八号古墳に消えて 黒川博行
いろいろあって疲れてるときには
黒川御大の本に限りますね
2004年の作品ですが、古さを感じさせない
リアルな展開がすごい
あらすじから
考古学の権威・浅川教授の遺体が大阪・八尾の遺跡発掘現場で見つかった。
体内に残された土の成分から、別の場所で殺された後に運ばれたことが判明。
考古学関係者の犯行が疑われ始める。
捜査に乗り出したのは大阪府警の名物刑事、「黒さん」こと黒木と「マメちゃん」こと亀田の“黒マメ”コンビ。
やがて、浅川の裏の顔が明らかになり始めた矢先、またしても発掘現場で不可解な死が。
手がかりは、失踪した研究者が残した写真。
そこには謎の古墳壁画が写されていた。
能天気だが、やるときはやる二人組が学界の闇に隠された真相に迫る
とまあこんな感じ
大阪を舞台に大阪弁で会話が弾む。読んでいて楽しいです
知った地名が出てくると土地勘もあるので、よけいに面白いですね
黒川御大の緻密な取材により考古学界の闇にせまります
特に古墳は、天皇の墓ということで
宮内庁の管轄。簡単に調査発掘のできるものではないそうで
いまだ発掘されていない古墳も多々あるとか
私が幼少期、高松塚古墳が発掘され
きれいな壁画が発見されたニュースはすごかったですね
その壁画が切手シートになった時は
生まれて初めて郵便局に並びましたわ
一発逆転の発見により地位を築いたり財を成したりするのが
名前を上げるのが考古学者たちの夢なんでしょう
なもんで、遺物を偽造する輩が出てきたりするわけですな
そんなどろどろとした考古学界の闇を描きつつ
能天気を装う黒豆コンビが、緻密な捜査で
証拠をひとつずつ積み重ねていく、黒川御大の真骨頂ですね
リアルな展開がすきです
巷にあふれる、映像化されて調子に乗ってる
ミステリー作家の作品の浅薄さには辟易します
そういう時に黒川御大の作品を読むとほっとしますな。