今夜は山頭火のことを書かない。もう一人わたしの好きで好きでならないお人、良寛さまと、良寛さまをお慕いする貞心尼の恋と恋歌のことに触れたい。恋の歌がこのごろこころにしみいってくるようになった。
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しろたへの衣手寒し秋の夜の月なか空に澄みわたるかも 良寛
秋の夜の月が澄みきってきた。もう僧衣だけでは寒い。と、筆を持ってお書きになると目の前でいっしょに月を仰いでいた貞心尼がすぐにこんな返歌を詠んだ。
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向かいいて千代も八千代も見てしがな空行く雲の言(こと)問わずとも
良寛さまと向かい合っていたらいつまでもいつまでも会っていたい気持ちでございます。もはや秋の夜の月のことすら歌にしないで、ただひたすらにお顔を眺めていたいものでございます。
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二人きりでいたい、ずっとこうしていたい、と貞心尼が打ち明けた。良寛さまはすでに七十。人柄を慕って訪れてきた貞心尼はこの時わずか三十。四十才も離れているが、仏の道と歌と書の師弟の間はういういしいばかりである。
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千代八千代ういういしくぞあれければ見て飽かぬかも秋の夜の月 李白黄
弟、
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しろたへの衣手寒し秋の夜の月なか空に澄みわたるかも 良寛
秋の夜の月が澄みきってきた。もう僧衣だけでは寒い。と、筆を持ってお書きになると目の前でいっしょに月を仰いでいた貞心尼がすぐにこんな返歌を詠んだ。
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向かいいて千代も八千代も見てしがな空行く雲の言(こと)問わずとも
良寛さまと向かい合っていたらいつまでもいつまでも会っていたい気持ちでございます。もはや秋の夜の月のことすら歌にしないで、ただひたすらにお顔を眺めていたいものでございます。
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二人きりでいたい、ずっとこうしていたい、と貞心尼が打ち明けた。良寛さまはすでに七十。人柄を慕って訪れてきた貞心尼はこの時わずか三十。四十才も離れているが、仏の道と歌と書の師弟の間はういういしいばかりである。
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千代八千代ういういしくぞあれければ見て飽かぬかも秋の夜の月 李白黄
弟、