チョービンのバークレー日記 パート1
米で、高江中止の緊急決議案
8月15日(月)の沖縄の新聞2紙は、VFP(ベテランズ・フォー・ピース)―平和を求める元軍人の会―が全会一致で決議した沖縄関連の2本の決議案を一面トップで載せた。
沖縄タイムスのタイトルとリード文を紹介する。
「高江工事 中止求め決議 米退役軍人団体 強行を非難」
―「平安名純代・米国特約記者」米市民団体「ベテランズ・フォー・ピース(VFP)は13日、米カリフォルニア大学バークレー校で開いた第31回年次総会で、東村高江周辺のヘリパッド建設工事の中止を求める緊急非難決議案を可決した。米国で同計画を巡る非難決議が採択されるのは初めて。名護市辺野古の新基地建設中止やオスプレイの全機撤収などを盛り込んだ決議案と併せ、全米で最大規模の退役軍人の会が、沖縄関連の2本の決議を採択したことで、米国内における新たな沖縄支援の流れを形成しそうだ。―
東アジア共同体研究所 琉球・沖縄センターではこの会に合わせて「オキナワ辺野古写真展」を開催するため、瑞慶覧長敏事務局長と小波津義嵩君を派遣した。今回は現地からの報告を「チョービンのバークレー日記」として2回にわたって紹介する。
*この間のヴィデオレポートはAnti New Base Resistance Continues in Okinawa
‘(ユーチューブ)で見ることが出来る。
*瑞慶覧長敏は、ずけらんちょうびん、と読む。沖縄では珍しい名前ではない。米国留学中ハンガリー人かと聞かれたそうだ。Zukeran Chobin!ザッカラン・ショビン?
Chopinなら間違いなくポーランド人の音楽家、ショパンだ。
アメリカで沖縄の新基地建設ストップを訴える
1日目 8月9日(火)
夜那覇空港発―台北着。その日の深夜に台北発。11時間のフライトを経てサンフランシスコ着。
2日目 8月10日(水)
サンフランシスコのヴェテランズ会館でVFP功労賞授賞式があるということで、5時にクラーク・カーキャンパスを後にする。車の相乗りとウーバー(個人タクシーみたいなやつ)で最寄りの地下鉄駅まで行きそこからBART(Bay Area Railroad Transit)に乗り、会場に向かう。電車の販売機がむちゃくちゃ不親切で大雑把。駅のホームで一人の男性に彼の目的地への方法を聞かれて、我々も困ってるんだよと返答したら、“This system is stupid”(このシステムはホントに駄目だ)とさんざん愚痴を聞かされた。
何はともあれ目的地のヴェテランズ会館に遅れることなく到着できた。昨年沖縄でお会いしたDan SheaさんとAnn Wrightさんと再会する事が出来た。VFPUKから参加のNadiaさんは性被害が専門で、沖縄も大変でしょう、一度は行きたい場所ですと話してくれた。功労賞に選出されたFather Louie Vitale氏とも言葉を交わす機会が持てた。平和活動中に彼は何と200~400回逮捕された経歴を持っている。筋金入りだ。彼の著書を頂戴しサインも頂いたのでじっくり読んでみたいと思う。他にも数名の方と挨拶を交わしたが全員沖縄の事を知っていた。VFPの成り立ちからしたら当然と言えば当然ではあるが勇気づけられた。最後はギターの男性の演奏に合わせて、会場内の全員で手を取り合い、肩を抱き合いWe shall overcomeを大合唱。実戦で命を賭けてきた方々だからこその鬼気迫るものがあり感動ものだった。
宿にたどりついたら12時を回っていた。Veterans(注・沖縄から参加したメンバーのこと。いずれも酒豪ぞろい。)はとてもお元気です。明日からが本番だけど、我々の方が負けてしまいそうだ。床に就きます。
3日目 8月11日(木)
とにもかくにも写真展示スペースが決まったので全てOKです。場所は受付のすぐそばで結果ベストなプレイスです。写真を貼り出したのが5時過ぎで、隣りの広場ではオープニングパーティーが丁度始まり、結果多くのVFPメンバーが立ち止まって写真を見てくれた。
とてもラッキーだった。
DCから来たAliceさんは、この写真をDCに持ち帰って展示会をしたいと言ってくれました。
UKのメンバーも、この写真を基にさらに沖縄をリサーチして、沖縄に来たいと言ってくれました。
多くのメンバーが注目してくれたので、明日からまた楽しみです。
平和を求める元軍人たち
4日目 8月12(金)
VFP総会2日目 晴れ 夜は寒い
本格的に総会が動き出した。朝9時からオープニング講義があり参加。事務局長挨拶の中では、okinawaの活動は特異で、我々もそういうところがあるという事を認識しないといけないコメントがあった。
写真展では何組かのメンバーにインタビューすることができた。男性二人組が足を止めてくれて、こんないい写真展をやってくれてありがとう。あなたたちに感謝します。と話してくれた。米国市民にこのような写真を見せたら変わってくれるかな。と聞いたところ一人がうなずく前に、もう一人が、『憲法9条を変えようとしている人間がトップになっているあなたの国が問題じゃないの』と返された。アメリカ人も日本の政治状況を憂えているようだ。
