どうしようもないわたしが歩いている 山頭火
*
誰に対してどうしようもないのか。誰に対してでもどうしようもない。対者を絶している。ひとりと対決するしかない。とぼとぼと歩く。山頭火は山道を歩く。どうしようもないわたしがいる。どうしようもなくて、とぼとぼと歩く。歩いていればそれで、どうなるというものでもない。
*
なにかになると思うところから、抜けてきたのだ。何もできるはずがない。無価値のわたしをすがすがしいと思って、捨ててきたのだ。ずしりと重いものは捨ててきたのだ。軽くなった山頭火でなければ、とぼとぼとは歩けないはずである。
*
それにしてもなんとどうしようもないことか。どうしようもなくて、うろうろする。酒を飲む。湯につかる。読経をする。托鉢をする。独吟する。無所有、所有するものがすでにない。無所得、所得するものがない。山頭火でなければ、ここへ歩いてくることはできぬ。
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誰に対してどうしようもないのか。誰に対してでもどうしようもない。対者を絶している。ひとりと対決するしかない。とぼとぼと歩く。山頭火は山道を歩く。どうしようもないわたしがいる。どうしようもなくて、とぼとぼと歩く。歩いていればそれで、どうなるというものでもない。
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なにかになると思うところから、抜けてきたのだ。何もできるはずがない。無価値のわたしをすがすがしいと思って、捨ててきたのだ。ずしりと重いものは捨ててきたのだ。軽くなった山頭火でなければ、とぼとぼとは歩けないはずである。
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それにしてもなんとどうしようもないことか。どうしようもなくて、うろうろする。酒を飲む。湯につかる。読経をする。托鉢をする。独吟する。無所有、所有するものがすでにない。無所得、所得するものがない。山頭火でなければ、ここへ歩いてくることはできぬ。