選挙よもやま

選挙が始まると思い出すんだな・・・


もう20年も前の話。

さる、地方都市。

2世議員で花々しくデビューしたA氏。

親父の基盤を引き継ぎ、安泰のご様子でしたが・・

しかし、今回の選挙では、なかなか厳しい戦いを強いられているそうなんだな。


A氏の出身母体は、わが社の労働組合。


当然組合が応援に乗り出すわけなんだけど、

なぜか、すべての組合員が駆り出されるのよね

それも
無報酬。ですよ。


無問題（もーまんたい！）ではなしに無報酬！




毎日、仕事の終わった18時にとある場所に呼び出され

応援はがきに切手を貼ったり、宛名書きしたりさせられてた。


それも無報酬ですよ。


女の子なんか選挙カーに乗せられて、手を振ってたもんな～。


それも無報酬。

いくら、保守党じゃないからって・・

無報酬は無いんじゃないの？

べつに、俺ノンポリだけど・・・



ある日の話、組合の幹部に呼ばれて


「今日はな、いつもと違うことをやってもらう」



なにやら声を潜めて怪しいムード。


「これはな、個別訪問って言って、簡単に言うと

1件1件個別に訪問してAさんをよろしくお願いします！って

頼んでほしいのよ」



「はあ・・・」　



声が又小さくなり



「実はな、個別訪問ってのは選挙違反なんや」


「ええええ～！！！そんなことして捕まんないんですか？」



「まあ、一応、応援してくれる人の所へ、確認に行くだけだから

ちくられることもないやろ。」


「まじですか・・・・・」


「本当」


嫌だな～・・


「それでな、3人一組で行ってもらう。

○○タクシー組合の人が運転役、郵便局の人が地図を見る係り

それで、君が訪問してお願いする係りだ」


はあ？！なんですと。うちの組合とタクシーの組合と郵便局の組合
って要するにお仲間なのね・・


1番嫌な役やん・・・

もし摘発されたら俺だけ捕まるんちゃうん？？？


「な、なんで、そういう分担なんですか？」


「そら、おまえ、タクシーの運ちゃんは運転がうまいし、

郵便局の人は地図見慣れてるやろ、どうや、完璧な布陣やろ」

って・・

こいつ頭おかしいんじゃないの。殺すぞ！

なんで、わしがこんな目にあわなくちゃいけないんだろう。

それも無報酬やで。

１人でいくんだったら、適当にごまかして、

「１００軒行って来ました～！！」

って言えたのに、3人一組じゃごまかせないやん！！！


今のおれだったら、

「こんなもんやってられるか～！！」って切れてるかも
しれませんが、その頃は純情可憐な青年だったのね。


いやいや、行きましたよ・・・
え～え～行きましたよ！


少し泣きながら行ったよ・・


応援者のリストをもとに、郵便局の兄ちゃんが住所を調べ
タクシーの運ちゃんに教えます。
2人とも各組合から同じように因果を含められて
派遣されてるようです。

お前らはいいよな、運転して地図見るだけだもんな・・・


目的の家に着くと、俺が訪問します


「こんばんは～」

「なんですか？」

夜の食事時、たいがい迷惑がられます。

こっちだって好きで来てるんじゃないぜ・・・

「A事務所から参りました～。選挙の際にはよろしくお願いします～」


「ああ・・わかりました。」



ほんとに、こんなんで効果があるのかよ？


組合の幹部よんで、小一時間問い詰めたい。

横に立たせて問い詰めたいよ。

お前、やってみろ！


車へ戻り、チェックリストへ

感触を書き込みます。


良い。普通。悪い。

なんですか？「良い」に○つけると1票ゲット！ですか？

意味不明・・・


これで終わりです。


これを1晩に30軒くらい廻ります

疲れます。


無報酬やし・・・





腹が立つので全部「悪い」にしてやったわ。

ふふふ・・ふん！




結果、見事トップ当選。

お前、誰のおかげで当選したかわかってるんだろうな？

お礼や感謝の言葉なんか要らないから、金くれ、金！

日当払えっちゅうの！













ちなみに俺はＡ氏には入れなかったけどね！ふん！




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