電網郊外散歩道

本と音楽を片手に、電網郊外を散歩する風情で身辺の出来事を記録。退職後は果樹園農業と野菜作りにも取り組んでいます。

山形弦楽四重奏団第48回定期演奏会でハイドン、清瀬保二、メンデルスゾーンを聴く

2013年07月16日 21時12分27秒 | -室内楽
三連休の最終日、雨の晴れ間をみて梅を収穫・出荷し、スモモの大石早生を収穫しました。その後、少しばかり休養して、夕方から文翔館議場ホールへ。本日は山形弦楽四重奏団の第48回定期演奏会で、ハイドン、清瀬保二、メンデルスゾーンを取り上げた、次のようなプログラムです。

(1) ハイドン:弦楽四重奏曲 変ロ長調 Op.55-3
(2) 清瀬保二:弦楽四重奏曲 変ロ調 (1951)
(3) メンデルスゾーン:弦楽四重奏曲第1番 変ホ長調 Op.12

18時ぎりぎりに会場に到着すると、ちょうどプレコンサートが始まるところでした。オーボエの斎藤真美さんとヴィオラの田中知子さんが、「オーボエとヴィオラのためのアダージョと10のヴァリエーション」を演奏しました。オーボエの音色は、高音域はもちろんですが、ヴィオラと一緒に響く中低音が意外に魅力的なのですね。作曲家の名前も話したのですが、ぼんやりしていたため、残念ながら聞き取れませんでした。たしか、ジョージ・ナントカいう人だったと思います(^o^)/

開演前に、今回の担当である中島光之さんがプレトークをします。例によってカンニングペーパーなしの見事なトークで、今回の三人の作曲家が、それぞれ56歳、51歳、20歳のときの作品であることから始まり、宮仕えを終えて自由な身になるころのハイドンの音楽の伸びやかさや、貴族院議員の父親を持つという境遇にあって、ベートーヴェンの室内楽作品に接して音楽を志した清瀬保二の人間性、あるいは恵まれた境遇で最高の教育を受けた若いメンデルスゾーンのことなど、作曲に至る境遇なども説明します。今回のパンフレットに収められたプログラム・ノートも中島さんで、作品に関する情報を簡潔に網羅しながら、作曲家・演奏家・聴衆という関係を印象深くまとめています。このあたりは、作曲家であったお母さんが亡くなられた際に作品を整理するという役割を果たした、その時の経験がにじみ出ているのではと感じます。

例によって、ステージ左から、第1ヴァイオリンの中島光之さん。ダークグレーのシャツに、黒っぽい地に白いプリントのネクタイ姿で、ご挨拶の役割があったためかと思われます。その右隣が第2ヴァイオリンの今井東子さん。エメラルドグリーンのドレスがとてもよくお似合いです。その右が、首回りと手首に白いラインが入ったシャツ姿の、チェロの茂木明人さん。左端が、いつも通り黒ずくめのヴィオラの倉田譲さん、というメンバーです。

さて、第1曲目:ハイドンの弦楽四重奏曲 変ロ長調 Op.55-3 です。Wikipedia では第62番とされているだけで、残念ながらまだ解説のページは作られていません。
第1楽章:ヴィヴァーチェ・アッサイ。ハイドンらしい、緊密なアンサンブルです。第2楽章:アダージョ・マ・ノン・トロッポ。思わず聴き惚れてしまいます。2nd-Vnで静かに終わります。第3楽章:メヌエット、第4楽章:フィナーレ、プレスト。1st-Vn の役割は大きなものですが、曲中で VcとVla に 2nd-Vn が加わり、フーガみたいになるところなど、いかにもハイドンらしくていいですね~。

この時期のハイドンは、四人のアンサンブルがとても緊密で、1st-Vn だけに負担がかかる古いスタイルではなくなりつつあるように感じます。チェロの役割などは、もう少し活躍してもよいように思いますが、そこは Beethoven の登場を待つことになるのでしょう。

