たのしい夢日記

京都奈良寺社巡り・思い出・読んだ本…日々のあれこれを写真と共に。

雨の京都。

2012-08-26 23:56:01 | 現実


大徳寺納豆というのは、名前は知っていたが食べたことはなかった。
甘納豆のように乾いていて、でも味はしょっぱい。知識はそれだけ。(美味しんぼより)

今年は、大好きな京都でも、回っていなかった所を歩いて撮影の旅をしているが、大徳寺は有名だけれどもあまり食指が動かなかった。
こちらも知識としては、

豊臣秀吉が織田信長の葬儀を行った。
山門に千利休の像が置かれて、それを口実に切腹を言い渡された。

位のところ。

お盆中にはどこに行こうかな、と思っていつもの「歩く地図」をあれこれひっくり返してたまたま大徳寺の欄を見ると、「高桐院には細川ガラシャの墓がある」との事。
そうだったんだ、では行かなくては。尊敬する女性の一人である。

そして、「そうだ、大徳寺納豆を買って来よう!」
相当ずれた理由二つだが…。

北大路駅からバスに乗ったら、結構な雨になった。
傘さして写真撮影は厳しいが、雨も雰囲気があってよいだろう。

お寺といっても、ここは「禅寺集合体」みたいな感じ、広い寺域に、いくつもの建物「塔頭」がある、という作り。塔頭も全部を公開している訳ではない。
行ったのは大仙院(国宝で写真は撮れず)、高桐院、竜源院の三つ。

禅寺というのは、石庭で有名な竜安寺もそうだが、シンプルの極み。色は緑のみ、あとはモノトーン。いっそ、「おしゃれ」といってしまいたいくらいのセンスの良さ。
大仙院、竜源院などの庭はそういう作りになっている。

私の行きたかった高桐院は、秋に訪れたらさぞ美しいだろう、と思われる。さびしげな庭にたくさんの青もみじ、苔も青々して、静かな良い庭だった。
細川忠興とガラシャ夫人の墓も実に質素で、千利休から贈られたという灯籠を使ったという小さなもので、ひっそりとした庭の片隅にあった。

雨が幸いして静かな時を過ごせた。こういうのも悪くないものだ。写真も面白いものが撮れたし、何と言っても人が少ない京都なんて珍しいのだから。


さて、あとは大徳寺納豆だ。
寺までの道には、鉄鉢料理(禅寺のお坊さんが食べるという精進料理)の店があるのでその一つに寄ってみる。



これは普通の精進料理セットで、鉄鉢料理は小さい丸い鉢にこまごま盛るもののようだ。これも相当こまごましてたけど…精進料理だから、肉類はないけれど結構揚げ物が多いので、カロリーはありそうな気がする。どれも小振りだからくどいことはないし、色々な味を楽しめてよかった。

近くの酒屋さんで大徳寺納豆を店の前で売っていたので購入。いかに体に良いか説明もしてくれる。

「ベンピが治った言うて喜ばれましてん」

ははあ…

お坊さんの大事なタンパク源だったというが、確かにベジタリアンは豆食べるもんね。
その上保存も相当長く出来るそう。ちょっと味見させて頂くと、しょっぱい…納豆というよりは味噌の味。

「だし巻に入れたら美味しいですよ」

なるほど、味付けに使えそう。そのまま食べるのはちょっと無理かな。

京阪で帰ることにして祇園あたりで「デザートでも欲しいかも?」と急に思い立つ。「都路里」は当然のことながらいつものように2階へ続く階段、歩道までぎっしり並んでいるから問題外。

ここもいつも入れないけど…鍵善に行ってみる。

「6時で閉店ですけどよろしいですか?」今は5時半。食べ物屋さんが6時閉店て???お菓子売ってるコーナーも???

老舗は余裕。




以前から食べたいと思っていた、ここの定番メニュー、葛きりはさすがに美味しかった!筒みたいなものをどーんと置かれ、開けてみると一番上が黒蜜の入れ物、外すと水に入った葛きり。涼しげで、夏に最高の和菓子デザートじゃないだろうか、見た目も。

関西に来たときには「葛」も謎の食べ物だったけれど、今ではすっかりお好みのひとつ。

ほんの数時間の、夏雨の京都散策の締めとして涼しいデザートというのもなかなか。



デジブック 『京都・雨の日。』
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夏休み、宮島・広島へ。

2012-08-22 00:16:32 | 現実


デジブック 『海上の神域。』



やっと待ちわびた夏休み、一日目に広島まで新幹線の旅。私は九州に行ったことがないので、これが今のところ、日本国内で一番西側への旅である。
以前から行ってみたかった宮島へフェリーで渡り、のんびりと観光を一人で楽しんできた。暑かったけれど…。

一人でのんびりと新幹線でお弁当を食べたり、ぶらぶら気の向くまま歩き回るのは最高。「命の洗濯」という言葉を思い出す。
明日の事があるから早く帰らなきゃとか、ご飯支度しないと、というような現実をたまには、忘れないと。時間を気にしなくて良い、というのが私には一番。

よく、一人では歩けないとか、ご飯一人で食べられないとか、いう人がいるが私は全くそういう事がない。喋る相手がいない、とそういう人は言うのだが、別に喋る必要もない、というか喋らなくてよいので気楽。私は元来そう話好きでもない。常に喋ってるという仕事なので、黙っていてもOKなのはありがたいくらいである。

まだ9日だったのに、もうすでに観光客と鹿でいっぱいの宮島、でも、海に囲まれているせいなのか、「神域の島」なのだけれど神々しいというよりのんびりとしている。
それでも、乗った小舟のガイドさんによれば、生まれるのも死ぬのも島ではダメなんだとか。

「生まれるのは予定わかったら対岸に移動します。死ぬのは…予定できませんからね、死んでもいいんです、でも葬式は島では出せません」
…なかなか面白いガイドさんだった。

海上からの大鳥居バック写真それぞれのカメラで撮ってくれるのだが、60歳は超えていると思われるのに、デジカメ、携帯の写メ、私の渡したスマホ、どれでも撮影ばっちりOK!
船の上でもぶれもしない。プロ!

