昨日、JAさがと最悪の話をしていた。
「JAさが」「最悪」というキーワードがあれば、自分の投稿を読み続けている人なら、何の話だったか想像できるかもしれない。
しばらく前に、今回の件について、既に投稿していたからだ。
自分が、初めて産地ブランド化を計画し、今まで何度もテレビ・雑誌などで紹介されていた、佐賀松浦のブランド「逢地」。
佐賀県で特A評価を連続でもらっているのは、この「逢地さがびより」。
誤解されている事が多いが、他の地区の「さがびより」ではない。
時間がかかったブランド米。
というか、頂点にたどり着くまでに、時間がかかり過ぎてしまったブランド米と言った方が、正しいと思う。
まだほとんどの人が知らなかった平成13年から、タンパク質含量とお米の食味との密接な関係に着目してスタートさせた「低タンパク栽培」。
低タンパクの方が食味が良いとは言われていたが、栽培でコントロールするという考え方は、まだ無かった。
しかし「逢地」ブランドは、お米に含まれるタンパク質を減らすための栽培研究を始めた。
周りからは「不可能」と言われもした。
しかし、「低タンパク栽培が可能であれば、お米が持つ本来の旨味を引き出すことが出来るはず」という考えから、失敗に失敗を重ね。
等級までも下がってしまう事も続き、生産者の生活にまでもしわ寄せが行ってしまった。
さらに新しい栽培方法にも挑戦し続けていった。
そして作り上げたのが、「品種のポテンシャルを、最大限にまで引き出す低タンパク栽培」。
佐賀県独自の新しい農法だった。
つまり「さがびより」の特Aは、この努力の上に存在した、逢地技術の集大成なのだ。
なのだが昨日は、その「逢地」ブランドの、これからについて話し合っていたのだ。
だから「最悪」なのである。
生産者の収入、産地の活性化、担い手問題、ブランド化計画の現実、ブランド米としての品質、流通改善・・・
色々なことを考え無ければならない時期に「逢地」は来ている。
それは、JAさがと進めている「伊万里深山米」「天川」「プレミア天使の詩」の3ブランドでも同様のこと。
さらに、佐賀県庁で進めている「佐賀米高品質化プロジェクト」についても同様のことなのである。
湧き上がってしまった現実は、綺麗ごとや理想論では解決できない。
自分の強引な考え方や計画は、昔とは違って、産地に迷惑をかけてしまうだけとなった。
必要があるから、産地の将来を考えてのことだった。
だから、きつくも当っていた。
昔なら、それでも付いてきてくれた。
でも今は、それは通用しない。
どんなに説得しても、自分に付いてきてくれる人はいない。
もう自分の声は届かないという事は、既に数年前から確信していた。
全てが「むなしい提案でしかない」という事も判っていた。
それでも、1%以下しかない可能性を、ひたすら信じていた。
だから、決断できなかった。
全て判っていながらも、数年間、引っ張り続けていた。
自分としても思い入れが強い「逢地」。
それを「止める」。
Suzunobu Project Riceのラインナップの中から、「逢地」が消える。
それが自分にとって、どれほどのダメージになるかも理解している。
だから先延ばしをしていた。
でも、いつかは決断しなければならない。
なので今回、自分として決断した。
昨日は、佐賀県から、前担当も来てくれていた。
稲刈りが終わってから、「もう一度みんなと話し合って」とも言ってもらえた。
しかし自分が、話す内容、かける言葉が見つからないのだ。
見つけたとしても話せない。
「どうせ伝わらない」「どうせやってもらえない」という諦めの気持が、先に出てしまうから。
これからも、聞かれれば答えるし、ブランド化の手法も教えはする。
突き放したりはせずに、情報交換は続ける気持ちでいるが、すべては産地側の気持ちだろう。
後については、JAさが、JAからつ(旧佐賀松浦)、あうちの里の米生産研究会(35名)の判断に委ねる。
そして、「伊万里深山米」「天川」「プレミア天使の詩」の3ブランドについても、同じく判断を委ねる。