「くきたち干しの煮物」
主な伝承地域 米沢市(置賜地域・村山地域)
主な使用食材 くきたち干し、人参、打ち豆、糸こんにゃく、油揚げ、醤油、砂糖
歴史・由来・関連行事
「くきたち干しの煮物」はアブラナ科の野菜「くきたち」を使った郷土料理。くきたちは生命力が強く、芯を摘んだあとも側枝(そくし)がのびてくるため、次々と収穫することができる。
春にとれたくきたちをゆでて、4日から5日天日干しにすることで干物が完成し、これを「くきたち干し」という。干すときに少しだけ揉んでおくことが美味しいくきたち干しをつくるコツ。これをあみ袋などに入れて保管しておき、昔は葉物野菜がとれなくなる冬の間の食糧として蓄えておいたが、現在も美味しい食材として食べられている。
くきたちと呼ばれる野菜には葉の形状が違うものもあるが、どれもアブラナ科の野菜を指し、同じ名前で呼ぶ。どの葉のタイプでもくきたち干しにすることが出来る。
食習の機会や時季
煮物にして食べるのは冬が多いが、材料になるくきたちの収穫自体は春におこなわれる。直売所では、くきたちやくきたち干しが販売される。
ひと昔前は、くきたちの収穫を終えるころ、冬に備えてくきたち干しをつくるのが農家の習慣だったという。現在でも家庭菜園などでくきたちを育てている人は珍しくない。
飲食方法
鍋にくきたち干しとたっぷりの水を入れて火にかけ、沸騰したら火を止めそのまま一晩浸けてもどしておく。3cmほどに切ったら、刻んだ油揚げやこんにゃくなどと炒めて、炒り煮にする。仕上げにごま油を入れると、風味が増して美味である。
基本的に、ごはんのおかずとして食べる。一緒に煮る具材に特に決まりはなく、旬の野菜などと組み合わせても良い。
乾物や干物の料理には一緒に打ち豆を使うことが多い。大豆を濡れたフキンで包み少し湿らせた後、木づちで一つ一つつぶしたもので、通常の大豆のように一晩水につけて戻さなくても、そのまま料理に使える優れた食材である。一緒に煮ることで、大豆の旨味も染み出てくるため、くきたち干しやひょう干しを煮るときは使うことが多い。
保存・継承の取組(伝承者の概要、保存会、SNSの活用、商品化等現代的な取組等について)
置賜地域の小学校では給食の献立に「くきたち干しの煮物」を取り入れている。
スーパーマーケットや直売所などでくきたち干しは販売されている。
*https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/search_menu/menu/kukitachihoshinonimono_yamagata.html より