日本農業新聞e農ネットに「助けてください、茨城有機農業 安全でも戻らぬ顧客 (2013年03月24日)」という記事がある。
内容は以下の通り
東京電力福島第1原子力発電所の事故による「風評被害」で、有機農業など環境保全型農業に取り組む農家が危機にさらされている。
同原発の近隣県では有機農産物などの注文が激減、安全・安心に特に気を使う消費者を相手に販売してきただけに事故の発生から2年が過ぎた今も回復しない。
再起への道筋が見えない中、多くの生産者が規模縮小を迫られた。
「このままでは廃業するしかない」。
有機農業の現場から悲鳴が上がる。
●買い支え、行政支援急務
「もう続ける気力が持てない」。
茨城県行方市でアイガモを田んぼに放し、農薬と化学肥料を使わない「こだわりの米」作りをしてきた田宮満さん(58)が嘆く。
2013年産では「アイガモ米」の作付けは半分の2ヘクタールに減らす決断をした。
田宮さんは米の専業農家で、12ヘクタールのうち4ヘクタールで「アイガモ米」を生産し、主にインターネットを通じて販売。
顧客は順調に伸び、全生産量を約300戸に予約販売してきた。
しかし原発事故後、予約をキャンセルするメールが殺到。
11年産米の注文は4分の1に激減した。
12年産米も同水準に低迷したままだ。
●なお続く風評害
いずれの年の米も自費で数検体を放射性物質検査し、精米では検出されていない。
しかし顧客に予約の案内を出しても「茨城産というだけで見向きもされない」。
市内の他の「アイガモ米」生産者も同様に注文の減少に苦しんでいるという。
「アイガモ米」を作り始めたのは18年前。
仲間を増やし地域を「アイガモ米」の里にしたいと考えていたが、「そんな夢も、もう終わりでしょう」と田宮さん。
大半の茨城県産農産物からは放射性物質は検出されず、県は「風評被害」は収まりつつあるとみている。
しかし有機農業など環境保全型農業の場合、顧客は食の安全に関心が高く、放射性物質の風評にも敏感だ。
県内農家の危機的状況は知られておらず、買い支えの動きが少ないという。
「助けてください、茨城有機農業」――。
県内のある採卵鶏農家は、自身のブログに経営の厳しさを切々とつづっている。
農薬を使わないで生産した飼料で卵を生産するこの農家では原発事故後、ぱったり注文が途絶えた。
顧客への必死のお願いで多少回復したというが、注文は事故前より6割少ない状況だ。
しばらく卵を加工向けの液卵に回してしのいだが、「それも限界」。
採卵鶏を処分し、鶏舎5棟のうち3棟を空けた。
「このまま状況が改善しなければ、経営をたたむしかない」と訴える。
●損害賠償進まず
損害賠償が進んでいないことも経営危機に拍車を掛ける。
有機農業に詳しい茨城大学の中島紀一名誉教授によると、生産者は組織に所属しない人が多く、損害賠償は個人で東電と交渉。
東電から証拠書類などを細かく求められ、請求を諦めてしまうケースが少なくないという。
「茨城県の有機農業は科学的根拠のない風評被害で壊滅しかねない苦境の中にある」と中島名誉教授。
消費者による買い支えや行政による積極的な支援を呼び掛ける。
というもの。
自分が産地で講演をしている時、いつも「風評被害は無くなっていない」「事件後は、農薬を使っていないではない。違う面での安全が求められている」「個人で、どうこう出来る事件ではない」と言いつづけている。
この記事で、それが本当だという事が、判ってもらえたのではないだろうか。
産地で、少人数で頑張っている生産者やグループは、これを超えていかなければならないのだ。
その厳しさは、多分全員が、肌で痛いほど感じている事だろう。
内容は以下の通り
東京電力福島第1原子力発電所の事故による「風評被害」で、有機農業など環境保全型農業に取り組む農家が危機にさらされている。
同原発の近隣県では有機農産物などの注文が激減、安全・安心に特に気を使う消費者を相手に販売してきただけに事故の発生から2年が過ぎた今も回復しない。
再起への道筋が見えない中、多くの生産者が規模縮小を迫られた。
「このままでは廃業するしかない」。
有機農業の現場から悲鳴が上がる。
●買い支え、行政支援急務
「もう続ける気力が持てない」。
茨城県行方市でアイガモを田んぼに放し、農薬と化学肥料を使わない「こだわりの米」作りをしてきた田宮満さん(58)が嘆く。
2013年産では「アイガモ米」の作付けは半分の2ヘクタールに減らす決断をした。
田宮さんは米の専業農家で、12ヘクタールのうち4ヘクタールで「アイガモ米」を生産し、主にインターネットを通じて販売。
顧客は順調に伸び、全生産量を約300戸に予約販売してきた。
しかし原発事故後、予約をキャンセルするメールが殺到。
11年産米の注文は4分の1に激減した。
12年産米も同水準に低迷したままだ。
●なお続く風評害
いずれの年の米も自費で数検体を放射性物質検査し、精米では検出されていない。
しかし顧客に予約の案内を出しても「茨城産というだけで見向きもされない」。
市内の他の「アイガモ米」生産者も同様に注文の減少に苦しんでいるという。
「アイガモ米」を作り始めたのは18年前。
仲間を増やし地域を「アイガモ米」の里にしたいと考えていたが、「そんな夢も、もう終わりでしょう」と田宮さん。
大半の茨城県産農産物からは放射性物質は検出されず、県は「風評被害」は収まりつつあるとみている。
しかし有機農業など環境保全型農業の場合、顧客は食の安全に関心が高く、放射性物質の風評にも敏感だ。
県内農家の危機的状況は知られておらず、買い支えの動きが少ないという。
「助けてください、茨城有機農業」――。
県内のある採卵鶏農家は、自身のブログに経営の厳しさを切々とつづっている。
農薬を使わないで生産した飼料で卵を生産するこの農家では原発事故後、ぱったり注文が途絶えた。
顧客への必死のお願いで多少回復したというが、注文は事故前より6割少ない状況だ。
しばらく卵を加工向けの液卵に回してしのいだが、「それも限界」。
採卵鶏を処分し、鶏舎5棟のうち3棟を空けた。
「このまま状況が改善しなければ、経営をたたむしかない」と訴える。
●損害賠償進まず
損害賠償が進んでいないことも経営危機に拍車を掛ける。
有機農業に詳しい茨城大学の中島紀一名誉教授によると、生産者は組織に所属しない人が多く、損害賠償は個人で東電と交渉。
東電から証拠書類などを細かく求められ、請求を諦めてしまうケースが少なくないという。
「茨城県の有機農業は科学的根拠のない風評被害で壊滅しかねない苦境の中にある」と中島名誉教授。
消費者による買い支えや行政による積極的な支援を呼び掛ける。
というもの。
自分が産地で講演をしている時、いつも「風評被害は無くなっていない」「事件後は、農薬を使っていないではない。違う面での安全が求められている」「個人で、どうこう出来る事件ではない」と言いつづけている。
この記事で、それが本当だという事が、判ってもらえたのではないだろうか。
産地で、少人数で頑張っている生産者やグループは、これを超えていかなければならないのだ。
その厳しさは、多分全員が、肌で痛いほど感じている事だろう。