第2曲目は、清瀬保二の弦楽四重奏曲 変ロ調、1951年の作曲だそうです。
第1楽章:アレグロ。非常に訴える力のある音楽と感じます。曲想は明るくはなく、喩えは変ですが、風の又三郎が烈風の前に立っているような孤高感を感じます。第2楽章:アンダンテ。1st-Vn の奏でる旋律は、どこか民謡的な要素もあり、懐かしさを覚えます。とりわけ、チェロに移った旋律や、祭りのエネルギーのような推進力を感じさせる部分などは、感傷的な緩徐楽章ではありません。最初の主題を繰り返して静かに終わります。第3楽章:アレグロ・モルト~ヴィヴァーチッシモ。情熱的、エネルギッシュな楽章ですが、悲劇性も感じます。思いきったような、印象的な終わり方です。まったく初めての曲ですが、共感するところが多くありました。

ここで、15分の休憩です。皆さん、それぞれに立って休憩して来られたようです。



後半は、メンデルスゾーンの弦楽四重奏曲第1番です。Wikipedia には、残念ながらこの曲も解説がありません。
第1楽章:アダージョ・ノン・トロッポ~アレグロ・ノン・タルダンテ。静かで確かな始まり。第2楽章:カンツォネッタ・アレグレット。なるほど、カンツォネッタです。第3楽章:アンダンテ・エスプレッシーヴォ。「夜の室内楽」の番組テーマ音楽候補になりそうな美しい緩徐楽章。第4楽章:モルト・アレグロ・エ・ヴィヴァーチェ。ダイナミックで情熱的。中間部の 2nd-Vn がいい味。ヴィオラとチェロがロマンティックな響きを聞かせます。そして、合唱が注目を集める「マタイ受難曲」の器楽パートで、言葉のないヴァイオリンが切々と心に訴えかけるように、1st-Vn が存在感を示します。

アンコールは、同じくメンデルスゾーンの弦楽四重奏曲第2番の第3楽章から。
残念ながら、演奏会レポートはここで力尽きました。眠くて眠くて(^o^;)>poripori
でも、10月19日(土)の第49回定期演奏会のチケットは、しっかりと購入してきました。
(^o^)/
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今年の梅は豊作貧乏か~雨降りの合間に収穫作業

2013年07月15日 06時03分51秒 | 週末農業・定年農業
サクランボの収穫が終わってホッとしたのもつかの間、こんどは梅の収穫時期がやってきてしまいました。連日の雨降りで、例年よりも一週間ほど遅れていますので、だいぶ黄色く色づいてしまっています。農協に聞いてみたところ、今年は和歌山県産の梅が大豊作なのだそうで、箱詰めして出荷しても、ほとんど箱代にしかならないそうです。それでは仕方がないので、加工用にコンテナで出荷することにしました。キロ当たり70円だそうですが、ただ腐らせるのももったいないので、雨の合間をみて脚立に登り、せっせと梅の実をもぎました。いや~、我が家も大豊作。豊作貧乏とはこのことです(^o^;)>poripori



ちなみに、スモモの大石早生も収穫時期を迎えています。梅の収穫をすませ、こんどは大石早生の収穫にかかりました。初物を近所の親戚に持っていき、娘さんに喜ばれました。スモモやプルーンなどは、男性よりも、なぜか女性に人気なのですね(^o^)/



こちらは、スモモの伝統的な品種フームサです。収穫時期はもう少し後になりますが、今年はわりに出来がいいようで、こちらも楽しみです。



そして、九月上旬に収穫時期を迎えるプルーンは、まだこの程度の大きさです。
妻と二人、週末農業で維持管理する果樹園も、なかなか多忙です。今日もせっせと働き、夕方からの山形弦楽四重奏団第48回定期演奏会に備えましょう。

(*):今年は梅をたくさん収穫できたので~「電網郊外散歩道」2012年7月

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通勤経路が変わると、燃料消費率はどう変わるか

2013年07月14日 09時40分12秒 | 散歩外出ドライブ

この四月に職場が変わり、通勤経路も距離も変更になりました。大雑把に言って、今まで郊外の通勤路だったのが、都市部の渋滞路線に変わったうえに、通勤距離も半分になりました。その結果、いわゆる燃費、正確には燃料消費率と言うべきでしょうか、それがどう変わったか?四月から六月の三ヶ月分を比較してみました。

