ぬえの能楽通信blog

能楽師ぬえが能の情報を発信するブログです。開設16周年を迎えさせて頂きました!今後ともよろしくお願い申し上げます~

結婚式の出演 ふたたび!

2008-03-05 12:20:20 | 能楽
この土曜日、ぬえは再び結婚式のお手伝いに行って参ります!

先日打合せに会場に伺ったのですが、まあ。。東京からほんの1時間で到着できる場所で、こういう佇まいの旅館があるなんて。。ぬえは知りませんでした。どうやら将棋の大きな対局で使われる、その道ではとっても有名な老舗旅館さんなのだそうで、へえ~、人混みの喧噪を避けてこういうところで将棋の対局は行われるのですか。

で、なぜ今回 ぬえがふたたび結婚式のお手伝いをさせて頂く事になったのかというと。。去年の11月に縁あって伊豆で行われた結婚式に ぬえが出演させて頂いた折に、このブログにご報告を書きましたところ、今回花嫁さんとなる みささんが「これこそ私が求めていた結婚式のスタイルです!」とコメントを寄せてくださり、そこから ぬえは再び結婚式に出演させて頂く運びとなりました。

昨秋の花嫁さんの舞さんといい、今回の みささんといい、既存の挙式のスタイルにとらわれたくない、自分たちだけの挙式をしたい、と考えておられる方がこれほどある事も驚きではありましたが、いざ、そう考えたときにご自分たちの手だけで結婚式を作り上げるのは、本当に大変なのだそうで、あちこち検索してみたり、相談する相手をさがしたり。。みささんは検索によって ぬえのブログにたどり着かれたのだそうで、そこまでの道のりは大変なものだったのだそうです。ん~~頭が下がる。。

今回は昨秋に引き続いてご披露宴だけではなく、挙式からの出演となりましたが、三々九度に合わせて謡を謡う、という ぬえがこれまでやった事のない重要な儀式への出演も、ようやく やり方がのみこめてきたように思います。昨秋には本当に緊張したけれど、こういう厳粛な場面に謡はよく似合うと思います。なんだか ぬえの方が感動しちゃうもの。。

それと今回特筆すべきは、ご披露宴の花婿花嫁さんの入場の際に、ぬえが先導して、謡を謡いながら入場する演出になった事です。このご依頼を受けたときは またまた ぬえの心臓はバクハツしそうでしたが。。この挙式のコーディネートは昨秋に引き続いてUさんがなさったのですが、その説明によれば「つまり。。花嫁行列なんですよ」あ、なるほど! 演出としては「木遣り」で入場する、ああいった感じではないかと思うのですが、お二人を先導する仲人さんのような、それでいて神を導く謡で座を清めるというか。。よくまあ、そこに気がついたものです。そういうアイデアは ぬえにはなかったな。。

で、それには負けじと、ぬえからもアイデアを出して、今回の挙式では会場に装束を展示することを提案してみました。結局、挙式ではなくご披露宴の会場に展示することになったのですが、まあ、お酒の席ですから展示の方法や場所には慎重のうえにも慎重を期して。。でも、これまた旅館やコーディネーターさんがいろいろとアイデアを出して、なんと会場内ではなく、新郎新婦やご両親が会場の入口でご披露宴のゲストをお迎え・お見送りする際の、その後方に立てる金屏風の代わりとして唐織を飾ることになりました。ああ、その手があったか。。これまたアイデアの勝利ですね~

みささんも、新郎となる彼も、お会いしてみると とっても明るい方で、なんでもプロ野球ファン同士という出会いなのだそう。それに関連した演出もご披露宴では盛りだくさんのようで、どうも ぬえは「マジメ演出部門担当者」のような位置づけかなあ。楽しい企画もたくさん盛り込まれるようなので、ぬえも今から楽しみです。

それにしても、新郎である彼、Sさんは福祉関係のお仕事をされておられるそうで、その内容を聞いて、本当に大変なお仕事だと思いました。「相手の人格を尊重して、言葉遣いなども気を付けているんですよ」。。当たり前のようだけれども、お仕事の大変さを伺ったあとで聞いたこの言葉は、それを常に忘れないで人に接するプロ意識を垣間見たようでした。情熱がなければ続けられないでしょう。どの道であっても、やっぱりプロはすごい。そんな感想を持った ぬえでした。

Sさん、みささん、お幸せに。土曜日を楽しみにしております~。