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沖縄現代演劇協会合同公演Vol.4《見里発見伝》は初演より舞台美術も演技もこなれて最後の手紙にトリック!

2012-10-01 09:53:00 | 沖縄演劇

                (会場でいただいたチラシです。照明や音響など、舞台美術もなかなかいい!)

やはり以前ヒューマンステージで見た舞台の再演だった。どこが変わったかというと舞台が大きく、舞台美術がよりリアルになっていた。裏庭まで見せるナウイ美術はいいね。玄関台所への廊下、室内の奥行きも見せて、んん、舞台美術は数段優れていた。演技は田原雅之、犬飼憲子、当山彰一、新垣晋也、國仲正也、金城太志、又吉裕子、大山瑠紗と、なかなか見せた。

OZEの演技はどちらかと言うとクソリアリズム的なオーバーアクションが個性になっている。悌子役の大山は、はちきれるような演技を見せた。また又吉裕子の信子もその雰囲気で、色艶のある男遍歴の多い艶を見せていて、なかなか個性的な表情、身のこなしにかなり小悪魔的な女を演じることができる女優の誕生かと、期待できる。中堅どころ=軸が長女の智子=犬飼憲子である。そつなく安定した演技で閉めた。次男の義次郎の田原と犬飼の軸のブレない規範の象徴のような存在感が、このマンガチックな物語を締めて品格=リアリティーを与えている。その点で、役の割り振りを演出の真栄平仁はうまくやったなーという印象だ。長男のダメぶりを当山が金髪でやってのけたが、この物語の展開が喜劇=コメディーを意図しているので、それとない謎解きの物語としては、まぁ平板だが若者に受ける構成かもしれない。

筋書きは、後半に少し我那覇は手を入れたようだ。初演ではまるごと飛行機事故なくなった母親の手紙文の内容を、二重にした。本来の手紙の中身を長女の智子が書き換えて、即興で兄弟を暖かく見守る文面を披露する形態に変えた。そこは智子を軸にした落ちどころでよかった。手紙が朗読された後の兄弟たちの変化が明らかに見えたのも分かり良かった。初演の時も孝五郎の同性している女性を迎える場面で終わりだったような気がする。アトホームな雰囲気は良かったね。さて何がテーマなのだろうか?ウチナーグチはあまりはじけてはなかった。~バーを次男の田原が直すというのは以前なかった設定だな、これもなかなかのセンスだとは思った。しかし、ウチナーヤマトグチはあまり弾けない。我那覇孝淳は、まだウチナーの口語表現を取り込むことに難渋しているのかもしれない。沖縄の色を出しかねている印象だ。

(新垣、田原、金城の場面、舞台美術に注目、家、庭、入道雲の空がいいね!)

面白かった。でも漫画的で良かったね。疑問が、この少し変更した筋に起こった。あれだけ分厚い本を書いた父親の本の中身への言及が全くない。また大切なアルバムをリサイクルに出してしまう。(簡単に捨てる)のはおかしい。年長の智子や義次郎は独身だろうか?彼らに家族がいない設定も不思議である。彼らは何をして暮らしているのだろうか?社長をぶん殴って会社をやめた忠四郎がいる、あるいは部長にビールをかけて首になった礼三郎がいる。仕事を首になった兄弟が二人である。また栃木から戻った長男も借金を抱えて戻ってきた。みんな父親の書斎を狙っている。書斎をもつほどの父親がどういう男だったか見えない。どんな母親だったか見えない。世界を旅して回るほどの父親は何をしていたのか?そして母親?

メキシコ旅行に発つ前に残されたモノの謎をたどって最後のメッセージを求める(突き止める)物語の展開で、親の三回忌に集まった兄弟たちの設定だ。やはり漫画的である。我那覇の感性の漫画的要素は面白いが、ある面白ける。

智子と包丁の場面が二度出てきた。一度でいいね。包丁のイメージの大きさがある。台所仕事のついでに包丁をもって居間にきたが、そのシュールさだが、包丁のイメージの大きさがきつい。人参やじゃがいもを持ってならわかるがーー。

(母親からパジャマを残された仁四郎のその後のマークの中身は?)

音響は穏やかであまり耳に残っていない。里見発見伝との違いはなんだろう。そのカリカチュアだが、戯曲の奥深さは弱かった。面白かった。でもドスンと残るものがない。なぜだろう?又吉裕子の役柄は残るね。男に振り回される女、ハゲの金のある男をゲットせんとする女のリアリティーや同性しているガールフレンドがいる孝五郎など、なるほど身近に感じる。首になるエピソードも面白かったのは確かだ。しかし二人の類似が気にもなる。

ごくろうさまでした。見ていて飽きさせない舞台が続いている。現代沖縄演劇は健在だ。秋以降は公演が多いね。できるだけ見て批評はしたいと思う。役者が育っているのは嬉しい。手堅い!現況を超える作品が欲しい!足元を地球を照らす作品かな?

(智子が手紙を読むクライマックス!画像がぼけているね!照明は夜になっている。クールだ! )


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