久しぶりに「ビブリア古書堂の事件手帖」を読み返してみて、「そう言えば」と
古い本を本棚から出してみた。
北海道の我が家を売ったのはもう8年くらい前の事だが、その際にこの2冊を大阪に持って帰った。
子供のころから家にあった世界文学全集の、私のお気に入りの2冊をとっておいたのを見つけたのだ。
当時の値段は680円と480円。私が子供の時にあったのだから、60年位前に買ったものだろう。
昔の家にはよく、文学全集や百科事典が本棚に置かれていて、あまり読んでも使われてもいない、という事があったものだ。
我が家もご多分に漏れず、この河出書房の世界文学全集が揃っていたのだが、父も母もこれを読んでいるのを見た事がなかった。
母は本好きで、ストーリーなど内容を知っていて教えてくれたが、どうも、この本自体を読んだのではなくもっと、昔に違う本で読んだのでは?という風で、
本はどれも、ほぼまっさらな状態。
子供心に、何のためにあるのか不思議に思ったものだ。
全25巻だそうだが、子供のころにこの2冊のほかに私が読んだのは、「嵐が丘」「アンナ・カレーニナ」「風と共に去りぬ」、ハムレットやオセローなど有名どころの入ったシェイクスピアの1冊、同じくエドガー・アラン・ポーの1冊位か。
シャーロット・ブロンテの「ジェイン・エア」は、特にお気に入りだった。小4くらいか?図書館で子供向けのものを読んだのだが、なぜか最初の数ページが破れて取れてしまっており、出だしが分からない。知りたい!と大人向けのこの世界文学全集から引っ張り出して読み、すっかりはまったもの。
妹エミリの書いた「嵐が丘」の方が当然評価が高いけれど、子供にはこちらのストーリーの方が分かりやすかったからだろう。
考えてみると、「出来すぎ」のストーリーではある。
母には、「小学生が恋愛小説読んでww」と笑われたが、言われて気づいた位で、そういう意識はなかったのだ。
ストーリーは波乱万丈でわくわくしたし、イギリスの、ヒースの荒野(そもそもヒースって??と思いつつ)の風景を思ったり、フランス育ちの少女が話す、フランス語の本文が入っているのが素敵!と、見知らぬ外国への興味が湧くものでもあった。
豚にあげるおかゆってどんなんだろう?とか、ローマ風の顔立ち、オリーブ色の肌って?? 様々なわけのわからぬ表現に幻惑されたのだろう。
パール・バックの「大地」もそう。さすが中国が舞台なだけあり、食べ物の描写が面白かった。お茶の葉を直接茶碗のお湯に入れて飲む?トウモロコシの粉を湯に入れてかき回して食べる?これってコーンスープ?
豚の脂と米粉と砂糖で月餅を作る所など、「あの、お肉の端っこについてるあの脂部分??をお菓子に??」と頭が混乱したものだ。
今ならば、「道理で月餅、おなかに重いよな…」と考えるだろうけど。
こちらも親子孫3代に渡る壮大なストーリーが子供にも面白かったのだろう。
エドガー・アラン・ポーのものも面白かった。取っておけばよかったな。
特に「メエルシュトレエムに呑まれて」。この世界全集では「大渦にのまれて」だったかも?
スリリングでドキドキしたものだが、ググってみると、舞台になった渦はそこまで巨大で危険な大渦ではないらしいので拍子抜け。
何でもかんでも調べてみるもんじゃないなぁ…
母が好きだったので、「アッシャー家の崩壊」もつられて好きになった。
死んだはずの妹が少しずつ近づいてくる物音、真っ二つに割れた家の向こうに月が、なんていう描写は恐ろしくて、想像力をかきたてたものだ。
しかし、"The Fall of the House of Usher"って、英語にするとなんでも軽く見えるのはなぜ?いつも思う事だけど…
「ビブリア古書堂の事件手帖」には、エドガー・アラン・ポーならぬ江戸川乱歩の名も出てくる。私もいくつか小学生の頃に読んだが、その中でお気に入りだったのが
「悪魔の紋章」。これは、ほぼ、明智小五郎が出てこない。いつになったら登場するのか?と思っていたらラストのラストに出てきていっぺんで事件解決、
なんとなく納得いかない感じがしたものだ。
なのでよく覚えているのかもしれないが、乱歩らしい仕掛けが面白い。隠れるための箱がベッドの下にあったり、切られた指が箱に入って届けられたり。
特に面白かったのが、お化け屋敷(作品内ではお化け大会となっている)で死体発見、というくだり、改めて、私の好きな作家、栗本薫は相当乱歩の影響受けてるんだな、と実感した。よく似た設定があるのだ。
登場人物がお化け屋敷の中で、「迷路の歩き方を知っているかね。右ならずっと右と決めて歩く…」と話す所は、なるほどと感心したせいかセリフまで大体覚えていた。
覚えていた、というのは、最近50年ぶりに「聴いた」からだ。オーディオブックの無料お試し期間でまさに「試して」みたのだがなかなかよかった。
おどろおどろしい読み口調もよろしく、目も疲れないし寝ながら聞いてみると場面が、50年前本で読んだ頃と同じように浮かび上がってくる。
ただし、時間がかかりすぎる…この作品なら9時間以上聞くことになるのだ。
読む方が早い気がする。サブスクの月額も結構なもの、文庫本なら2,3冊は買える。
スキマ時間に聞ける、効率的、とうたわれていたりするが、こういった小説よりは、私の苦手な自己啓発本なんかで、短いもの向けを
