アメリカの巨大資本と「スーパーメジャー」の動きを受け、日本の石油業界はどのような動きをしているのか。
国際金融資本と「スーパーメジャー」が、「脱炭素社会」に向けて石油業から撤退し、「再生可能エネルギー」と「環境」分野で、新たな市場を開拓しようとしているのなら、力のある彼らが、日本の産業界に手を伸ばさないはずがありません。
あるいは逆に日本の中にいる勢力が、彼らと連携しようと野心を抱いても不思議ではありません。世界第二の経済大国という肩書きは中国に持っていかれましたが、それでも日本が経済大国の一員であるという事実は残っています。
日本がエネルギーの大量消費国であり、「スーパーメジャー」や「国際金融資本」にとって重要な顧客であると言う事実も変わりません。
前に述べましたが、もし日本が「メタンハイドレート」と言う自前資源を自由にできるようになったら、彼らは二つの意味で大損失を被ります。
1. 日本から得ている巨額の「エネルギー購入代金」を失ってしまう。
2. 日本が「メタンハイドレート」を、安価で他国へ輸出を始めたら、彼らが開拓しようとする新ビジネスの障碍となる。
世界規模の投資事業ですから、彼らは何としても日本の動きを抑え込むか、それができなければ、リーダーシップを自分たちの手にしたいと考えるのではないでしょうか。
「ねこ庭」が立てた予測も、2つです。
1. 彼らは自分の影響力を、「日本の石油業界」で行使しようとする。
2. 彼らは自分の影響力を、「日本の産業界」でも行使しようとする。
資本の信奉者「アメリカの巨大資本」と「スーパーメジャー」は、マネーの力で世界を支配しています。具体的には、融資、出資、買収などですが、それは株式の動きで知ることができます。
ヒントを与えてくれたのは、『ジェトロ ビジネス短信』と『日経新聞の記事』でした。
第一ステップとして、日本の民族系石油会社の、現在の株主構成を調べてみようと思いますが、「ねこ庭」の推測が正しければ、彼らの名前があるはずです。しかしこのまま株主構成の調査へ行かず、理解を早めるには石油業界に関する状況を知っておくことが大事です。
ウィキペディアの情報を中心として調べた結果を、報告します。
・わが国の石油業界では、外国資本の出資を受けていない石油会社を、民族系石油会社と呼ぶ。外資系石油会社に対する言葉で、特に精製・元売会社を言う場合に使われている。
・昭和60 ( 1985 ) 年時点では、日本に35 社ある精製・元売会社のうち、 17 社が民族系だった。代表的な会社は、
出光興産(株)、日本鉱業(株)、大協石油(株)、丸善石油(株)、
共同石油(株)、富士石油(株)、九州石油(株)、三菱石油 (株)などだ。
・昭和56年に出された、石油審議会の提言を受け、業界は合併、吸収などの再編を繰り返し、令和2 ( 2020 ) 年時点では、日本の石油元売会社は5社になった。
提言の主な理由は日本の人口減少や、世界的な車の排気ガス対応の動きがあったためとされていますが、もっと大きな理由は次にあったのではないかと「ねこ庭」は推察しました。
・「アメリカの巨大資本」と「スーパーメジャー」に対抗するには、中小の石油会社が乱立したままでは勝てない。
・外資に負けない資本規模の拡大のため、最低でも5社への集約が必要である。
令和3年度の売上高で並べますと、集約された5社の順位は次の通りになりました。
1 位. エネオス ( ENEOS ) ・・ 7兆6,580億円
2 位. 出光興産 ・・ 4兆4,251億円
3 位. コスモ石油 ・・ 2兆383億円
4 位. 太陽石油 ・・ 4,576億円
5 位. キグナス石油 ・・ 2,838億円
集約された5社の概要を、ネットで調べましたので紹介します。
〈 1 位. エネオス ( ENEOS ) 〉
・持ち株会社・ENEOSホールディングスの傘下にあり、日本の元売りの最大手で、世界第6位の規模を持つ。
・平成22年に、国内石油卸1位の新日本石油と同6位の新日鉱・ホールディングスとの経営統合後、燃料油販売量の国内占有率も約34%という圧倒的シェアとなった。
・統合後の売上高約12兆円は、産業界では日立製作所と肩を並べ、トヨタ自動車や三菱商事などに次ぐ日本有数の大企業誕生となった。
・石油会社としても、世界で売上高第8位を確保した。
〈 2 位. 出光興産 〉
・令和元年、昭和シェル石油の子会社化後は、通称として「出光昭和シェル」を使っていた。
・令和3年4月から、全国の給油所名を「アポロステーション」へと、令和5年までに統一すると決め、通称を「出光」に戻した。
・出光の筆字は、創業者出光佐三の手によるものである。
〈 3 位. コスモ石油 〉
・持ち株会社・コスモエネルギー・ホールディングスの、100%子会社である。
・昭和61年に、大協石油と丸善石油と旧コスモ石油の3社が合併して発足した。
・現在、エネオスと業務提携を結び、販売を除く特許、石油輸送、製油所の共有などを図り、日本最大の石油元売グループを形成している。
〈 4 位. 太陽石油 〉
・国内市場占有率は4位。
・愛媛県を地盤とし、主に西日本( 近畿・四国地方 )に事業展開している。
・ガソリンスタンド名は、SOLATO(ソラト)である。
・太陽を意味する「ソーラー」と、明日を意味する「トゥモロー」からきている。
・ソ連やルーマニアから、日本で初めての石油の輸入を行うなど、旧東側諸国からの石油輸入に積極的だった。
〈 5 位. キグナス石油 〉
・規模はかなり小さいが、ハイオクガソリンを業界で初めて販売した会社である。
・かつては、エクソン・モービルグループ傘下であったが、平成16年からは三愛石油の傘下となっている。
・コスモエネルギー・ホールディングスが、資本参加。( 製品の仕入れは、ほぼ全量をコスモ石油から行っている。)
「自由民主党への疑問」と言う入り口から、「日本のエネルギー問題」という深い森に入り検討をしています。余計な回り道と思われるかもしれませんが、驚く結果が見えてきますので、もうしばらく辛抱して下さい。
次回は集約された5社の株主状況について、ネットで調べた結果を紹介します。