢番フロッシュを語りの役目から一転して桂米團治さんが演じますが、歌の出番のないはずなのにちゃんと歌がある!しかも、聴衆に仕掛けて歌わせている!芸達者な落語家の姿に思わず笑ってしまいました。牢名主になっちゃっているアルフレードの歌に辟易するところへ刑務所長が帰還、騎士にパトロンになってほしいとアデーレとイーダの姉妹がやってきますが、君たち刑務所の入り口の看板を見逃したのかい?いやいや、それもオペレッタのお約束で、細かいことは気にしない(^o^)/ さらにアイゼンシュタインも入牢のためにやってきますが、アイゼンシュタインはすでに牢に入っていると知らされ、経緯を聞いて妻を疑います。妻ロザリンデもやってきて、弁護士に変装したアイゼンシュタインに問い詰められて窮地に立ちますが、そこで出てくる金時計(^o^)/
いやはや、とんだドタバタ喜劇なのですが、音楽が入るとこれがドタバタ喜劇ではなくなってしまうから不思議です。「シャンパンの歌」で大団円となるのはもう「お約束」のようなもの。私たち聴衆も、楽しく満足して帰路につきました。妻も「ああ、面白かった!」
こういう演出はありだと思います。ほんとに楽しかったし、ヨハン・シュトラウスII世の音楽も良かったし、山響の演奏も素晴らしかった。合唱には旧知の方々も何人か出演していましたが、皆さん黒子に徹して素晴らしい歌声を聞かせてくれました。ほんとに良かった〜!
実は、この日は総代をしている寺の行事があり、終わってから急いで昼食を食べて妻と共に車で出発、出た時間が遅かったので高速を使って急いだのでしたが、途中で妻と話をしている間にうっかり高速の降り口を通り過ぎてしまい、ひとつ先のICで折り返して戻るというハプニングもありましたので、開演の14時に遅れてしまいました。幸いにスタッフの皆さんの機転で、序曲の終わりの拍手のタイミングでなんとか滑り込み、第1幕から観ることができました。
オーケストラピットは横長ですので、通常の配置はできません。実際には、中央に弦楽5部が左から第1ヴァイオリン、チェロ、ヴィオラ、第2ヴァイオリンと並び、正面奥にコントラバスという配置です。左側には木管が手前からフルート、オーボエ、その左にクラリネットとファゴット、最左部にホルンが座り、弦楽セクション中央部チェロの左側にはハープが見えます。弦楽セクションの右側には、ティンパニとパーカッション、トランペット、トロンボーン等の金管楽器が陣取ります。
第1幕は、中央に狂言の舞台のような形で作られた正面手前側に、12畳ほどの畳が配置され、ちゃぶ台が置かれています。そして正面には「福」ののれんがかかり、舞台の向かって右端に講談調の語りが座ります。語るのは桂米團治師匠。今回は野村萬斎演出ということで狂言の要素を取り入れたものになっており、時代としては明治維新後の文明開化・鹿鳴館の時代で、日本橋の高利貸しが主人公の一人です。その割には名前がアイゼンシュタインと洋風なのですが、そこはオペレッタのお約束「細かいことは気にしない」なのです。左右の字幕とともに、この語りが軽妙で物語の背景を説明してくれますので、初めての人にもわかりやすい。序曲や有名どころのアリア等は承知している妻も筋書きの詳しいところは初めてですので、なるほど〜と演出のわかりやすさに感心しておりました。
