おとのくに♪♪

生徒さんのピアノレッスンで感じたこと、考えたこと、コンサートの感想などポツポツ綴っています。

クリスティアン・ツィメルマン リサイタル 2021/12/04

2021年12月04日 | コンサート情報

ツィメルマン、聴いてきました。



今年は若いピアニストの演奏ばかり聴いていたことを、
彼の演奏を聴いて気付きました。

音の熟成度がやはり違うな、と思いました。

若いピアニストの演奏も十分に堪能し、満足していましたが、
やはり違うものだと思いました。

バッハのパルティータの、羽のような軽やかな音。
こういう音は、今年は初めて耳にしました。

自分の身まで宙に浮いている感覚。

そしてツィメルマンは、ピアノという楽器で
パルティータを演奏している感覚ではないのでは、と思いました。

ブランデンブルクを聴いているようでした。
アンサンブルのようでした。ツィメルマンは指揮者。


休憩後のブラームスが、筆舌に尽くしがたい素晴らしさ。
Op.117ですが、この2曲目が最高でした!

久し振りに、ツィメルマンの凄さを目の当たりにしました。

聴いていて、可笑しな例えですが、
三途の川を渡る時に聞こえてくる音のようだ、と。

この世のものとは思えない音。
ヴィルサラーゼを聴いた時のような感覚に近かったです。

魂が浄化されていくようでした。

ブラームスを聴き始めた時に、
これも彼の頭の中ではピアノではないのだろうと感じました。

ショパンのコンチェルトを弾き振りした録音がありますが、
あれほどオーケストラを自由に操れるほどの
指揮者としての力がありながら、
彼はずっとピアノ一筋。

否定する意味ではありませんが、
指揮活動に手を出したり、
活動をそちらに移行したりするピアニストもいます。

しかし、ツィメルマンは、ピアノで全てを表現したいのだと、
そう考えているのではないかと、今回聴いていて感じました。

それだけ、ピアノに愛着がある人なのだろうと。
私は今でも、彼の音を聴くとピアノという楽器に憧れてしまいます。

それが何故なのか。

きっと、彼のピアノへの想いが
私には尊いものに感じるからではないかと、
そんなことを今日は思ったのでした。


ステージに現れた彼は、いつもの燕尾服。
これを守り通していることに、なんだかホッとしたりして。

日常ではない所にある感じがして、
むしろ、新鮮に感じました。
コメント
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