
(草叢の蛇)
錯覚の闇の光
薄闇の中の灰色ネズミが足元からすばやく草叢に消えた夜
頭に浮かんだハイティーンの頃の実家の庭
溝鼠が鈴のようにないた夜
あれは喜びの予兆だった
溝鼠が鈴になった夜
あの涼しげな響き、鳴き声の明るさ
足音でちょろちょろと声をかすかに残し
消えた君
ふと目の先、草叢の中
大きな蛇が首をもたげている!
ありえない!
秋に登場する蛇は聞いたことがない
よくよく見た
動かない蛇はガジュマルの枝
鼠を追いかける蛇
蛇と鼠
鼠と蛇
動かない蛇
ちょろちょろ動き回る鼠
永遠の今
蛇は首をもたげ 鼠はちょろちょろと逃げまわる
薄明かりの中の動と静
目の錯覚
驚きが心臓の鼓動を高めた夜のドラマ
鼠と蛇
動と静
通り過ぎて振り返った!
薄明かりの中に大蛇!
永遠の今
溝鼠、蛇、薄明かり
大蛇が草叢で凝固する夜