さらに一人男性が来た。じ~っと写真を見つめて何も言わない。長い沈黙の後彼は『はー、、、。』とそれこそ長い溜息をついた。どうしましたかと私が聞いたところ、『ほんとに心が痛い』と一言。そしてまた『はー、、、』と長いため息をついた。彼は今年の4月に陸軍を辞めたと言い、昨年は、長崎、広島を訪ねたと話してくれた。名前がchrisAntal。沖縄にも一度は行きたいと思っている。とも話してくれた。彼の軍隊での役割は、神父みたいなもので、兵士に同行しアフガニスタンにも赴いている。心がきれいな人なのだろう。Okinawaで起こっていることを考えると本当に悲しくなると、絞り出すような声ではなしてくれた。翌日のワークショップでは、アメリカ軍のドローン使用について話すようだ。
もう一人男性が近づいてきて、なんでこうなっているんだ。どうして米軍は沖縄から出て行かないんだ、矢継ぎ早にに質問をしてきた。私は、思いやり予算のことや、地位協定で米軍が優位に立っている話や、沖縄の歴史、特に沖縄が136年前までは琉球王国という独立国だったという説明などを行った。さすがにそこまでは知らなかったと、えらく納得してくれたのが印象的だった。そして別れ際にWe are very sorry.とまで言ってくれた。
夜7時からは、バークレー大学本キャンパスでオリバーストーン含め4人の方のスピーチを聞き、その後クラーク・カーキャンパスに戻り、10時半から映画を鑑賞した。主人公はBrian Wilson氏。VFPメンバーの一人で、ご本人も総会に参加している。膝から下が両足とも義足の方だ。1987年8月に、米国のニカラグアへの軍備阻止でレールに座り込みを決行し、しかし非情にも弾薬を積んだ電車は止まることなく彼をそのままひき潰してしまう。命は辛うじてつながったけれど両足を彼は失ってしまう。しかしそれでも彼はその後義足になりながらも反戦運動を続け、いろんな国にも慰問や訪問を続けている。すごい方だ。
VFPROCK(注・沖縄支部)は中庭の全体スペースにテーブル2つをもらい、署名簿とか沖縄のパンフレットやらを置いて説明を精力的に行っていた。かなりの署名が集まったのではないか。
明日はいよいよVFPROCKの2つの決議案がかけられる予定だ。注目される。
「海兵隊撤退、辺野古計画撤回、オスプレイ撤収」が満場一致で可決
5日目 8月13日(土)
VFP総会3日目
朝9時の全体会議の前に写真展示場所に寄ってみると、一人の女性が熱心に写真を見ていた。開口一番『私はこのコンベンションに参加して本当に良かった。なぜかって、あらゆる場所から来たメンバーの様々な報告を聞くことで外で何が起こっているのかを知ることができたから。この写真もそうでしょ』とはなしてくれた。彼女のご主人は原子力セクションの一員としてベトナム戦にも参加した方だがガンで1年半前に亡くなっている。彼女は40歳の時に娘を授かったが体に疾患のある子で不幸な結果に終わっている。あの当時は放射線の危険性も枯葉剤にしても誰も教えてくれなかったけど、影響がなかったなんて言えないでしょう、と話す。彼女は今70歳、ワシントン州にある原子力潜水艦基地の危険性を取り上げてそれがいかに市民生活の脅威になっているのかを訴える運動に参加している。余談だが、彼女と私の卒業大学(CWU)が同じだとわかり、2人で盛り上がった。こんなこともあるもんだ。
4時過ぎVFP琉球・沖縄チャプターの議案の一つ(海兵隊撤退、辺野古計画撤回、オスプレイ撤収)がかけられ、満場一致で採決された。ひいき目を抜きにしても、この日一番の盛り上がりだった。みんなガッツポーズ。そして会議終了間際に高江の特別決議案(ヘリパッド建設工事撤回)がこれも満場一致で採決された。ラミスさん始め琉球メンバー全員が満面の笑みだ。会場にはバークレー市議のDiana Bohnさんも駆けつけてくれてメンバーらにねぎらいと祝福の言葉をかけていた。沖縄にとってもVFP全体にとっても大きなニュースだ。
朝から夕方までの長い会議が終わり、夜はBanquet(晩餐会)が行われた。VFPROCK RYUKYU OKINAWA Chapterも全員参加。パーティーの最後尾では、新しく設立された支部の認定式が行われ、琉球・沖縄チャプターにも正式な認定証がBarry Landendorf会長からメンバーに授与された。会場の参加者400人はいただろうか、会場全体が祝福してくれた。その後、入れ代わり立ち代わり琉球のところには他のチャプターメンバーが握手を求めてきた。『はるばる来てくれてありがとう。おめでとう』と皆さんが声をかけてくれた。
長い一日が終わった。
明日も分科会が終日組まれている。まだまだ続く。(来週のパート2をご期待ください)
報告会およびUIチャンネル等のお知らせ
8月21日(日)午後5時~7時、那覇市久茂地1-2-3パーキングビル2階の東アジア共同体研究所 琉球・沖縄センターでバークレー写真展の報告会を開催する。
バークレーでのヴェテラン・フォー・ピース(VFP・平和をめざす退役軍人の会)総会および写真展、現地との交流の模様などを報告する。
参加希望の方は098―963-8885までご連絡下さい。(限定40名)
この模様は9月5日(月)夜8時からのUIチャンネルで放映。
ユーチューブで「オキナワ辺野古は今」の英語版とバークレーレポートを見られます。
Anti New Base Resistance Continues in Okinawa←Youtube で視聴できるのですね!