「鱒のあんかけ」
主な伝承地域 庄内地域
主な使用食材 鱒、ニラ、しょうが、塩、砂糖、くず粉
歴史・由来・関連行事
「鱒のあんかけ」は、庄内地域を代表する春の料理。マスのなかでも最も美味とされるサクラマスを使う。稚魚のときに縄張り争いをして負けたものは海へ下り「サクラマス」に、勝ったものは川にとどまりそこで「ヤマメ」に成長する。秋の産卵に備え栄養を蓄えたサクラマスが川を遡上する時期がちょうど桜の咲く時期のため、「サクラマス」と呼ばれるようになったという説もある。「サクラマス」は、山形県を代表する魚介の一つであり、平成4年(1992年)に県魚に指定されている。
「鱒のあんかけ」が食べられるようになったのは、江戸時代にまでさかのぼる。北海道から大阪を北前船という商船が往来していた影響で、西日本の文化の“あんかけ料理”が庄内地域にも伝えられたといわれている。祝い事などのハレの日に食べる料理としても現在も定着している。
「鱒のあんかけ」のあんかけには、当時大変貴重だった砂糖やくず粉が使われており、客人をもてなすためのごちそうだったことが伺える。
食習の機会や時季
春のごちそうとして定着している「鱒のあんかけ」は、マスの焼き物や孟宗(もうそう)の煮物などと同じようにどの家庭でもつくられる。特に5月におこなわれる「酒田まつり」や「鶴岡天神祭」には欠かせない料理。現在では仕出し屋に頼んで「鱒のあんかけ」を食べる家庭も少なくない。その際は、家族や親戚に振る舞われる。
飲食方法
ゆでたサクラマスの身にニラをそえて、あんをかける。仕上げに別で用意したしょうがを上にのせる。京都府のあんかけと違い、冷たくて甘いあんかけを使用する。家庭や飲食店によっては、輪切りにしたゆで卵やそうめんがそえられることもある。また、仕出し料理や祝い善の一品として食べられている。
保存・継承の取組(伝承者の概要、保存会、SNSの活用、商品化等現代的な取組等について)
現在も広く定着している料理である。特に5月の「酒田まつり」や「鶴岡天神祭」の時期になると料理屋や仕出し屋で提供される。また、総菜としてスーパーマーケットなどでも販売されている。
*https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/search_menu/menu/masunoankake_yamagata.html より