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志情(しなさき)の海へ

かなたとこなた、どこにいてもつながりあう21世紀!世界は劇場、この島も心も劇場!貴方も私も劇場の主人公!

2チャンネルパワーはすごい!「テンペスト」の余波は続いているね。歴史家が史実との比較検証も!

2012-10-02 19:25:14 | 表象文化/表象文化研究会
 
池上永一の【テンペスト】の波及でHPアクセスが1848で驚き!理由は2チャンネル!でした。
                  (沖縄芝居「吉屋チル―」)辻とは以前琉球沖縄にあった遊里の名称である。2004年にトヨタ財団個人研究助成を受けて、この間沖縄芸能の中でス...
 

池上永一さんの小説は何十万部が売れまくって、TBSが舞台化しさらにHNKがテレビドラマにした。その勢いの中で史実との比較検証が歴史研究家からなされている。小説はフィクションである。それを念頭においてさえ、生身の実感として感じざるをえない琉球弧の民衆の感性は歴史を絶えずとらえかえす(反芻する)習性をもっているといえよう。それはアイデンティティーの葛藤とも絡んでくるのかもしれない。

「テンペスト」は極めて都会的で、根っこに女性たちへのエールがあり、ライト小説(幻想小説)のようなスタイルももっている。エンターテイメント小説の作風でもある。それに歴史的事実と照らして解明しょうとするエネルギーはそれも驚嘆させられる。基本的認識としての時代考証にも異議を唱える情念に圧倒される。物語のゆがみが歴史の歪曲化だとの批判もある。それも含めて琉球弧の歴史へのイントロになれば面白いと思うのだが、もっとシリアスに考える思考がある。たかがフィクションではなくなる。しかし面白くひきつけられて読んだ。主人公が女性で男装で政治を切り盛りするのは単純にかっこいい=クールである。ありえない着想だがシェイクスピアの戯曲には15・16世紀にして男装の麗人が登場する。それを琉球王府を舞台にしたらこのようになりました、の物語は女性の情念・知性・感性へのエールであり確かにここまできた歴史の道のりに順応させる筋書でもある。薩摩の侍との恋愛とかーー。ポジティブである。実際薩摩の血筋の方々が近代沖縄の経済を牛耳った背景も見え隠れする。

真鶴のアイデンティティーを知ってかつ彼女を愛し貫く男たちの在り様や生き様など、極めてロマンチックで女性の心をくすぐる筋書ではないか?苦境に陥らせ、そこから生還させ復活させる仕掛けもまた歴史の事実をうまく利用している。作劇の面白さだね。

歴史研究家の論文を読んだ印象について以前後田多さんの論稿についてはこのブログでも書いたが、西里先生の昨今の比較検証はじっくり読んでみたい。それから所見を書きたい。

《後田多敦さんが「小説『テンペスト』の比喩と歴史像の検討ーー素材としての史実と創作の間ー
沖縄大学地域研究所、地域研究9号に書いている。》

『テンペスト』考ー小説と史実の間ー 西里喜行 (『南島文化』沖縄国際大学南島文化研究所紀要、第34号、2012年3月)

シェイクスピアの歴史劇はイギリス王朝史にもなっていると称されるが、シェイクスピアはどれほど歴史的事実に依拠したのだろうか?急に史劇が気になってきた。『リチャード三世』や『ヘンリー四世』など人気があるね。『ヘンリー五世』だったかな?イギリス人のアイデンティを高揚させるほどの作品が『ヘンリー五世』だったか、フランスとの戦争が出来事である。王の有名な演説が精神を鼓舞させる勢いがある。少し史劇と史実の関係を調べてみたい。

たとえば琉球・沖縄人のアイデンティティーを鼓舞するほどの史劇なり人物造形はあるのだろうか?阿麻和利や護佐丸や尚徳やなどなど、意識的に見てみたい。

西里先生の論稿はなるほどで、『琉球の風』と『テンペスト』を比較している。是非一読を!歴史家の上里隆史氏の時代考証への手厳しい指摘が続くがそれも含めて歴史への関心を深めることになるのだろう。


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