2015シーズン終了時にJ1からJ2に降格した3チームは、清水、山形、松本山雅の3チームでした。通常だったら「降格」というのは「成績不振」とイコールですので、その責任をとって監督やチームの強化責任者が退任するのは当然のことです。今までの多くの降格ケースはそうだったのではないかと思います。
しかし、今回この3チームの中で監督が交代したのは清水のみでした。2015シーズン途中に解任された大榎監督の後を受けた田坂監督は2016シーズンの指揮は執らず、指揮官は小林監督に交代しました。一方同じ降格チームでも、山形は石崎監督を、松本山雅は反町監督を続投させ、今シーズンも昨シーズンに続いて指揮を執らせるという道を選択しました。ある意味でこれは、勇気のいる選択だったと思います。
「監督を替える」ということは、多くの場合は「戦術を変える」ということに繋がります。山形や松本が監督を替えなかったということは、現監督に対して「結果は出なかったもののチームの成長を認めている証」なのだろうと思いますし、「チームにとって継続が一番大事」と判断したからなのでしょう。そして、山形も松本も、地方のお金のないチームという共通点もあります。有力選手やスター選手を引っ張って来るわけにはいかない台所事情、監督の年俸等だって節約したい事情があるにちがいありません。
この山形や松本の判断、そして清水の判断が吉と出るか凶と出るか、2016シーズンの終了時、いやもしかしたら2~3年後に答えが出るのかもしれませんね。実に興味深いです。
さて、話は変わって柏レイソルです。チームにタイトルをもたらしたネルシーニョ監督のサッカーをある意味で否定して方向転換を図り、1年前にチームに新しい風を起こし、新たな歴史を作ることを託して抜擢されたのは、チーム生え抜きの若き指揮官・吉田達磨監督でありました。当然、長期政権が期待され、フロントも全面的にバックアップしていくであろうと周りが考えていたにもかかわらず(もちろん吉田監督本人もそうだったでしょうね)、クラブは指揮官を守らず、たった1年で退任させました。天皇杯4強、アジア8強の結果を残したにもかかわらずです。
もちろん、わがアルビレックスはその吉田監督にオファーをしてチームを託したわけですから、彼が柏を(限りなく解任に近い)退任したことは感謝すべきことなのですが、吉田監督の胸中を慮れば忸怩たる思いであったろうことは想像に難くありません。吉田監督としては、「何が何でも柏に後悔させてやる」って気持ちでしょうね。
まぁ、ボクらとしても監督の胸中を察し、「柏にだけは負けらんねっけな」なのであります。