今日は、蕗畑の草取りをした。
草藪になっていた。
草が除去されて、風通しがよくなった。
蕗がよろこんだろう、さぞかし。
なんだかめでたし。めでたしめでたし。
達成感があった。
そんなことくらいでめでたい気分になっている。
それが、めでたし。
今日は、蕗畑の草取りをした。
草藪になっていた。
草が除去されて、風通しがよくなった。
蕗がよろこんだろう、さぞかし。
なんだかめでたし。めでたしめでたし。
達成感があった。
そんなことくらいでめでたい気分になっている。
それが、めでたし。
今日は風が強い。昨日に引き続いて。
空が唸っている。お~ん、う~ん、ふ~ん。唸り声が途切れ途切れに聞こえて来る。ベッドの中まで。
日はきらきらして跳ねているのに、寒い。
1
諸々の善男子よ、如来の演(の)ぶるところの経典は、みな衆生を度脱せんが為なり。
妙法蓮華経「如来寿量品」より
2
はあい。ありがとうございます。
3
わたしを助けるための経典でありました。
4
「わたしが助かっているという事実」に、わたしがうなづくための経典でありました。
5
如来様が文字で経典を書いてくださって、わたしがそれを読むことが出来るようにしてくださっていました。
6
読んでうなづいて、そしてすぐにけろっと忘れて悪態を吐いて、苦しんで悩んで、憎んで恨んで、重たい顔冷たい心になって、悲しんで寂しがっておりますが、また経典に還ってきます。
7
如来様のところに還って来ます。何度も何度も。
1
さわっててよ。撫でててよ。
2
猫のAちゃんが擦り寄って来る。するするするって擦り寄って来る。
3
顎の下に手をやって撫でてやる。
4
ちょっとだけだよ、とお爺さんは言う。
5
ちょっとだけ、しばらくそうしている。
6
「オシマイ」を言う。
7
Aちゃんは、頭でこっちの足を突いてくる。ねだっているのだ。
8
またちょこっと撫でる。にゃあにゃあ甘えた声を出す。
9
ああ、いいな。撫でてもらえる手があるのはいいな。
10
猫にはやさしい人間の手。
11
じゃ、人間には?
12
撫でてもらうやさしい手はあるのか?
1
とろりとろりしてた。
じゅる飴が形を失ってしまうように。
2
昼寝。午睡。うたた寝。
とろりとろりっていい気持ちだよなあ。
3
物質が溶けて精神のみになるってこんな気持ちなのかなあ。
4
死ぬって、さ、物質が溶け出してしまうことだよね。
5
物質が質量0になって行くってことだよね。
6
寝起きがいい。時計は3時05分。
7
風がおさまるまでと思って、入眠したのに。
8
やだなあ、風は相変わらずだ。
9
ゴテチャの長く延びた茎がゆうらゆうらしている。
10
ゴテチャもお昼寝を楽しんでいるのかな?
ウグイスがよく鳴いているなあ。
ほーほーほけきょ、ほーほけきょ。
山里は静かだから、響き渡る。
いい声だ。澄んだいい声だ。
山里コンサートホールに聞きに来る者は、新緑と風と白い雲さんぐらいだ。
1
いいなあ、青空が。
ずっとずっと広がっている。
2
ここは青空が広がっているところだ。
そこにお爺さんが住んでいる。青空と仲良くして住んでいる。
3
いいなあいいなあを小さくつぶやいている。
聞いている者はいない。
4
お爺さんにいいなあをくれているのは?
くれているのは澄み切った四月の青空。
5
いいなあいいなあをつぶやいていると、いい気持ちなのだ。
お爺さんはとってもいい気持ちなのだ。
6
ほしがったんじゃない。それをねだったわけでもない。
空も、くれてやったのはわたしだ、なんて顔はしていない。
1
蝶々さんが見えている人は少ないだろうな。
2
蝶々さんは四月の空をひらひらひらと飛んでいる。
3
見えてても見えてなくても、ひらひらひらには変わりがない。
4
でも、見えている人には、ここがのどかで美しく見えて来る。
5
蝶々さんがただひらひら飛んでいるというだけで、ここに、のどかで美しい世界が広がって行く。
6
お爺さんの見ている世界はとってもとっても小さい。蝶々が見えているくらいの小ささだ。
蝶々さんがいっぴき。
ひらひらひらひら静かな静かな山里を飛んでいる。
山里をすっぽり包んでいるのは青い山と白い雲。
白い小さなひらひら飛行体が、ときどき低いところへ下りて来る。
そのうちまた上がる。屋根の高さまで上がる。
お爺さんが白い蝶々をずっと飽かずに見ている。
もうすぐお昼だ。お昼なんてないだろうな、蝶々さんには。
あ、お日様が照ってきたぞ。
機嫌が治ったんだ。
しめしめ!
外の気温もこれで幾分かは上がっただろう。
畑に出て行けばすることがいっぱい見つかる。
夕方まで、お爺さんは畑にずっと遊んでもらえる。