<おでいげ>においでおいで

たのしくおしゃべり。そう、おしゃべりは楽しいよ。

今朝書いた僕の詩 「大空と同じだけの安心」

2021年02月12日 07時55分14秒 | Weblog

「大空と同じだけの安心」   山鳩暮風

 

おれに

語りかけて来るものがある

 

おれに語りかけて来るものがあるので

おれは聞き耳を立てる

 

じっと聞き耳を立てる

そうしてとうとう語りかけを聞く

 

山桜の小高い山の上に来た

蕾と大空と朝の光が赤くなっている

 

おれは嬉しくなって山を下りる

おれは大空と同じだけの安心を得ている

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僕の書いた今朝の詩 「次の未来を目指すものは」

2021年02月12日 07時51分21秒 | Weblog

「次の未来を目指すものは」      山鳩暮風

 

まもなくおれは死ぬ
死ぬことになる
にんげんはだれだって死ぬ
だからおれも死ぬ

死んだらどうなるんだ
生きている内は死んでいないから
答えようがないので
誰も明確な答えが出せない

専門家を任じるお寺さんだって
当てずっぽうしか言えない
それで満足するしかない
なかなかこちらに安心が届いてこない

だからおれは
楠の匂いのする彫刻板に
おれ流の安心を彫刻する
それで当座を凌ぐ

「生きてよろしいことが分かったら」
「死んでよろしい」
「死んでよろしいことがわかったら」
「次もそのまた次もよろしい」と

次があるということは
切断されていないということだ
ここで終わりではない
そういうことだ

そのように仕組まれている世界に
生まれて来たのだ
生まれて生きて
生きて死んで死んで生まれて行く

ほほう 畑では
山東菜も菜の花を着けだしたぞ
黄金だ
次の未来を目指すものは黄金のいろ

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「あきちゃんがいない」 僕の書いた詩

2021年02月12日 06時47分43秒 | Weblog

「あきちゃんがいない」     山鳩暮風

 

おれは
つまらないつまらないを連発する

実際、つまらないよ

つまらないのは
此処にいて欲しい人がいないから
あきちゃんがいないから

空気が薄い
月に来ているように空気が薄い
鼻の穴を広げて
すうすうと吸ってみるけど
肺から心臓まで届いていかない
息苦しくなる

にんげんは
にんげんとつながっていないと
つまらないんだよな
つまらない思いをするんだよな
こんなふうにふにゃふにゃになる

あきちゃんが此処にいない
かわいいあきちゃんが
かわいい言葉を掛けてくれない
あきちゃんは肩が匂う背中が匂う
背中に広がる髪の野原が匂う

二月ももう半ばとなった
裸になった柿の木の下あたりに
蕗の薹が生まれている
大地の元気に感電しそうになるけれど
それでもおれは
つまらないつまらないを連発する

 

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僕の今朝一番の詩 「おっとう」

2021年02月12日 06時42分21秒 | Weblog

「おっとう」     山鳩暮風

 

おっとう

呼びかけてみたくなって
ぽつり

おっとう

おっとうが出てきたぞ

おっとう今幾つだ

半ズボンのおれは
おっとうの自転車のうしろにいる
おっとうの腰に両手を回している
鼻水を垂らしている

おっとうはゆっくりゆっくり
自転車を漕ぐ

まわりは蓮の田圃
百蓮華の花の匂いが
たちこめている
もうすぐお盆

ふたりは自転車を降りた
刈萱の畦道に身を乗り出して
おっとうが
蓮の花と蕾をたぐり寄せた

それをおれが胸に抱いて
またおっとうの自転車の後ろに
またがった
顔の鼻の穴を蓮の花が覆った

帰り道のおっとうは
おれの名前をしきりに呼んで
おれがはいと答えると
声が低い
もっと大きな元気な声を出せと
どなっては笑った。

おっとうは病気をした
いまから40年前
70歳で他界した
死に際が
淡々とあっさりしていた

いまおれは75歳になっている
おっとうよりも長生きしている
それでも
おっとうはおっとう
おれのおっとう

おっとう
おっとうを呼んでみる
それだけで
目頭が熱くなってくる

おっとうとおれが
まだしっかりとつながっている

コメント (2)
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