そこはハレの場で常に非日常だった場所、三線が箏の音色が響いていた
ひねもす三線を箏をかなでたその部屋はわたしの戦場、生き延びる空間
泡盛の香りで座がゆらめくその場にたおやかな音色が響きたおやかな素手の美しい女たちが踊る
わたしはそのジュリだから、そのー、そんな評価だなんて、おほほと記者は彼女たちのことばを面白おかしく綴る
目が耳が肥えていたのはそう彼女たちだったのよ、彼女たちはその空気を吸っていたのよ
そう高下駄をはいてパトロンに付き添って、そうお芝居を観たのよ、役者買いに熱心なジュリもいたのよ、イナグジュリとイキガジュリ
そうなの、そうよ、すでにわたしは周縁のわたし、わたしは自由な女で不自由な女、わたしは誰のものでもなく誰のものでもあった
わたしのあなたはあなたのわたしあなたの自由と不自由と命の輪の外にいてあなたはわたしをみてわたしはあなたをみていた
形の中の自由の不自由の中で脇役が主役を演じたりした界隈は劇場、居ながらにして劇場そのもので芝居小屋はその入り口
ほんとうの快はそう身体の中にあってねそれでそのそこで毎夜死んで生き返ったのよあなたには到底わからないわね
わたしはしもべであなたの神でもあった時にたゆたうその川の底に沈むとそこから花が咲いて散ったその繰り返しね
あなたに見えるだろうかわたしの川底にあった故郷が見えないわねあなたは石を生きわたしは水のように流れ石を溶かしていたのよね
あなたのことばのやさしさにただ浸っていたいとおもった時がありまなざしにときめくひとときにああ夢と幻想が膨らむひととき
自由と不自由のフェンスを溶かしたい刹那、君をだきしめたいとあなたは眼で合図した
わたしはわたしであなたはわたしでわたしのあなたはあなたのわたしあなたはあなたでわたしは幻
昼間の陶酔を密室でとあなたが伝えたことばをそのまま返したいいつでも密室にいるのこころの密室は風船のように膨らみ破裂寸前
あなただけがわかればいいことばをただ綴っているそこから明日までの距離は近くて遠い明日は明日であなたにいつ会えるのだろうか