与儀巧さん演じる昔の恋人アルフレードの歌声に弱い奥様ロザリンデは田崎尚美さん、着物を着て座布団に座って演じ歌うのはなかなか大変でしょう。その点、幸田浩子さん演じる女中アデーレの場合は、セリフはともかく立って歌うことが多いので、まだいいほうかな。しかし幸田さん、おきゃんな役が似合います(^o^)/ 旦那のアイゼンシュタインが福井敬さんで、立派なテノールがいかにもやり手の金貸しという風情ですが、勝手気ままな分、またコロッと騙されやすい面もありそう。青山貴さん演じるファルケ博士にころりと騙されて、刑務所に入るはずが夜会に出席するのを承知しウキウキと出かけてしまいます。夫がでかけたあとに、奥様が昔の恋人と仲良くしているところへ、山下浩司さん演じる刑務所長フランクがやってきて、アイゼンシュタインと間違えてアルフレードを連行していきます。間違いだと言えない奥様もたいがいですね〜(^o^)/
ここで20分の休憩。舞台上は2幕の開始前の様子です。
第2幕は鹿鳴館の中。黒子が畳を集めて中央の金屏風の前に一段高いところを作り、夜会に出席した貴族の皆様は衣装の節約のために幕に衣装を描いて首だけ出す書割方式。これは笑いましたし、なかなかいいアイデアです。若い保護者の負担軽減のために小学校の学芸会でも使えるかもしれない(^o^)/ で、夜会の主催者オルロフスキー公爵が、なんと白塗りのお公家さんスタイルで、カウンターテナーの藤木大地さんです。メゾソプラノが演じることも多い役どころですが、いや〜、声も歌も素晴らしかったのに加えこのアイデアも秀逸でした。
ここでは女中アデーレと佐藤寛子さん演じるその姉、踊り子のイーダが多少の山形弁を交えて笑わせます。そこへ旦那のアイゼンシュタインが登場、奥さんの衣装で着飾ったアデーレを我が家の女中にそっくりだと驚きますが、アデーレはコケットリー全開でアリアを歌い、しらばっくれます(^o^)/
フランス人の騎士だと名乗って刑務所長が登場したのに続き、ハンガリーの貴婦人だと名乗って奥様ロザリンデがやってきて、旦那がさっそく口説き始めますが逆に自慢の金時計を巻き上げられてしまいます。ハンガリーの貴婦人だと証明するためにロザリンデがチャールダッシュを歌い、夜会は締めくくりの舞踏会へ。
15分の休憩の後、第3幕が始まります。黒子が鉄格子を運び、舞台は一転して刑務所の中に変化します。ここで、酔っぱらいの牢番フロッシュを語りの役目から一転して桂米團治さんが演じますが、歌の出番のないはずなのにちゃんと歌がある!しかも、聴衆に仕掛けて歌わせている!芸達者な落語家の姿に思わず笑ってしまいました。牢名主になっちゃっているアルフレードの歌に辟易するところへ刑務所長が帰還、騎士にパトロンになってほしいとアデーレとイーダの姉妹がやってきますが、君たち刑務所の入り口の看板を見逃したのかい?いやいや、それもオペレッタのお約束で、細かいことは気にしない(^o^)/ さらにアイゼンシュタインも入牢のためにやってきますが、アイゼンシュタインはすでに牢に入っていると知らされ、経緯を聞いて妻を疑います。妻ロザリンデもやってきて、弁護士に変装したアイゼンシュタインに問い詰められて窮地に立ちますが、そこで出てくる金時計(^o^)/
いやはや、とんだドタバタ喜劇なのですが、音楽が入るとこれがドタバタ喜劇ではなくなってしまうから不思議です。「シャンパンの歌」で大団円となるのはもう「お約束」のようなもの。私たち聴衆も、楽しく満足して帰路につきました。妻も「ああ、面白かった!」
こういう演出はありだと思います。ほんとに楽しかったし、ヨハン・シュトラウスII世の音楽も良かったし、山響の演奏も素晴らしかった。合唱には旧知の方々も何人か出演していましたが、皆さん黒子に徹して素晴らしい歌声を聞かせてくれました。ほんとに良かった〜!
いつかお会いしたいですね。もしよろしければ、私のブログに連絡先などコメントください。自動公開はされずに、一旦保留となりますので私のみが確認いたします😃。