たのしい夢日記

京都奈良寺社巡り・思い出・読んだ本…日々のあれこれを写真と共に。

味と香り

2012-06-19 00:31:15 | 読んだ本について
阿刀田高さんの本は20代頃によく読んだ。

正直短編は、あまり好みではない。気に入った本ならばずっとその中に浸っていたいと思う方なので…しかし阿刀田さん短編集は結構好きで、たくさん持っていたものだ。
ギリシャ神話や聖書を楽しく描いた短編集なども好きだった。

その中で、いつも思い出す短編があった。この人の書くものの特徴は、「奇妙な味」、ちょっと不思議な現象や、不気味な話も多い。テレビ番組の「世にも奇妙な物語」にも使われていることが多いのもわかる。

私の印象に残っていたのは、「味の幽霊」の話だ。最初の「糟糠の妻」が亡くなり、その後数年して成功した男性は若い美人の2度目の妻をもらい周りには羨ましがられている。ある日知り合いの人に招かれたパーティで、出てくる料理が覚えのあるものばかり、という体験をする。それは、苦労していた頃、前の妻がいろいろと工夫をして美味しく作ってくれた料理の味と同じだった、というもの。
断片的にしか覚えていなかったが、「奇妙な味」でありながらどこか、昔の妻に感謝している男性の暖かい話で、阿刀田さんの優しさ、のようなものが出ている気がして、気に入っていた小品だった。

しかしその短編のタイトルがわからない。どの短編集に入っていたのかも。

去年の夏帰省した時も全部調べてみたのだが、なかった。独り者になった時たくさん本を古本屋で処分したので、その時に一緒に持って行ってしまったのだろう。

思いついたのがネットで調べること。「阿刀田高 味 幽霊 亡くなった先妻」などのワードで検索をしてみるが、これがなかなかうまく行かない。そういうタイトルではなかったらしいがとにかく、覚えていないのでどうしようもない。考え付く限り検索し、阿刀田高の小説を沢山紹介しているWEBページがあって、やっとそれらしいものを見つけた。ちょっとだけあらすじが載っている部分でわかったのだ。短編集は「甘い闇」という名だった。

「奇談パーティ」・・・これじゃ全然わからなくても不思議じゃないな。「味」なんて言葉どこにも入っていないんだから。

早速Amazonで注文して読んでみる。

「奇談パーティ」は、今の妻と結婚した際の仲人の、昔の高校の恩師が「百物語」をするパーティを自宅で開く。そこで集まった人たちがひとつずつ、怖い話をし、ひとつずつ電気を消していく。最後の灯りが消えた時、列席者に関係ある幽霊が出る、などと恩師はいうのだが、そんなことはなくパーティは無事終わる。

しかし主人公は考える。幽霊はもう出ていたのでは、と。

パーティで恩師の娘さんが出してくれたオードブルやスープが美味しくて皆感心するが、それはすべて、亡くなった妻が作ってくれたものと同じメニュー、味であった。
美人でもなく今の妻とは比べ物にならない位冴えない妻だったが、お金をかけずに工夫する料理の味に関しては「私は自慢できるものがあるのよ」と言っているようだった。
そんな終わり方だった。

百物語のパーティだったことはすっかり忘れていたが、料理の内容まで覚えていたのでかなり印象に残った作品だったのだろう。
ニラを使った和風のような洋風のようなスープ、とか、納豆を使ったカナッペ、なんていうのは「変わってるけど美味しそう」と思って、ニラの洋風スープを作ってみたこともあった。
ニラなら中華風にするのが定番だろうけれど、洋風も確かに合うだろうな、と。

列席者の話の中には怖いものがあったが、この主人公の妻の幽霊は決して怖いものではなく、どちらかと言えば爽やかな感じがしたし、亡くなった妻を懐かしむ様子がいい「味」を出していて、四半世紀経って読んでみてもいい話だった。

こちらの「奇談パーティ」の方がずっと良い出来だと思うが、他に「香りの幽霊」と言うのもある。(これの後に思いついたのが「味の幽霊」だとご本人が書いていらしたはず)

時々、家に帰ってクローゼットに入ると、亡くなった母の香水の香りがする、と思う事がある。

むろんそれは、私の服が入っているのだから私の香りに決まっているのだが、同じフレグランスを使ったことはないのに同じ香りになるというのは、DNAのなせる技でも不思議な感覚がするもの。それも、香りがまったくしない、と言う事もあるのだ。ふつうは、自分の香りは感じないものではないだろうか。

