風は東楡の木通りから

クリスチャンフルート吹きパスピエの愛する音楽、猫たち、薔薇の毎日

大エルミタージュ美術館展 「16世紀・ルネサンス」

2012-05-28 23:23:14 | 
セザンヌ展を見終わったら、いざ、大エルミタージュ美術館展へ!!


先日、TVでこの展覧会の特集番組を見たこともあって、本物が見られるというのはうれしいかぎり!

入口のところにティツィアーノ・ヴェチェリオの「祝福するキリスト」が出迎えてくれる。

それを見た途端やっぱり聖画はいいなと思う。ダンナもそう思っていたんだって。何かほっとする。クリスチャンになってから聖画を見るのが好きになった。聖書のどの箇所かというのがよくわかるから。

このブログで紹介するのは私の心に残った気になる作品だよ。

「祝福するキリスト」

まるでイエス様の肖像画のように画面いっぱいに描かれた大胆な構図。暗い色調の背景に鮮やかな赤と青のころも、顔は輝いているみたいに明るい。右手を挙げて祝福するイエス様の視線は多分見たすべての人が自分を見ていると思ったんじゃないかしら?そんな風に見えてくるもの。左手には球形のガラスを持ち、これは万物の支配者を象徴しているそうだ。

「キリストと姦淫の女」パルマ・イル・ヴェッキオ

この場面も聖書の中でよく知られるところ。でもこの絵を見たとき私のイメージとはかけ離れていた。というのもこの聖画が物静かで美しすぎるから。

聖書の中の姦淫の女の場面はこんな話。

ある日、女が律法学者とパリサイ人に姦淫の現場でとらえられキリストのもとにつれてこられる。そして、彼らはキリストにこう問うのである。モーセの律法の中で、こういう女を石打ち(死ぬまで大きな石をその人に向けて投げる死刑のひとつ)にするように命じています。ところであなたは何と言われますか。」彼らはイエスを試してこういったのだ。

慈悲深いイエスが許してやれといえばモーセの律法を守っていないことになり、石打にしろと言えば、当時ローマ支配下にあり、死刑執行権がないのでローマの法律を無視することになる。どちらにしても前者は法律違反者、後者は反逆罪で告発できるのだ。また、姦淫の罪は男女両方が裁かれるのに、この時、女だけがとらえられているのをかんがえると律法学者とパリサイ人の罠とも思われる。

イエスは身をかがめて、指で地面に書いておられたが、彼らが問い続けてやめなかったので、身を起こして言われた。「あなた方のうちで罪のないものが、最初に彼女に石を投げなさい。」とイエスが言うと、年長者たちから初めてひとりひとり出ていってだれも彼女を裁けなかったというお話。

この時の女の気持ちはどうだっただろう。衣服も乱れていただろうし、相手はいない、今まさに石で死ぬまで打たれるか話し合いがもたれている。恥ずかしさと心ぼそさはやがて恐怖に変わっていく。律法学者、パリサイ人は女の命をもののようにしか見ていないのだ。女は地べたに投げ出されていたかもしれない。だから絵を見たとき違和感があったのだ。

このはイエスと姦淫の女を中心に周りに3人の律法学者、パリサイ人が立った状態で描かれている。姦淫の罪でとらえられた女は凛として顔つきも何か強さが感じられる。キリストと女の顔だけが光るように描かれていることから正しさを強調したかったのだろうか。なんて思ってしまった。


「エジプト逃避途上の休息と聖ユスティナ」ロレンツォ・ロット

東方の3博士からユダヤ人の王としてお生まれになった方を拝みに来たといわれたヘロデ王は恐れ惑って、場所を突き止めるように言い3博士が戻らないと知ると、ベツレヘムとその近辺の2歳以下の男の子を一人残らず殺すように命じる。あらかじめ天使が夢でヨセフに現れてエジプトへ逃げなさいと知らせていたのでこの聖家族はエジプトへ逃げていたところだったのだ。聖書には聖ユスティナの記述はないが、この絵には6世紀、迫害によって剣で胸を貫いた聖ユスティナが組み合わされている。ユスティナは胸に剣が突き刺さった状態で描かれている。鮮やかな色調の絵。