このように、明らかに燃料消費率の低下が見られます。原因はさまざまあるでしょうが、

  • 信号が多くなった(約20ヶ所→約40ヶ所以上)
  • 通勤距離は半減したが、渋滞区間が長くなった

ことなどが影響しているためでしょう。

距離は半減したが、信号の数は倍増し、渋滞区間が長くなった。つまり、チョコマカした加減速の回数が多くなったことが原因と思われます。むしろ、それにもかかわらず 16km/l 以上の値を示していることを評価すべきでしょうか。

さて、三連休は連日草刈り作業に精を出しています。ようやく梅雨らしくなった雨は、雑草にとっても恵みとなったようで、生き返ったように繁茂しております。少し油断すると、果樹園がまるで熱帯雨林のジャングル状態になってしまいますので、今がいちばん草刈り作業が大変な時期です。

 

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この7月はメンデルスゾーン三昧か

2013年07月13日 06時13分07秒 | クラシック音楽

何の偶然なのでしょうか、この七月の演奏会は、メンデルスゾーンを取り上げるものが多く、どうやらメンデルスゾーン月間になりそうです。まずは15日、ほぼ毎回せっせと通っている山Qこと山形弦楽四重奏団の定期から。

■山形弦楽四重奏団第48回定期演奏会
7月15日(月)海の日、文翔館議場ホール、17:45開場、18:30開演
曲目:
(1) ハイドン:弦楽四重奏曲 変ロ長調 Op.55-3
(2) 清瀬保二:弦楽四重奏曲 変ロ調(1951)
(3) メンデルスゾーン:弦楽四重奏曲第1番 変ホ長調 Op.12
 前売:1,500円、当日:2,000円

そして、その10日後に、同じホールで、プレシャス・カルテットがやはり同じメンデルスゾーンの第1番を取り上げます。

■プレシャス・カルテット山形公演
7月25日(木)、文翔館議場ホール、18:30開場、19:00開演
曲目:
モーツァルト「アイネ・クライネ・ナハトムジーク」より、ドビュッシー「月の光」、ブリッジ「横町のサリー」「熟したサクランボ」、メンデルスゾーン「弦楽四重奏曲第1番変ホ長調Op.12」、ヴィヴァルディ「四季」より「夏」、ピアソラ「リベルタンゴ」、木島由美子編曲「日本の民謡メドレー」「映画音楽メドレー」
 一般:前売2,500円、当日3,000円、学生:前売1,000円、当日1,500円

こちらは、山響の首席チェロ奏者の小川和久さんがメンバーになっているカルテットで、親しみやすい多彩な曲目になっているのが特徴です。

さらにこの間に、大曲が演奏されます。山形交響楽団の第230回定期演奏会で、「ドイツ・ロマン派の礎」と題して、やはりメンデルスゾーンが集中的に取り上げられています。

■山形交響楽団第230回定期演奏会「ドイツ・ロマン派の礎」
7月20日(土)、山形テルサホール、18:15開場、19:00開演
7月21日(日)、山形テルサホール、15:15開場、16:00開演
曲目:
(1) メンデルスゾーン:序曲「フィンガルの洞窟」Op.26
(2) メンデルスゾーン:序曲「美しいメルジーネの物語」Op.32
(3) メンデルスゾーン:交響曲第2番変ロ長調「讃歌」Op.52
藤岡幸夫指揮山形交響楽団
独唱:半田美和子(Sop)、馬原裕子(Sop)、大槻孝志(Ten)
合唱:山響アマデウス・コア
 前売:A席(指定)4,500円、B席(自由)4,000円、学生(自由)2,500円、ペア(自由)7,000円
 当日:各500円増

思わず嬉しくなってしまう、まさにメンデルスゾーン三昧の七月です。

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ラッセル・ワトソン「ゴールデン・ヴォイス」を聴く

2013年07月12日 06時04分50秒 | -オペラ・声楽
映画「テルマエ・ロマエ」(*1)で主題歌として使われていた、プッチーニの「誰も寝てはならぬ」を歌っていた歌手は、ラッセル・ワトソンという人だとありました。はて、私のアンテナには全く引っかかっていない人でしたので、検索してみましたら、Wikipedia に簡単な経歴が紹介されておりました。それを読んで、ビックリ!

