わたしめは、なんでもぐにゃぐにゃっと曲げてしまう。わたしの方へ曲げてしまう。で、わたしめをよろこばせる。わたしめをよろこばせるように、よろこばせるように、曲げてしまう。曲がらない鉄の棒でも。かようにも怪力。怪力を見せる。
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一切衆生の異(界)の苦を受くるは悉く是如来一人(いちにん)の苦なり。
涅槃経より
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一切衆生は人間界・地獄界・餓鬼界・畜生界・修羅界の苦しみを受けている。この多くの苦しみを釈迦如来がことごとく一人で受け止めてくださっている。
そこで如来はどうなさったか。仏法を説かれたのである。苦しみを超えて行く道を指し示されたのである。苦しみを超えて行く仏の知恵を授けられたのである。
それでどうなったか。このさぶろうが仏法を聞いているのである。如来の知恵をこの身に頂いているのである。日々に異界を経巡りながら、なおかつ、異界の苦をことごとく如来に背負わせているので、我が身は仏道の安穏を得て暮らしていることができるのである。
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如来様のご苦労を思う。如来様の御守りを思う。如来様のお助けを思う。如来様のお導きを思う。
かくしてわれらが世は如来様のおわしましける世である。それをわたしはよろこんでいさえすればいい。
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ぐにゃぐにゃと曲がって曲げて此処へ来ました。
わたしの苦は如来様の苦である。わたしの安心は如来様の安心である。