おとのくに♪♪

生徒さんのピアノレッスンで感じたこと、考えたこと、コンサートの感想などポツポツ綴っています。

楽譜の種類(Edition vol.2)

2019年12月26日 | エディション研究
エディション研究スタート!

まずは楽譜の種類について。

どの版を選ぶかという前に、その版が何をもとに作られているかを知ると信頼度が変わってきます。
出どころがわからないこともあります。おおもとに遡っても、それ自体が判別不可能な場合もあります。

何を言っているんだろうと思われるかもしれませんが、GO,GO!
   
楽譜は全部で7種類あります。

①自筆譜Autograph
作曲者自身が直接書き下ろした楽譜
(音や装飾音等、不明な点があった場合直接自筆譜を見る)

②筆写譜Manuskript
おかかえの写譜家、信頼のできる者(ex.弟子)、その当時の誰かが書き写したもの
(自筆譜が存在しない場合参考にする)

③初版譜Erstdruck
それまで自筆または写譜の形で伝えられた作品の最初の出版
(一般に初版はミスが多いが資料として重要)

④ファクシミリ版Faksimile
①または②を写真で復元
(自筆譜が直接手に入らない場合利用)

⑤原典版Uetext
①②③を基に可能な限り忠実に作曲者の意図を再現したもの
(作曲者の意図するものを理解するときに利用)

⑥批判版kritische Ausgabe
原典版の一種で、新しい資料などにより古い原典版に批判を加えて校訂したもの 校訂報告を添える

⑦実用版Praktisch Edition
アーティキュレーション、ディナーミク、フレージング等、校訂者の主観が入ったもの
(自分が演奏する場合にすぐに利用できるが、ひとつの演奏解釈の例として参考にする)
   

この中で実際に私たちがよく使うのは原典版と実用版です。
自筆譜にお目にかかれるのは研究者や一部の演奏家くらいなものです。
ファクシミリ版でしたら私たちでも見ることができます。

初版譜は自筆譜もない、筆写譜もない時に頼りになりますが、ショパンのように3国同時出版で(フランス、ドイツ、イギリス)その段階で既に国によって異なることがある場合困ります。巻頭か巻末にある校訂報告でそれらは報告されています。

ファクシミリ版を見ると作曲者の熱が伝わってきます。
ベートーヴェンは面白いです。

書いたものをワーッとぐちゃぐちゃに消し、右手と左手を反対に書き直し、それもワーッと消し、結局余白に自分で5線を書いてもとに書いたものに戻る、というのを見たことがあります。
ペンの勢いも感じられ面白いものです。
コメント
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