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シンポジウム『劇場と社会』3月11日:天野文雄先生の基調講演レジメをご紹介します!【拡散】希望

2012-02-28 00:11:24 | 表象文化/表象文化研究会

            (真喜志康忠氏の御親戚、真喜志康徳さんと:2月吉日)        

「能が演じられてきた場所」

平成十六年に大阪大学出版会から刊行した『現代能楽講義ー能と狂言の魅力と歴史についての十講ー』(大阪大学出版会)は、分類からいえば、能楽(能と狂言)についての概説書だが、そこではできるだけ研究上の新見を盛りこんだり、記述にそれなりの工夫をしたつもりである。たとえば、その第四講「能が演じられた場所」で、その「場所」 を、「神事能」「勧進能」「私的催し」「公演」の四つに分類したのは「工夫」の一例で、同講ではこの分類をもとに、それぞれの歴史的推移を概観している。しかし、この第四講「能が演じられた場所」を読み返してみると、その内容がこのたびの研究集会のテーマ「劇場と社会」にいささかそぐわないことに気づいた。というのも、そこで述べられている「社会」のほとんどが、将軍や上級武士を中心とした「社会」だからで、趣旨にいう「社会に開かれた劇場」とはおよそ縁遠い、もっといえばそれとは正反対ともいえる「場所」だからである。考えてみれば、現代社会の「市民」に相当する階層の人々が能という演劇をどのように楽しんでいたかは、戦後、飛躍的に進展した能楽研究にあっても、ほとんど解明が進んでいない分野なのである。しかし、能がそうした上流の階層によって支えられつつ、700年という長い時空を生きてきたことは確かな事実なのであって、その点は能という演劇の特色として、やはり認める必要があると思う。今回はそのうえで、右の4つの「場所」をめぐって、あらためて能が演じられた場所の「社会に開かれた」面について、お話しをしてみたいと思っている。


天野文雄(あまの ふみお)
天野文雄(あまの ふみお)昭和21年、東京都生まれ。(財)国際高等研究所副所長、大阪大学名誉教授。博士(文学)。早稲田大学第一法学部卒業後、国学院大学文学部学士入学。国学院大学大学院文学研究科博士後期課程修了。上田女子短期大学助教授、大阪大学文学部助教授、同教授、大阪大学大学院文学研究科教授を経て、現在に至る。著書に、『岩波講座能・狂言Ⅰ〔能楽の歴史〕』(昭和62年、表章氏との共著)、『翁猿楽研究』(平成7年、和泉書院。第18回観世寿夫記念法政大学能楽賞)、『能に憑かれた権力者ー秀吉能楽愛好記ー』(講談社選書メチエ、平成9年)、『現代能楽講義』(平成16年、大阪大学出版会)、『世阿弥がいた場所ー能大成期の能と能役者をめぐる環境ー』(平成19年、ぺりかん社。第40回日本演劇学会河竹賞、第5回木村重信民族藝術学会賞)、『能苑逍遥(上)世阿弥を歩く』(平成21年、大阪大学出版会)、『能苑逍遥(中)能という演劇を歩く』(同)、『能苑逍遥(下)能の歴史を歩く』(平成22年、大阪大学出版会)がある。現在、日本演劇学会会長、能楽学会代表。


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沖縄県立博物館・美術館3階講堂で開催されます。
入場無料です。
3月11日午後1時半開場、午後2時開始です。
パネラー
     幸喜良秀 (国立劇場おきなわ芸術監督「新作組踊の舞台化について」)
     高江洲義寛(作曲家、脚本家・プロデューサー「親雲上八太郎と玉那覇クルルン」作劇・プロデュース趣旨と劇場観」
     狩俣恵一 (沖縄国際大学教授「竹富島の民俗芸能など地域芸能に照らした組踊劇場への提言」
     鈴木雅恵 (京都産業大学教授「シェイクスピア・能・組踊ー「マクベス」「オセロ」の翻案舞台化を中心に」
コメンテーター
     板谷 徹 (沖縄芸術大学教授、2009年御冠船踊り復元の舞台を芸大中庭で実現しています)
コーディネーター
     与那覇晶子 (「組踊の系譜」科研プロジェクト代表、演劇批評/研究者、琉球大学)

尚、このシンポジウムは2月8日に開催された【「組踊の系譜」~組踊から沖縄芝居、そして「人類館」へ】に引き続き同じ文科省科研プロジェクトの一環として開催されます。

是非多くの方々に参加していただき、共に論議ができるシンポジウムにしたいと思います。それで時間を2-6pmの4時間にしています。

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