
「古典になりうる大作だ」と大城立裕さんの評価である。
「抒情詩的で内容の濃い作品。新たな組踊の可能性があった」と芸大学長の比嘉康春さん。
組踊を守るという思いも重ねたという嘉数道彦さんが繰り出す創作の蜜を吸い続けたいね。
演技について書いてみたいが、写真の佐辺良和さんや東江裕吉さんはキリリとした演技だったね。異父兄弟の復讐・仇討ち劇だったが、骨肉の争いによる王の位の奪い合いも琉球史の中にはあった。叔父と甥、兄弟、妃と夫人(妻)の闘い、王の寵愛の奪い合いなどなど。権欲をめぐる物語はシェイクスピアの歴史劇の惨劇にも実は劣らない。簒奪された王の妃や王子は殺された。結構血なまぐさい。殺す殺される。復讐、仇討ちが物語のブームのように組踊が創作されていった琉球王府時代でもあった。
物語の発端に関係性の破綻があり欲があり、性格の歪みがあり、傲慢≪ヒューブリス≫hubris になっていく人間のパターン化された物語がある。