親がクラシック音楽のファンだったそうですが、本人は音楽の英才教育など受けておらず、旋盤工として働きながらパブで歌っていたのだそうな。客の一人が「誰も寝てはならぬ」を歌ってみてはどうか、と言ったことがきっかけになり、歌ってみたらスゴイ反響で、そこから声楽のレッスンを受けるようになったのだそうです。うーむ、当方がコンピュータの2000年問題等に追われていた頃、英国では天与の声をいかした成功物語が進行していたのですね。知らなかった!

「ゴールデン・ヴォイス」というCDは、ラッセル・ワトソンの第1作と第2作のベストアルバムの性格を持っているようです。収録された曲は、

1. ネッラ・ファンタジア(モリコーネ)
2. カルーソー(ダッラ)
3. ミゼレーレ(ズッケロ)
4. ヴォラーレ(モドゥーニョ)
5. 天使のパン(フランク)
6. サムワン・ライク・ユー(ラッセル・ワトソン)
7. ホェア・マイ・ハート・ウィル・テイク・ミー(ウォーレン)
8. 歌劇「フェドーラ」~愛さずにはいられないこの思い(ジョルダーノ)
9. セイロン・ドーラ(ヘス)
10. フニクリ・フニクラ(デンツァ)
11. ヴィエナ(ラッセル・ワトソン)
12. バルセロナ(フレディ・マーキュリー)
13. 歌劇「トゥーランドット」~誰も寝てはならぬ(プッチーニ)
14. ボヘミアン・ラプソディ(フレディ・マーキュリー)

というもので、色々なジャンルからの堂々たる歌唱を楽しむことができます。「ヴォラーレ」や「フニクリ・フニクラ」の楽しさ、「サムワン・ライク・ユー」の二重唱の見事さ、「バルセロナ」や「誰も寝てはならぬ」の立派さ等、本当に恵まれた声を楽しむことができるアルバムです。DVD も添付されておりますが、残念ながら当方の通勤用カーオーディオでは観ることはできませんので、週末に自宅のテレビで観ました。映像では「バルセロナ」がコミカルな印象に変わってしまい、へぇ~と意外でした(^o^)/

(*1):映画「テルマエ・ロマエ」を観る~「電網郊外散歩道」2012年5月

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低温熱傷の傷口がようやくふさがって

2013年07月11日 06時04分33秒 | 健康
二月の末に湯たんぽによる低温熱傷が化膿して、治療を始めてからもう四ヶ月も経過していますが、最近、ようやく傷口がふさがったようです。ガーゼにしみも付かなくなりましたし、黒ずんだ皮膚の色が回復するのを待つばかりとなりました。いや~、実に長引いたものです。途中の絆創膏まけも、回復が足踏みをする原因になりましたし、まさかこんなに長くかかるとは予想もしませんでした。そうとうに深くやられたということでしょう。油断大敵です。年齢相応に免疫力も低下してきている今日この頃、何事も甘く見てはいけない、ということでしょうか。

それにしても無粋な写真で、まことに失礼をいたしました(^o^)/
一時は膝下まで包帯でぐるぐる巻きにしていただけに、この程度に軽装?になったのが嬉しくてしかたがないのです(^o^)/

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有川浩『植物図鑑』を読む

2013年07月10日 06時08分27秒 | 読書
幻冬舎文庫で、有川浩著『植物図鑑』を読みました。本物の植物図鑑なら、子供用から家庭用まで何冊か持っています。巻頭のカラー・グラビアは、我が家の周辺によく見かける植物ばかりです。ジャクリーン・ケリーの『ダーウィンと出会った夏』のように、リケジョ(理系女子)と植物の話なのかなと思ったら、さにあらず。まことにベタな、若い男女の恋愛物語で、その場面設定に、野草を料理し食べる話がうまく使われているのでした。

主人公のOLは、河野さやかといい、飲み会の帰りに、マンションの玄関先の植え込みで行き倒れの若い男を見つけます。

「行き倒れてます」
「お嬢さん、よかったら、俺を拾ってくれませんか」
「咬みません。躾のできた良い子です」

と頼まれて、思わず部屋に上げてしまいます。本当は、酔っ払った頭と目で見た若い男がけっこうイケメンだったから、というのが理由のようですが、お礼にと作ってくれた味噌汁とタマネギのオムレツの朝ご飯に胃袋をキューッとつかまれた、という理由もあったようです。OLによくあるらしい、「ご飯を作ってくれる人がほしい」にピッタンコ適合する、イケメン、器用、礼儀正しく人畜無害、料理が上手な若い男を見つけてしまっては、手放すのが惜しい。そこは、恥も外聞もかまってはいられません(^o^)/