通勤時間に聞くのが良いのかもしれない。
古い本を本棚から出してみた。
北海道の我が家を売ったのはもう8年くらい前の事だが、その際にこの2冊を大阪に持って帰った。
子供のころから家にあった世界文学全集の、私のお気に入りの2冊をとっておいたのを見つけたのだ。
当時の値段は680円と480円。私が子供の時にあったのだから、60年位前に買ったものだろう。
昔の家にはよく、文学全集や百科事典が本棚に置かれていて、あまり読んでも使われてもいない、という事があったものだ。
我が家もご多分に漏れず、この河出書房の世界文学全集が揃っていたのだが、父も母もこれを読んでいるのを見た事がなかった。
母は本好きで、ストーリーなど内容を知っていて教えてくれたが、どうも、この本自体を読んだのではなくもっと、昔に違う本で読んだのでは?という風で、
本はどれも、ほぼまっさらな状態。
子供心に、何のためにあるのか不思議に思ったものだ。
全25巻だそうだが、子供のころにこの2冊のほかに私が読んだのは、「嵐が丘」「アンナ・カレーニナ」「風と共に去りぬ」、ハムレットやオセローなど有名どころの入ったシェイクスピアの1冊、同じくエドガー・アラン・ポーの1冊位か。
シャーロット・ブロンテの「ジェイン・エア」は、特にお気に入りだった。小4くらいか?図書館で子供向けのものを読んだのだが、なぜか最初の数ページが破れて取れてしまっており、出だしが分からない。知りたい!と大人向けのこの世界文学全集から引っ張り出して読み、すっかりはまったもの。
妹エミリの書いた「嵐が丘」の方が当然評価が高いけれど、子供にはこちらのストーリーの方が分かりやすかったからだろう。
考えてみると、「出来すぎ」のストーリーではある。
母には、「小学生が恋愛小説読んでww」と笑われたが、言われて気づいた位で、そういう意識はなかったのだ。
ストーリーは波乱万丈でわくわくしたし、イギリスの、ヒースの荒野(そもそもヒースって??と思いつつ)の風景を思ったり、フランス育ちの少女が話す、フランス語の本文が入っているのが素敵!と、見知らぬ外国への興味が湧くものでもあった。
豚にあげるおかゆってどんなんだろう?とか、ローマ風の顔立ち、オリーブ色の肌って?? 様々なわけのわからぬ表現に幻惑されたのだろう。
パール・バックの「大地」もそう。さすが中国が舞台なだけあり、食べ物の描写が面白かった。お茶の葉を直接茶碗のお湯に入れて飲む?トウモロコシの粉を湯に入れてかき回して食べる?これってコーンスープ?
豚の脂と米粉と砂糖で月餅を作る所など、「あの、お肉の端っこについてるあの脂部分??をお菓子に??」と頭が混乱したものだ。
今ならば、「道理で月餅、おなかに重いよな…」と考えるだろうけど。
こちらも親子孫3代に渡る壮大なストーリーが子供にも面白かったのだろう。
エドガー・アラン・ポーのものも面白かった。取っておけばよかったな。
特に「メエルシュトレエムに呑まれて」。この世界全集では「大渦にのまれて」だったかも?
スリリングでドキドキしたものだが、ググってみると、舞台になった渦はそこまで巨大で危険な大渦ではないらしいので拍子抜け。
何でもかんでも調べてみるもんじゃないなぁ…
母が好きだったので、「アッシャー家の崩壊」もつられて好きになった。
死んだはずの妹が少しずつ近づいてくる物音、真っ二つに割れた家の向こうに月が、なんていう描写は恐ろしくて、想像力をかきたてたものだ。
しかし、"The Fall of the House of Usher"って、英語にするとなんでも軽く見えるのはなぜ?いつも思う事だけど…
「ビブリア古書堂の事件手帖」には、エドガー・アラン・ポーならぬ江戸川乱歩の名も出てくる。私もいくつか小学生の頃に読んだが、その中でお気に入りだったのが
「悪魔の紋章」。これは、ほぼ、明智小五郎が出てこない。いつになったら登場するのか?と思っていたらラストのラストに出てきていっぺんで事件解決、
なんとなく納得いかない感じがしたものだ。
なのでよく覚えているのかもしれないが、乱歩らしい仕掛けが面白い。隠れるための箱がベッドの下にあったり、切られた指が箱に入って届けられたり。
特に面白かったのが、お化け屋敷(作品内ではお化け大会となっている)で死体発見、というくだり、改めて、私の好きな作家、栗本薫は相当乱歩の影響受けてるんだな、と実感した。よく似た設定があるのだ。
登場人物がお化け屋敷の中で、「迷路の歩き方を知っているかね。右ならずっと右と決めて歩く…」と話す所は、なるほどと感心したせいかセリフまで大体覚えていた。
覚えていた、というのは、最近50年ぶりに「聴いた」からだ。オーディオブックの無料お試し期間でまさに「試して」みたのだがなかなかよかった。
おどろおどろしい読み口調もよろしく、目も疲れないし寝ながら聞いてみると場面が、50年前本で読んだ頃と同じように浮かび上がってくる。
ただし、時間がかかりすぎる…この作品なら9時間以上聞くことになるのだ。
読む方が早い気がする。サブスクの月額も結構なもの、文庫本なら2,3冊は買える。
スキマ時間に聞ける、効率的、とうたわれていたりするが、こういった小説よりは、私の苦手な自己啓発本なんかで、短いもの向けを
通勤時間に聞くのが良いのかもしれない。