1
仏教の経典は、これを読む人を、よろこばせようよろこばせようとしているようだ。恐怖を払拭させようさせようとしているようだ。嬉しがらせることばかりが、これでもかこれでもかという具合に次々と述べられている。
2
毎自為是念 以何令衆生 得入無上道 速成就仏身
妙法蓮華経「如来神力品」より
まいじさぜねん いがりょうしゅじょう とくにゅうむじょうどう そくじょうじゅぶっしん
毎(つね)に自ら是の念をなせり 以何(いかん)が衆生をして、無上道に入るを得しめて、速(すみ)やかに仏身を成就せしめんやと。
3
仏陀はいつもいつもこういうことをお考えになっておられる。どうしたら生きとし生ける者たちが無上道(=仏道)に入ることができて、一刻も速く、仏陀と等しい悟りの知恵を身につけることができるだろうか、と。
こればかりを仏陀は念じておられるのである。
4
こういう行(くだり)を聞くと、ああ、有り難いなあとさぶろうは思うのである。そんなふうに思っていてくださっているのかと思う。
仏陀にこれほどまでにあたたかく熱く思われているわたし。わたしを卑下してはならないなとも思う。