というわけで始まった品行方正な同棲生活。これはもう、ほとんどのメニューが精進料理のようなベジタリアン生活で、「肉食系男子」ではなさそうではありますが、それでも若いイツキ君にとっては月山の山伏修行や高野山の百ヶ日修行なみの苦しさだろうと思いますね~(^o^)/
でも、予想通りそこは自然の成り行きで、実に順当な結果となりますが、突然の失踪と突然の帰還は予想外でした。

著者の作品は、『三匹のオッサン』シリーズを読んだだけですが、実はこういう恋愛小説の名手なのだそうです。なるほど、今まで私の守備範囲に入ってこなかったのも無理はない、まことに大甘でベタな話でした。でも、数十年前を思い出せば、こんな感性を持っていた時代もあったなあと、思わず遠い目になってしまう作品でもありました。

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目の前に動物が飛び出したら

2013年07月09日 06時03分33秒 | アホ猫やんちゃ猫
以前の通勤路は、郊外を走る区間が大部分で、交通量もあまり多くはありませんでした。そのためか、早朝の路上に、ときどきギョッとするものが転がっているのを何度か目撃しました。たとえば、タヌキです。警戒心の強いキツネと違って、夜行性のタヌキは人里に近いところに棲息しているらしく、道路を渡っているうちに車にひかれてしまったのでしょう。

さいわいにして、私自身はまだタヌキも猫も人間もひいたことはありませんが、目の前を猫が駆け抜けてヒヤリとしたことはあります。もし、目の前にいきなりクマが出てきたら……それはビックリするだろうなあ。クマと衝突した山形新幹線のニュース(*1)に、「さすが山形」と思わず笑い出してしまいました。おそらく、運転士さんは仰天し、乗客は迷惑し、クマは重傷を負ったでしょうから、笑い事ではないのですが。

今度の通勤路は、一転して都市部の渋滞路線です。あせったりイライラしたりして、各種の飛び出しに気づくのが遅れたなどということがないように、安全運転を心がけたいと思います。アホ猫よ、お前も気をつけるんだよ。

アタシは大丈夫。ちゃあんと裏の畑をテリトリーにしているからね。物騒な道路などには、めったに行かないわ。せいぜい、紋次郎を追っかけるときくらいね。

それそれ、それがあぶないんだよ。気をつけてくれよ~(^o^)/

(*1):山形新幹線、クマと衝突、乗客にケガなし~朝日新聞デジタル-2013年7月6日

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高田郁『残月~みをつくし料理帖(8)』を読む

2013年07月08日 06時02分00秒 | 読書
角川春樹事務所刊の時代小説文庫に収められた人気シリーズ「みをつくし料理帖」の最新刊、高田郁著『残月~みをつくし料理帖』を読みました。なんだかんだといいながら、第八巻まで読んでしまった、文字通りハマっている読者です(^o^)/

第1話:「残月~かのひとの面影膳」。吉原の大火で、あさひ太夫を救いだして命を落とした又次をしのび、一ヶ月後の「三方よしの日」には精進料理を出すことにします。「つる家」の客がつけた名前が「面影膳」というのですから、うまいものです。今後の伏線であろうと予想されるのが、摂津屋の登場でしょうか。
第2話:「彼岸まで~慰め海苔巻」。玄関番をつとめていたふきが、又次の仕込みのおかげもあって調理師見習いに昇格し、りうが玄関番を兼ねて呼び込みをするようになります。この章では、一柳の柳吾の協力で、芳の息子、佐兵衛が失踪した事情が判明します。
第3話:「みくじは吉~麗し鼈甲珠」。登龍楼からの呼び出しに、澪は出かけていきます。話の中身は、吉原の新店に澪の腕がほしいとのことでした。厚かましいスカウト話に、澪は「四千両」と啖呵を切ります。登龍楼の采女宗馬は、来月の18日と期限を切って、吉原で商うに相応しい料理を考え出してみよ、と賭けに誘います。どうしてそんな賭けに応じなければならないのかよくわかりませんが、澪はそれに応じてしまいます。玉子の黄身を味噌とみりん粕に漬け込んだ「鼈甲球」は、味の正体を采女宗馬に暴かれることはありませんでした。
第4話:「寒中の麦~心ゆるす葛湯」。大阪天満一兆庵のご寮さんだった芳の真価は、一流料亭「一柳」の主・柳吾にはよくわかりました。また、看護の際にも様々な気配りを見せたことは、店の者たちにもよーくわかりました。柳吾が芳を後添いにと望むのは理解できます。房八の時には全く考えもしなかったけれど、柳吾ならばと芳の気持ちも動いたようです。澪の行く先にも少しずつ変化が現れてきているようです。