母には、一人暮らしの父を見守ってほしいといつもお願いしているので、母は北海道に主にいるのだろうと思う。だが、時々私の様子も見に来てくれているのでは、と、香りを強く感じる時に考える事があるのだ。
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もう6月。

2012-06-05 01:20:21 | 現実
前回の記事からもうひと月も経ってしまった。

3月から5月初めにかけて、暖かくなった事もあり休みの日には写真撮影に出かけたりしていたが、ちょっと動き過ぎだったのかも。
もともと春は仕事も忙しい季節。その上人の入れ替わりもあり、新人指導も加わって、ちょっと無理をしたのかもしれない。4月初めころ目の周りに軽い湿疹ができて、それ程気にせずにいたのだが4月末にひどくなった。

皮膚科に行ってみたら、「花粉かもしれないし、黄砂かもしれないし、原因は色々考えられるけど、結局は免疫機能が弱っているから出てくるんですよ。疲れがとれない時とか。それに年を取るにつれて疲れからの回復も遅くなります。生活を見直した方が、いいのかもしれないですよ」とのこと。
去年は夏に蕁麻疹が出たのだが、その時も内科の先生に同じような事を言われた。「体の出すサインだから」と。もう50の大台が目の前なのだから、少し気をつけなさいという事か。

よって先週、今週とのんびりしている。
先週はどちらにせよ、日曜しか休みはなかったのでもともと家でゆっくりするつもりだったが、ガーデニング用品が必要になり同居人と近くの「カインズホーム」へ。

植物好きな私は目移りがするが、同居人が「これこれ」と指差すのを見てみると、よく「ミニトマト」が入っているようなプラスチックの透明の入れ物に、水と水草が入っている。「メダカに最適」と札がついていて300円。
以前は家のマンションのポーチが広いので、水盤を置いて水草を楽しんでいたのだが、しばらくしていなかった。

「これ、買って行ってメダカ飼おうか」と私。
「お前もやっと、メダカを家の前で飼う、という風流がわかるようになったんだ」と同居人。先日、歩いて会社のバーベキューパーティに行く途中、睡蓮鉢を置いてメダカを飼っていた家があったそうなのだ。

とりあえず水草だけ飼い、水作りをすることにして、メダカが売っているか見てくることに。ここではペットも販売している。

ペット売り場には数種類のメダカがいて一匹30円也。安いんだなあ。

熱帯魚もたくさん売っているので、見物しよう、と言う事になる。今のマンションに引っ越しする前、我々は熱帯魚を数年、飼っていたのだ。
よくあるグッピーやネオンテトラ、たくさんいるのを見たり、おしゃれな水槽なんかを物色していると、なんだか飼いたい気分が。

「このくらいの大きさの水槽なら、リビングに置けるな」
「昔のよりずいぶんスリムなのが多いよね」
「フィルターも小さいのが出てる」

などと話しているうちに結局、水槽5点セットと砂、カルキ抜きなどを買ってしまうことになった。

始めは「トマト」の茎用の支柱を買うだけだったはずなんだけれど… 水草⇒メダカ⇒熱帯魚と話がどんどん進んでしまった。

昔熱帯魚を飼っていた頃は、勧めてくれた同居人の同僚の人から頂いた「熱帯魚の本」を参考にあれこれしていたのだが、10年以上経った今ではネットであれこれ調べることが出来るのはいいことだ。
それにフィルターや砂も、苔が生えにくいもの、バクテリアが住み着きやすいものなど、さまざまな便利グッズが増えている。

メダカは汲み置きの水、ゴロゴロした赤玉土みたいなもの、隠れる水草があれば簡単なようだ。
熱帯魚の水槽は、台も買ってリビングに置く。これは砂を洗ったりカルキ抜きなどして水作りの準備をし、昨日魚を買ってきた。

こちらはメダカ入りビオトープ玄関前。



水盤は小さいけれど、広さのほうが大事、と言うことなので大丈夫だろう。この写真ではメダカがどこにいるかわかりにくいが…。


熱帯魚の方は馴染みのある、飼いやすいネオンテトラ、グリーンネオンテトラやお掃除魚のコリドラスを購入。



昔使っていた岩も入れて雰囲気も出る。ちなみにこれは2001年の写真。3種類位の魚を入れていたようだ。




今年は去年に引き続きゴーヤのカーテンも栽培中、メダカに熱帯魚、あれこれ世話をしなければいけない。
忙しいから、少しのんびりするはずだったけれど…まあ、植物や魚の世話はかえって、ストレス解消になるから楽しもう。






コメント (4)
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