ぬえの能楽通信blog

能楽師ぬえが能の情報を発信するブログです。開設16周年を迎えさせて頂きました!今後ともよろしくお願い申し上げます~

発表会と結婚式に出演してきました~

2010-05-27 07:38:37 | 能楽

土曜日と日曜日の2日間に渡って生徒さんの発表会がありました。どちらも能楽師の要員が少なかったので、出演する番数がおのずと多くなって…今回の ぬえは2日間で素謡10番、仕舞11番、舞囃子2番というものでした。まあ、2日間の発表会としては それほど多い番数でもないのですが、今回の ぬえはこのうち素謡8番、仕舞5番で地頭のお役を頂いておりまして、さらにその中には素謡『隅田川』の地頭なんて大役もありましたので、じつは先週頃からかなり緊張していたのでありました。

まあそのお陰か、当日はなんとかノーミスで勤めることができました…と言いたいところですが、本当のことを言うと、2カ所でミスを犯してしまいました…。(×_×;) どちらも すぐにほかの地謡が訂正して謡ってくれましたので大事故にはなりませんでしたが…あ~あ、なんともお粗末なことで…申し訳ありませんでした~(>_<)ヽ

それにしても…日曜日の催しは先輩の生徒さんの発表会でしたが、なんとも楽しい催しでしたね~。幼稚園の保母さんたちによる舞囃子とか、お母さんが後見についた子方の素謡とか…。やっぱりねえ、発表会は楽しくなきゃダメ! という思いを新たにした ぬえでありました。

さてタイトル画像は 先日 ぬえが出演した結婚式の会場となった都内の料亭の中庭です。こうして見ると深山幽谷の有様ですね。この結婚式は ぬえのサイトをご覧になった新郎新婦さんから直接ご依頼を頂いて出演することになったのですが、昔ながらの「祝言」という結婚式がとても良い形で結実したと思います。もとはと言えば挙式プランナーの八千代ウェディングさんの依頼によって ぬえは結婚式への出演をするようになって、それからもう何年も経つのですが、まあ正直言って ぬえがそういう古来の祝言式の作法として知っていることは自分の出演の前後の間だけでして、八千代ウェディングさんが式次第を上手に進行していくのを ポカンと口を開けて眺めながら なんとなく指示されるままに謡うような感じでした。

それでも自分が参加する場面では いろんなアイデアを出したりもしまして、そうしているうちにも段々と自分でも 式の進行の大筋の流れだけはようやくわかって来た程度のものだと思います。…そんなわけで、故実については はなはだ頼りない ぬえではありますが、今回は挙式をされるお二人から ぬえに直接出演のご依頼を頂きましたので、精一杯勤めさせて頂きました!

しかし、日本古来の結婚式では謡は必須の条件だったようで、それは能楽師が出演するというよりは仲人さんが謡っていたようですんで、まあ、その起源は謡が庶民に普及してからの近世あたりまでしか遡らないのでしょうが、少なくとも何百年かの間培われた伝統が、現代に至ってここまで消滅してしまうとは悲しいかぎりです。また一方、能楽師としても、そのように民間の中にここまで浸透していた能のひとつの姿に立ち帰る姿勢はあるべき姿だと思います。実際、お客さまのすぐ目の前で謡う結婚式は舞台にはない緊張があります。さらに、お二人だけのために舞い謡うということ、そうしてそれについてお二人や参列のお客さまが喜んで頂き、直接感謝のお言葉なんかを頂くのは新鮮な体験で、とてもうれしかったです~。

今回挙式をされるお二人から ぬえに出演のご依頼があってから、かなり綿密に打合せを重ねましたし、会場となる料亭にも打合せで足を運びました。その結果 豆ぬえも挙式に出演することとなり、三三九度のお酌を勤めさせて頂きました。お二人としても挙式にハッキリとしたビジョンを持っておられましたので、演出には一部変則的な部分もあったものの、ぬえも安心してお二人のご希望に沿う形で演出を考えることができましたね。

そうして挙式の当日。なんだかお二人、楽しそう。新郎さんも全然緊張していないご様子で、へえ~~ ぬえの方が緊張しているんですけど~ (×_×;)。 お客さまが入場されるまで、挙式会場の隣にある披露宴会場で待機していたのですが、そこでは 披露宴の際に流されるビデオが試しに映写されていました。これがかなり凝ったものでビックリ! 新郎さんはコンピュータ関連のお仕事をしておられる方だったので、それでこういうビデオができたんでしょうか。

お二人がこれからもずっとお幸せでありますように~ (^^)V