主な登場人物から小松原さま=小野寺数馬が消え、物語は仕切り直しに入ったようです。戯作者の清右衛門の役割が、はじめのうちは理不尽な客の代表みたいだったのが、しだいに味の判定者に変わり、次には野江の身請けの方策を示す方向指示の役割を果たすようになり、ポケモンなみに進化しています。きっと、作者のお気に入りのキャラクターに昇格してきているのでしょう(^o^)/

【追記】
本書中に、誤植というか、たぶん誤変換を一つ見つけました。p.147の12行目、

× 主人公が奉行人に背かれ
○ 主人公が奉公人に背かれ

でしょう。珍しいミスです。
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シューベルト「交響曲第6番」を聴く

2013年07月07日 06時02分31秒 | -オーケストラ
晴天時は夏の空、雨天時はどんよりした梅雨の空の下、ラッシュで渋滞気味の道路を毎日通勤しています。こういう条件の時には、せめて晴れ晴れとした音楽を聴きたい。で、選んだのがシューベルトの小ハ長調、交響曲第6番です。DENONの紙箱全集から、演奏は、オトマール・スウィトナー指揮のベルリン・シュターツカペレ、CDの型番はCOCQ-83992、1983年6月23日~26日、東ベルリンのイエス・キリスト教会で収録されたPCMデジタル録音です。
1817年10月から1818年2月までの5か月間に作曲されたとのこと、作曲当時、シューベルトは20歳の青年です。楽器編成は、第3番と同じく、トランペットとクラリネットを含む2管編成。それまで、モーツァルトやハイドンなど古典派の音楽を研究し、ロッシーニ風の流行も取り入れてきたシューベルトは、もう一度、尊敬するベートーヴェンに立ち戻ったかのようです。

第1楽章:アダージョ、4分の3拍子の序奏~アレグロ、2分の2拍子。いささか大げさなほどのベートーヴェン風の始まりで、その後はいかにもシューベルトらしい木管の響きが、どこか田園風ののどかさを感じさせますし、後期のシューベルトのような絶妙の転調もすでに聴くことができます。解説リーフレットにはベートーヴェンの第1番:ハ長調と同じ和声進行とありますが、どこのことかな?そのへんの専門的なところは当方の手に余りますので割愛(^o^;)>poripori
第2楽章:アンダンテ、ヘ長調、4分の2拍子。木管がのどかな響きを聴かせる緩徐楽章です。こういう音楽は、運転しながら聴いていても、幸せな気分になります。
第3楽章:スケルツォ、プレスト、ハ長調、4分の3拍子。交響曲としては初めて、メヌエットではなく速いスケルツォにしたところも、ベートーヴェンをかなり意識したのでしょうか。後半はややテンポを落とし、木管が優雅な響きを聴かせます。
第4楽章:アレグロ・モデラート、ハ長調、4分の2拍子。はじめの主題が再び提示され、他の副主題もからみ、若いシューベルトらしい、活力あるフィナーレです。

リーフレットの解説は平野昭氏。1997年発売のCDより転載したものだそうですが、このように全集として一冊にまとまると、たいへん読み応えがあり、参考になります。シューベルトの楽曲の解説などは、専門的なものは別にして、一般の音楽ファンが読めるものは少なく、ありがたいものです。できれば、もう少し素人にもわかりやすい解説だと、なおありがたいところです(^o^)/

