現在時刻は6時16分。夜が明けた。空に光りが広がる。青空ではない。曇り空のようだ。百舌鳥の声が朝の静寂(しじま)を切り裂いて行く。室温24度。涼しい。僕は長ズボン長袖に着替えて身構える。障子戸を全開する。網戸から風が流れ込む。胸の奥深くへ朝風を吸いこむ。どうしてそういうことになっているのか、雲の一部分だけに光が強く差し込んでいて朝焼けのようになっている。地上はまだおぐらい。神さまと対話する条件がすっかり整ったようだ。何から切り出したものか。
木製の螺旋階段があって踊り場ごとに花を敷き詰めてある。花片ではなく木の枝ごとフラワーアレンジメントにして。その花がみな白い。葉も白い。枝も白い。これが邪魔をして僕は立ち止まる。さっきまで居た2階へ上がっていけない。大輪ではなかった。清楚で美しかった。客はわたしだけではなく、馴染みの顔もあった。そういう夢を見ていた。さっきまで。若い頃お世話になった方の家にお邪魔していた。次の連休にはわたしの我が家にお出で下さいとお誘いしたところで夢は覚めた。ご恩も忘れて失礼ばかりしているから気になっているのだろう。