志情(しなさき)の海へ

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時代の変遷は激しい。改装・墓じまい、位牌預り、永代供養が新聞の広告欄に登場して久しいのだろうか?

2021-03-10 06:28:33 | 沖縄の過去・現在・未来
      (なでしこ)
(つぶやき)
位牌やお墓の事情に変化が激しい時代になっているようだ。位牌やお墓の相続をする跡継ぎがいなくなっているという現実は新しい死生観を生み出しているだろうか。
位牌とは何だろう。お墓とは何だろうか。普段日常に付随している普通の物、普通の光景が実はじわりと変容していることが身近でも感じられる昨今。
身近の事例でも、本家の跡継ぎが出てこない状況で、位牌を守る人、お墓を継ぐ人がいないという現実がある。結婚せず子供もいないゆえに独身で実家の位牌やお墓の面倒を見ている男性も女性もいる。

戦時中に唯一の長男が戦死し、跡継ぎを失った家族は次男系統の次男を養子にした。しかし長男が急な病いで他界し、次男の彼は結婚したが、子供に恵まれなかった。しばらく養子として本家の位牌やお墓を熱心に大切にした。しかし兄がいなくなった実家の位牌やお墓も彼の責務になっていた。当然両方の責務は厳しくなり、ついに本家の養子の登記を抜いた。

長男に生まれて独身を貫き、家の位牌やお墓の面倒を見ている70代の男性がいる。3姉妹は家から出て、母親と住んでいたが、その母親も90歳余で他界。一人残されたのである。

姉妹だけ残された時、実家の位牌やお墓を受け継ぐことはできないのか?20年も以前にトートーメー問題が話題になった。位牌の相続に関して男系・家父長制度の弊害に物申す女性たちが増えてきたのだと言えよう。家族制度の変化は、じわりとこの沖縄社会に忍び寄っている。

皮肉にも女性による位牌の相続に異議申し立てをしてきたのが同じ女性のユタたちだったという事実もある。ユタは沖縄の独特な家父長制度に依存した判示(解決)をする民間霊媒師(シャーマン)である。一族や家庭の悩み事、位牌や相続、お墓の事柄も含め、霊的な力でアドバイス、解決を生業とする世俗的存在である。昨今ではその相場も高くなっていると聞く。昭和3年生まれの母も時にユタの家に行き、悩み事の解決を求めていた。比較的聡明に見えた彼女だったが、年に何回か、家族や親族の問題で、ユタの家に赴いた。家族の行く末を占う意味も込められていた。

しかしそうした占いに熱心なのは、一般庶民だけではない。社会の上層部の人間や縁起をかつがざるを得ない職種の人々も熱狂すると言う。国の行方、社会や企業の行方を占うのである。

位牌とお墓の問題だった。跡継ぎがいないということは財産の相続の問題もからむ。土地などの財産がある場合、だれがそれを相続するか、それも位牌やお墓の相続と関連している。先祖代々の位牌やお墓を引き継ぎ、土地もまた引き継ぐ。その土地を売買することは名義人の特権になる。新しい民法においては兄弟姉妹は平等の権利を持つが、位牌とお墓の相続人が優位にたっているのは現況も変わらないだろか。

跡継ぎのいなくなった位牌やお墓は位牌預り、永代供養なり墓じまいがなされることになる。お墓の中に位牌を一緒に入れることもなされていると聞いた。お墓の種類もまた多様。最近目につくのは合同墓や樹木葬、自社仏閣内の納骨堂など。海に自らの灰を撒くという知人もいるが少数派だろうか。霊園が整備されてきている沖縄である。ゴルフ場と霊園とではどちらが広いのだろうか。悠久の死が悠久の生でもありえるゆえか、終の住処のお墓にこだわる人々は多いに違いない。お墓の形態も時代によって変化している。

位牌もお墓もいらないという、親鸞に帰依する夫婦もいる。ご本尊を大切に日夜勤行をつとめる知人もいる。
有限の生に無限の死が待っている。輪廻が信じられている宗派は未来志向に見えなくもない。

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