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<経産大臣指定伝統的工芸品> 広島 福山琴

2021-08-22 06:13:22 | 経済産業大臣指定伝統的工芸品

 「福山琴」

 Description / 特徴・産地

 福山琴とは?
 福山琴(ふくやまこと)は広島県福山市で作られている楽器の琴です。琴の名曲である「春の海」の舞台となった場所にほど近い福山では、国内の多くの琴が製造されています。
 福山琴の特徴は、優れた音色をもつだけでなく、見た目の装飾の華麗さや木目の美しさでも日本随一であることです。桐(きり)の最高級の乾燥材料を使用し、熟練の琴職人によって丹念に作り上げられます。伝統工芸品の指定を受けているものの中でも、楽器類で指定を受けているのは福山琴のみです。
 福山琴は甲の裏面に、精巧な装飾模様の彫りを施しています。代表的な彫りの技法は、高級品である「麻型彫り」などです。琴の装飾として重要な役割を果たすのが、蒔絵(まきえ)です。福山琴では竜舌や磯の部分に蒔絵を使い、琴を華麗で繊細な美しさに仕上げます。

 History / 歴史
 福山琴の歴史は、徳川家康の従妹にあたる水野勝成が、福山に城を築いた時代に遡ります。備後十万石の城下町であった福山では、歴代藩主の水野、松平、安倍家の奨励も後押しをして歌謡や音曲が盛んな土地でした。
 江戸時代末期には、琴の名手である葛原勾当氏が備後、備中で活躍し、京都で伝授された箏曲がもたらされます。音色の良さと工芸品としての価値が認められ福山琴の需要が高まり、高級琴の代表としても知られるようになりました。
 明治時代の初期には、本格的な製造が始められます。その後も琴の作業工程を改善するなどの工夫を重ね、全国トップの琴の産地としての地位を築きました。
 1970年(昭和45年)頃には最盛期を迎え、約3万面の琴を生産していましたが、現在は約3千面の生産にとどまっています。生産数は減少したものの、全国シェアはトップクラスです。
 産地では、完成度や品質を損なわずに扱いやすい軽量な琴を生産し、全国小中学校箏曲コンクールを主催するなど、琴の普及に取り組んできました。
6月6日の邦楽の日には、長年演奏会や練習で使用され琴の供養を福山市の鞆の浦で開催しています。

*https://kogeijapan.com/locale/ja_JP/fukuyamakoto/ より

 新しい息吹を伝える妙なる音色、福山琴
 誰もが知っている琴の名曲「春の海」。この曲の舞台となった鞆の浦にほど近い福山。この風光明媚で気候温暖な城下町は、琴の全国生産量の実に70%を占める。数ある伝統的工芸品の中でも楽器類で指定されているのは、福山琴のみだ。

 
 懐かしく、優雅な琴の音色
 琴の音色を聞くと、誰しもその優雅で繊細かつ、ときにはダイナミックな響きに思わず耳をかたむけてしまうのではないだろうか。お正月にどこからともなく聞こえてくる「春の海」、これを聞くと新年のすがすがしい感じがして、なぜか心が和んでくるようだ。六尺(1メートル82センチ)に施されたさまざまな美しい装飾も、琴のまた大きな魅力である。「こと」と言えば、現在では普通は十三弦の琴を指すが、古くは弦楽器の総称であった。しかし『源氏物語』には、琵琶(びわ)、箏(そう)、琴(きん)と区別してある。箏と琴のちがいは、箏柱(ことじ)の有無にあり、あるものが「箏」で、ない方が「琴」である。しかし、「箏」は当用漢字に採用されてなく、一般的に「琴」が今では総称として通用している。


 歌謡、音曲のもともと盛んな福山
 福山琴の歴史は、元和5年(1619年)水野勝成(徳川家康のいとこ)が福山に城を築いたころに始まる。江戸時代の城下町では武士や町人の子女の芸事が盛んで、ここ福山でも藩主が歌謡、音曲を奨励した。江戸時代の終わりに、琴の名手、葛原勾当が備後・備中で活躍したこともあって、福山を中心として早くから琴が生産される土壌ができていった。「春の海」で有名な箏曲家、宮城道雄の父は福山・鞆の浦出身で、この曲の舞台は、彼が少年のころによく訪れた鞆の浦であると言われている。30年ほど前は若い女性のたしなみとして、お茶や生け花、裁縫とともに琴を習うのはごく一般的であり、昭和45年頃が福山琴もその出荷がピークであった。


 日本の伝統美と技が息づく、琴の細工
 琴の甲の裏面に施される装飾模様の彫りには簾目(すだれめ)・綾杉・子持ち綾杉・麻型彫りといったものがある。これは音を豊かにする音響効果とともに、装飾効果としても重要である。また琴の装飾部分で大きな役割を担うのが、蒔絵や柏葉の部分である。この飾り付け作業は、装飾部品も多く、複雑で精緻な加工が求められ、もっとも時間を要するところである。琴は、単なる楽器ではなく装飾品としても、見て楽しめ、華がある。「基本的には鳴りもの。いい音がせんと意味がない。」と話す琴職人の小川さんはこの道50年。「一人前になるには10年くらいかかる。難しいのは、甲を刳っていくところ。このカンが一番難しい。職人のセンスがもっとも問われる部分だ。」と話してくれた。普段はおだやかなまなざしも琴の前で作業にとりかかると、真剣そのもの。しかし、その瞳の奥には琴に対する深い愛情が感じられる。「素材が自然のものだからひとつひとつ、皆違う。桐の木の産地や堅さ。その素材をうまく生かして、対応できることがいい職人。腕だけじゃなくて、カンやセンスが必要。」


 子供たちの情操教育にもひと役
 福山では、子供たちの情操教育と琴演奏技術の向上を図り、全国小・中学生箏曲コンクールを毎年開催している。また新しい取り組みとして、小さな小学生でも扱いやすく、乗用車に積めるサイズのコンパクトな新福山琴を開発した。これは調弦などのメンテナンスも今までのものより、ずっと簡単に行えるのも特徴だ。「もっと気軽に、多くの人に琴の魅力に接してもらえれば」と、小川さんは期待を寄せている。子供たちや若い女性たちに、日本の音色、和の音階や旋律の豊かさを知ってもらい、音楽の楽しさを伝える良い機会になるのではないだろうか。琴を演奏することは、楽器をただ弾くというだけでなく、立ち居振る舞いを美しくし、豊かな人間性を育むことにつながるはずだ。


 職人プロフィール

 小川賢三

 18歳で琴職人の道を志し、この道50年のベテラン。新しい製品作りに常に挑戦している。

 こぼれ話

 装飾性の高い日本の琴

 甲の裏に装飾と音響効果を兼ねて彫られる。繊維やひもの張りつめたものを爪弾くと、音が鳴ります。これを応用したものが弦楽器であり、ヴァイオリンやチェロ、コントラバス、ハープなどオーケストラでおなじみの楽器たちや、ポピュラーなギターなど。アジア各地でも、それぞれの風土に合わせて弦楽器は親しまれてきました。日本の琴が、それらと大きく一線を画しているのは、その装飾性の高さにあると言えるでしょう。昔から絵巻の中に、琴が描かれるシーンは数多く存在しており、当時の貴族たちの優雅な暮らしぶりがうかがえます。楽器としてただ楽しむばかりでなく、部屋のインテリアとして、あるいは財力を知らしめるものとしても琴は有効だったのでしょう。

*https://kougeihin.jp/craft/1415/ より


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