こだわり米専門店スズノブ 西島 豊造(五ツ星お米マイスター)の豊かに造ろう

様々な現実を見つめらがらも、日々を前向きに考えて進んでゆくためのブログです

狩川城主からのメッセージ

2011年01月24日 07時30分55秒 | Weblog
かつては大部分が不毛の地で、荒地が広がっていた庄内平野に、10年の歳月をかけて、最上川よりも高いところを流れる、「立谷沢川」から水を引くことを考え、作られた北楯大堰によって庄内平野は、不毛の地から日本有数の米と米処に生まれ変わったのだが、この偉業を行ったのが、北楯大学利長(きただてだいがく・としな:1547~1625)で、最上義光の家臣。義光が庄内を支配した後、狩川城主となった人物。

その北楯大学利長から、1月21日の「武器が無い」のブログを読んで、「はえぬき」の本来の実力についてのメッセージが入っていた。

もっとも、そんなことはあり得ないので、「北楯大学利長」という名前を使用しているという事は、山形の稲作関係者で、それも山形の歴史から現状までを確実に把握していて、本当に山形の事を心配している人であろう。

「ササニシキ」の後継品種を目指て、山形農業試験場庄内支場で「あきたこまち:秋田31号」と「庄内29号」を掛け合わせて、1990年に「山形45号」とし誕生したのが「はえぬき」。
つまり「はえぬき」は、「コシヒカリ」を超える米という位置づけで誕生したわけでは、元々ない品種なのだが、確かに実力を持っている品種で、日本穀物検定協会が認定する食味ランキングでも、連続して特Aを取り続けている。

山形県の失敗と言うと、この「はえぬき」を、特Aを取り続けているのだから、「魚沼コシヒカリ」を超えるだとか、「コシヒカリ」に匹敵するなどと、本来とは違う相手と比較をしている事と、「はえぬき」が持っている特徴と個性を、正しい言葉で説明せず、「コシヒカリ」と同じコメントをしている事、さらに、流通でのブランド化が全くされておらず、全農の「売り切れてしまえば、それで良い」という考え方に、生産者が一致団結して文句を言わない事だろう。

品種としての実力はある。米粒の形もよいし、炊きあがりのツヤも申し分ない。粘りも強めで、甘みも感じる。
しかし「はえぬき」には、他の品種が持っていない特徴があり、それが「弾力」。
お米を売るときに、この「弾力」が特徴なんだと伝えておかないと、消費者からは、「どう炊いても、なんとなく硬い」、「芯が残る感じがする」、「炊きにくい米」とか、違った評価となってしまうのだ。
だから、店頭に並べて、「コシヒカリ」と同じ様な炊きあがり特徴で販売してしまったり、「コシヒカリを超える品種」なんだと、違う説明をしてしまってはいけないのだ。

なら、今からでも販売方法を改めれば、「はえぬき」は復活できるのかというと、「全てが遅し」
自分としても、この品種がブランド化出来ていれば、日本の品種は変わっていたと思っているのだが・・・・

山形は、「はえぬき」「どまんなか」と貴重な品種を潰してしまったと思っている。
そして、もしかしたら今度は、山形県最後の品種となる「つや姫」かも・・・
コメント
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