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郭四志『中国エネルギー事情』を読む

2013年07月06日 06時09分24秒 | -ノンフィクション
岩波新書で、郭四志著『中国エネルギー事情』を読みました。帯には「驚異的な経済成長をいつまで支えられるか?」「深刻化する石油不足、石炭依存による環境汚染と政府の戦略」とあります。なにかと話題の多い現代中国、しかし統計から見た客観的な姿を知らないこの国の実情を知りたい、と思ったのがきっかけです。

本書の構成は、次のとおりです。

第1章:経済の高度成長とエネルギー資源
第2章:政府の危機感と政策・戦略
第3章:石油・天然ガス(1)~三大メジャーと政府
第4章:石油・天然ガス(2)~強化される海外資源確保
第5章:石炭~火力発電の主役
第6章:電力の需給はどうなっているか
第7章:価格というジレンマ
第8章:再生エネルギーの可能性
第9章:原子力発電の拡大へ
終章:エネルギー安全保障のゆくえ

中国は、石炭資源には恵まれていますが、産地は西部で消費地は東部と離れているため、長距離の輸送をしなければなりません。石油は、1990年代には輸入国に転じており、エネルギー問題は外交・政治・経済・安全保障・軍事面に直結しています。とくに、大慶油田など三大油田の老朽化で、沖合大陸棚の開発に努めており、トンキン湾など近年の周辺各国とのトラブルは、この延長上に考える必要がありそうです。また、パイプラインも東シベリア・ルートやミャンマー・ルートなどが計画・建設され、マラッカ海峡を経由した海上輸送以外の方法も、エネルギー・セキュリティの観点から推進されているといいます。資源に関する努力は、ナイジェリアなど中国のアフリカ政策に特徴的にあらわれており、対アフリカ政策を強化しているとのこと。

一方で、中国国内の石炭政策は、生産地域と消費地域を結ぶ輸送インフラの整備が遅れて供給ネックが深刻化しているほか、環境問題にも大きな影を投げかけているそうです。このあたりは、近年の大気汚染やPM2.5の問題など、2011年1月刊行の本書の記述以上に深刻化していることが伝えられており、本書はややエネルギー経済面に傾きすぎる傾向があるようです。
火力発電における石炭への過度の依存は、大気汚染を引き起こすことから、むしろ原子力発電への投資が増大してきており、加圧水型(PWR型)炉を中心に飛躍的に増大してきているようで、もし中国沿海部の原子力発電所が、自然災害あるいは人為的なミスのために深刻な事故を引き起こしたりすると、黄砂やPM2.5などと同様に、遮るもののない海をまたぐ季節風による影響を受けやすい日本にとっては、見過ごせない問題でしょう。

最後に、日中のエネルギー技術協力を展望してこの章が締めくくられますが、日本の省エネ・環境技術を、無断コピーではなく適法な形で生かしてもらい、著者の述べるように、両国の持続的な経済発展と共生関係を築くことを願いたいものです。非常に冷静かつ客観的な記述は、たいへん有意義なもので、岩波新書の格調を感じさせるものでした。


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万年筆の乾燥を防ぐためには

2013年07月05日 06時03分39秒 | 手帳文具書斎
ウォーターマンの万年筆をしばらくぶりに使ったら、インク量が少なかったせいもあり、乾いてしまって、しばらくインクが出ませんでした。ちょっと水を含ませて書き出すと、ずいぶん濃い色のインクになっています。これは、そうとうに濃くなるまで乾燥してしまったようですので、思い切り試し書きをしました。



複数の万年筆を健全に飼育することの難しさ(*1)を感じておりますが、やはり使用頻度の低いものは徹底して水洗いして乾燥させて保管するのが良いようです。また、プラチナの廉価製品プレッピーに採用されたスリップシール機構の長所を感じます。

(*1):複数の万年筆を均等に使っていくことは現実的か~「電網郊外散歩道」2012年9月
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ようやく雨が降った

