お彼岸でお墓参りに行った。 家のお墓は敷地内にあるので家に誰かがいれば会ってしまう。 会いたく無かったが父に会ってしまった。 兄貴の家族がいなかったのがせめてもの救い。 本音で話が出来るから。特に父が。
「よく来たな。」 「相変わらず白々しい事言うね。」「白々しいとは無いだろう。」 後は、いつものように会話にならず。 今まで散々な関係であるにも関わらず、普通に話しかけてくる感覚が全く理解できない。 嫌な思いをしたくなかったので直ぐ帰って来た。
しかし、母が帯状疱疹で寝ていると聞いた。 それでも、顔も見ないで帰る俺。 最低である。 しかも母の体調不良には心当りがあった。
2.3日前に母が突然高級ぶどうを送ってきた。 今まで口もろくにきいていないので十年以上もそんな事は無かったのに。 それは多分今年の母の日に私が生まれて初めて贈り物をしたから送ってきたのだと思う。 少しは気を許してくれたと思ったのだろう。
しかし、ぶどうを送ってもらったその日に私は電話をした。
「もう、送ってこないでくれ。 自分にはかまわないでくれ。思い出すと嫌な気分になるから」と。
母の日の贈り物には、連絡無用、返礼不要とカードを入れてもらっていた。 そして初めて書いた手紙を送った。 その手紙を読んだ母は妹に電話をしたそうだが、泣いていて言葉にならないほどだったと言う。 私は、感謝の気持ちも確かに書いたが、自分の不満についても書いていた。どちらも本心からだ。 しかし、母は思いがけない出来事にいい事しか頭に入らなかったのだと思う。
その気持ちがあってぶどうを送ったところ、私のキツイ電話を受け取ったのだ。 相当な精神的なダメージを負って体調が悪くなってしまったのだろう。 多分、天国から地獄へ送られたようなショックを受けたのだと思う。気にはなっていた。 私の中途半端な贈り物が酷い結果に繋がってしまった。 心の整理も出来ていないのに背伸びをしすぎた。
帯状疱疹は、免疫力が落ちてヘルペスウイルスが身体の中で暴れだす事で起きる。 自分も経験があるからよく知る。 ストレスが免疫力を弱める典型的な例だと思う。
母は、心臓が悪く何度か手術もしていて体調が優れない。 もう70歳を超えている。 そんな事を十分に判っていて辛い言葉をかけずにはいられない自分が情けない。