「『沖縄建白書』を実現し未来を拓(ひら)くオール沖縄 那覇の会」の総会が20日、那覇市のパレット市民劇場であり、安全保障関連法制の廃止を訴える憲法学者の小林節慶応大名誉教授が講演した。小林名誉教授は辺野古新基地建設について「憲法問題で、沖縄の人々には拒否権がある」と述べ、工事を強行する安倍政権を批判した。

辺野古新基地建設に「沖縄の人々には拒否権がある」と訴える小林節名誉教授=20日、那覇市のパレット市民劇場

 小林名誉教授は名護市辺野古の新基地建設については「明確な憲法違反だ」と指摘。その根拠として憲法95条(地方特別法は住民投票の承認が必要)を挙げ、「面積が全国で4番目に小さい沖縄に、米軍基地の過重負担をかけている。これは地方特別法の問題と全く同じだが、政府は違うと開き直っている。憲法のプロとしては、95条の精神から立派に憲法問題といえる」と持論を展開した。

 また高市早苗総務相が放送法4条を根拠に、政治的に公平でない放送を繰り返す放送局に電波停止を命じる可能性に言及したことなどに「権力者が公正公平を判断してはいけない。恐ろしい話。メディアの自立が放送法の精神だ」とした。

 小林名誉教授はかつて自民党改憲派のブレーンだったが、憲法審査会では安全保障関連法案を「違憲」と指摘してきた。現在は憲法9条の精神をより明確に打ち出すべきだとする「護憲的改憲派」として知られる。

 総会には約430人が駆け付け、会場を埋めた。辺野古にバス定期便を出すことなど本年度の活動計画が報告されたほか、翁長雄志知事もあいさつした。