2013年07月04日 06時03分40秒 | 季節と行事
5月下旬に雨が降り、6月18日に一晩降ってから、当地では雨らしい雨は全く降っておりませんでした。サクランボの実割れが発生しないのはよいけれど、水不足で実が大きくならず、今年は妙な年でした。畑はカラカラで、地方によっては田んぼの水不足が深刻化し、急遽共同で井戸を掘って潅水したところもあったそうです。





写真は、収穫し残したサクランボを集めたもの。テントの中を丹念にまわると、見つけ残した実がまだまだたくさん残っているようです。

例年、東北地方の梅雨は6月末から7月下旬というのが通例でしたが、昨年に続き今年も干ばつと言って良かったと思います。井戸水も、機械でじゃんじゃん汲み上げればやがては涸れてしまいますし、だいいち空から天然の蒸留水が降ってくる降雨とは異なり、地下水はミネラルを含んでいますので、土を固くしてしまう欠点があります。週末農業経営者ではありますが、雨を待つ気持ちは強いものがありました。雨が適度に降ってくれれば言うことなしです。

でも、最近は気象変化が極端で、降らないとなれば何ヶ月もカラカラ天気が続き、いざ降ったとなれば洪水のような土砂降りで、逆に困ってしまうことが多いようで、全く油断がなりません。

百姓脅すにゃ鉄砲は要らぬ、雨の三日も降れば良い

そんな戯歌もありました。まことにそのとおりです。晴れれば晴れたで、降れば降ったで、頭の痛いことです。空を見上げる百姓の気持ちは、きっと昔も今もあまり変わらないということでしょうか。幸いに、当方は当座の暮らしには困らない勤め人の週末農業ですので、このような評論家的スタンスで駄文をものしていられるから良いようなものですが(^o^;)>poripori

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吉田篤弘『それからはスープのことばかり考えて暮らした』を読む

2013年07月03日 06時03分16秒 | 読書
中公文庫で、吉田篤弘『それからはスープのことばかり考えて暮らした』を読みました。巻末のあとがきによれば、もともとは『暮しの手帖』に連載されていた小説とのことで、独特の浮遊感のある雰囲気も、そういう背景かと納得しました。

主人公のオーリィ君は、お気に入りのサンドイッチを見つけ、売っているパン屋さんと親しくなります。働いていないことは好ましくないといわれ、勤め始めます。映画館でよく会う老婦人は、かつて映画に脇役で出ていた女性ですし、スープの味はしだいに洗練されたものになっていきます。

ほんとに不思議なフワフワした浮遊感のある物語です。雰囲気で繋いでいるストーリーという感じ。ふだん読んでいる藤沢周平や吉村昭などの時代小説と比べれば、新感覚派とでも言いましょうか。音楽で言えば、J.S.バッハやベートーヴェン、ブラームスの系統ではなくて、フォーレやドビュッシーなどの系統でしょう。好きな人は好きそうですが、落ち着かないと感じる人もいそうです。

で、私は?
たぶん、ずっと若い頃ならば、好んで読んだでしょうが、今ならば、たまに一味違ったタイプの本を読んでみたい、という時に手にする本、という位置づけでしょうか。

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書店のレシートから購入した書名を知るには

2013年07月02日 06時04分54秒 | コンピュータ
多忙な時期には、うっかりメモを忘れることがありますが、購入した本の名前などは、備忘録に貼り付けたレシートから調べることができます。例えば、うっかりメモするのを忘れた某日のレシートには、書名は記載がありませんが、何やらコード番号があります。具体的には、

4-7584-3745-9 650円
4-334-76484-3 700円

というものです。

このコード部分を Google 検索してみると、バッチリ出て来ました。どうやら、e-hon のコードみたい。

4-7584-3745-9 650円 高田郁『残月~みをつくし料理帖(8)
4-334-76484-3 700円 坂木司『和菓子のアン』

なるほど。これで、レシートを貼り付けてさえおけば、後から中身を思い出すことは可能、ということがわかりました。テキスト備忘録にまとめて転記しておけば、後日、購入書籍一覧を作成することも容易にできます。



写真では、赤ペンで判明した書名をメモしたところですが、高田郁さんの名前が高田澪さんになってしまっています。著者名と主人公の名前がごっちゃになっていますね(^o^;)>poripori



それから、コードを検索して気づいたのですが、Google では電卓として計算した結果も得られます。これもまた、おもしろいものです。

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