帰りは広島で大急ぎで平和記念公園と原爆ドームへ。
祈念館をゆっくり見られなかったのが残念だった。広島には外国人観光客の姿が多いのが目につく。京都と同じくらい、いやそれ以上の割合だ。
うちの外人教師たちも必ず、広島へは行く。関西圏から遠くないせいもあるが。 
原爆ではないにせよ、人知の届かぬ危険を冒した、と言う点でヒロシマ・ナガサキに「フクシマ」が加わった今、すべての人々に訪れて欲しい場所である。

ライトアップされた原爆ドームを撮影していると、ドーム周りの植木の垣根に散水車で水を遣っている3人の作業員が目についた。みな20代らしき若い男の子だ。
一人はホースをもち、一人は車の後ろにつかまって乗っている。
ホースを持った若者が、ふざけてホースの水をもうひとりの背中に向けて水をかけている。
こんな暑い日にはかえって気持ちいいだろうと思うが作業着はびしょ濡れで大騒ぎである。

私も思わず笑ってしまったが、楽しげに笑っている若者を見ていると、同じように暑かった数十年前の8月6日に、こんなような若い男の子がこの辺りでたくさん、一瞬にして亡くなったり、水を求めて亡くなったりしたのだと言う事実に思いをはせずにはいられなかった。






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お酒の神様

2012-08-03 02:37:29 | 現実
私は下戸。

よく、「ビール一杯位…」と気軽に言われる事があるが、ビール一杯も飲んだら倒れてしまう。奈良漬さえものによってはダメ。
父も母も全く飲めない性質で、これは遺伝だろう。
「飲んだらどうなるの?」と聞かれることもある。つまりは、赤くなるとか眠くなるとか騒ぐとか、「酒癖」系の事を避けるため飲まないのか、と飲める人は思うらしい。
それ以前の問題で体が受けつけないのだ。

なので「お酒の神様」には縁がないかと思われるが、酷暑の休日に京都、松尾大社に行ってきた。

阪急松尾から、歩いて5分位と近いからというのもあり。
真夏の京都だと、10分歩いたらもうムリ、と言う位暑いので…。



ここは、愛読書のひとつ、宮尾登美子の「蔵」に出てくるので、行って女神さまを見てきたかったのだ。「蔵」の主人公が「お酒の神様の一人は女神だった、女でも蔵元にはなれるはず」と勢いづく場面がある。
小説の方では、御堂を特別に開けてみせてもらう、というシーンだが、今では神像館にガラスケースに収められている。

さすがにこの暑さのなか、観光に歩く人も少なく、神像館のおじさんは暇そう、説明もあれこれ詳しくしてくれたが、やはり女神像というのは珍しいらしくこれを見に来る人は多いそうだ。もういいんだけど…と言う位の説明にお付き合いして(なにしろ私しかいないのだ)、さて、あとはさっきチケットを買った、お抹茶席に行くことにする。

小さな座敷に通されると、丸窓から庭。とても良い風情だが、ここでも私だけ。
お茶とお菓子が載ったお盆が出され、さすがにここは涼しくエアコン入ったお部屋で一休み。 ここは係の人の受け付けもあり、係の女性があれこれ話かけてくれるが…どっちかと言うとのんびり一人で涼みたかったなあ…。でも来られる方と人生話をいつもするそうだ。
わざわざこの暑さの中来られたの?と不思議そうに聞かれる。


その後は境内、庭めぐり。
有名な作庭家(私は知らなかったが)重森三玲という人が昭和50年に作ったものだそう。曲水の庭、上古の庭、蓬莱の庭、とある。
水が巡る曲水の庭は涼しげ。





ふと傍らを見ると蜘蛛の巣のアート。





さらに奥に進むと鳥居が見えてくる。ここの神社の水を頂いていくと、お酒が腐らないというので、蔵元の方々が来られるのだそうだ。






滝の辺りはちょっと日陰で、幾分涼しい。この滝は涸れないのだそう。


松尾大社は水辺に山吹の花が有名だそうで、今も少しばかり咲き残っている。花盛りの頃は見事だろう。






それにしても暑かった…じりじり焼かれているような暑さ。用心して、行く前に「ソルティライチ」を一本、その後も水分補給を欠かさず歩いたが、シャワー浴びたみたいな汗。

しかし、真夏のめちゃくちゃ暑い京都、真冬の底冷えの京都、どちらも実は、私は好きなのだ。特に夏。
春秋の美しさは言うまでもないが、実は今まで京都めぐりをしてきた中で、とても印象に残っているのは夏なのだ。
意外に「水」があるからなのでは?と思う。

下賀茂神社も、上賀茂神社や近くの社家あたりもそう。鴨川はもちろんのことだが、有名どころの嵐山、哲学の道、貴船、祇園、どこにも水がある。

街中を歩いていてもちょっとした流れがある事も。

そんな流れを見つけると、ふっと涼しさを感じてほっとする、そこがかえって夏を良いと思わせる部分なのかもしれない。

コメント (3)
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