「聖カタリナ」ベルナルディーノ・ルイーニ

穏やかな顔の聖カタリナ、彼女の後ろにいる愛らしい幼児の天使。(天使のほほえみがなんともかわいらしい。)
しかし、あれ、これダヴィンチの作品じゃないの?と思うほど似ている。ルイーニのことを調べたらダヴィンチに影響を受けた人で、ダヴィンチと一緒に仕事もしたことがあるらしい。


「聖家族と洗礼者ヨハネ」バルトロメオ・スケドーニ

母マリアに抱かれているキリストを見守る洗礼者ヨハネと父のヨセフ。暗い中で暖かな柔らかい光が聖母子を中心に絵全体を包んでいる。
赤ちゃんのキリストの表情がかわいい~!


「若い女性の肖像(横顔)」ソフォニスバ・アングィソーラ

花が入った花瓶を持った若い?女性の肖像画。この絵を見てすごいと思ったのは洋服の装飾。ヴィクトリア調?の装飾だろうか?実に細かい模様で金の糸?の刺繍が施されているのがわかる。


17世紀・バロックへ続く。。。。



セザンヌ展

2012-05-28 09:05:53 | 
土曜日、ダンナと一緒に新国立美術館に行ってきましたよ。

初めはダンナが会社で当たったセザンヌ展のチケットがあったのでセザンヌ展を見にいったんです。でも同じ場所でやっているエルミタージュ美術館展が面白そうで、これも見たい!ということで今回は美術展のはしごなのだ。

セザンヌって学校の美術の教科書必ず乗っているイメージで今までちゃんと見たことがなかったかもしれない。

初期のセザンヌ作品の中でひときわ引きつけられた作品は、「四季」と名付けられた作品。「セザンヌってこういう絵もかくんだ」と意外だった。それぞれに女の人が描かれており、ひとりひとりの女の人に四季のイメージを象徴している。とても明るく繊細な感じを受ける。

また、風景画もよかったなぁ。風景画の部屋は緑一色、部屋の入り口には 「緑はとても快活な色で 目に最も良い色」とセザンヌ自身の言葉が書いてあったよ。本当に緑は、ああ、落ち着く・・・・。


私が風景画の中で一番好きな絵が、「首吊りの家・オーヴェール・シュル・オワーズ」。
題名はなんだか穏やかではないけれど、絵は穏やかで日の光が当たっている明るい田舎町の様子が描かれている。

またフォンテーヌブローの森!私はこの題材がすきだったなぁ。
緑豊かな森。その中の大きな岩場。繊細というよりは何度も筆で色を重ねた荒々しさとも違うセザンヌ独特の重厚な感じをうける。

またサント=ヴィクトワール山の絵は山の線、木の枝の線、道、など、見るものの目をいざなうように計算されて描いているような印象を受けた。というのも、私はとある出版社の通信教育の絵画スクールでプロッフェッショナル・アート・コースを3年間学んでいたことがあるのだけれど、その時にこういった技術を学んだことがある。そういった技法はセザンヌによって構築されたのかしら?なんて思ってしまった。


そして肖像画。プロヴァンスで描かれた農夫や庭師の肖像が特によかった。なんだかセザンヌのプロヴァンスでの生活が垣間見える感じ。頑固というイメージのセザンヌだけれども、プロヴァンスの素朴な人たちとの交流もあって、割と周りの人に好かれていたのかもしれない。(庭師のヴァリエは晩年にも作品に描かれている。)

そして、忘れてはいけないのがやっぱり静物画!セザンヌと言ったらやっぱり静物画なんだな。

「りんごとオレンジ」
この作品は静物画なのにとても華やか!絨毯の模様とか果実の色彩、布のしわなどで洗練された感じの絵になっている。

セザンヌが制作した1000点もの油彩画の中で、静物に関するものは約200点にもおよぶとか!そして「私は1つのりんごでパリを驚かせたい」と言ったとか!独自の造形に対する探究心はすごいね。

今度のセザンヌ展は依然のイメージががらっと変わってしまうところもあってそういった意味でいい機会だったな。


そしてエルミタージュ展へと続く・・・。