LDの定義をわかりやすく言うと、次のようになると思います。
■□━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━□■
知的な能力に大きなつまづきがないものの、
・聞いたことの理解が難しい
・話したいことがうまく表現できない
・文字の読み書きが苦手
・数の大小がわからない、繰り上がり・繰り下がりの計算ができない
・図形や時間の流れ、文章のストーリーをたどることが苦手
■□━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━□■
このような子どもたちの頭の中では、何が起きているのでしょう。
聞いたことがわかっていないからと言って、話を聞いていないのか!なんてことにならぬよう、最初の2つについて少し解説をしたいと思います。
¨¨¨¨¨¨¨¨¨¨¨¨¨¨¨¨
聞いたことの理解が難しいのは
■□━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━□
・長い質問を覚えていられない
・耳から入る情報処理能力が弱く、行動が遅れる
□━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━□■
話したいことがうまく表現できないのは
■□━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━□
・話したいけれど、どのような言葉でどの順番で話せばよいのか頭の中で整理がつかない
・話し方がおかしいとからかわれた経験が原因で、言葉を発することに抵抗を覚えてしまうケースがある
□━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━□■
¨¨¨¨¨¨¨¨¨¨¨¨¨¨¨¨
学校では、授業が何時間目で何の教科かなかなか思い出せない、忘れ物が多い、机や椅子をガタガタ動かしたり他のことに気を取られている、ボーっとしている、ということが見られますが、これも理由があります。
授業中に何の教科を勉強しているかという意識を持ち続けることが苦手だったり、忘れ物をしないという気持ちを保つことが難しい、先生の話が理解できず課題に取り組めずにどうしていいかソワソワしている、気が散りやすい環境に置かれている、といったことがあります。
ボンヤリしている子に怒鳴ったり、なぜ集中できないか追求したり、長々と説教したりすることは逆効果です。本人も集中することが出来ないことを悩んでいる場合が多く、攻めると自信を失わせます。
心理的に追い込まないよう接することが必要になります。
他の子が出来ることが出来ないので不安な気持ちでいます。
自信を失ってばかりいると自分を肯定的に認める気持ちが育まれず、自暴自棄になったり、周囲に反抗心を抱いたりしてしまうことがあります。
叱咤激励は禁句です。励ましたり叱ってできるものではないので、問題の根本を考えて対応する必要があります。ひたすら反復練習させても成果は上がりません。
本人の努力で出来そうな課題を設定して、それができたら大いに褒める。本人にひたすら努力を求めるより、手掛かりやヒントを与える、口頭による指示だけでなく見て分かるようにすること。
LDはこちらが方法を考えれば対処できます。
一般的に取られている対処法は別の回に書きたいと思います
¨¨¨¨¨¨¨¨¨¨¨¨¨¨¨¨
さて、LDの詳しい種類についてここまで全く触れてきませんでした。
代表的なものは、読字、書字、計算の障害になりますが、その他にも教育的領域から見ると存在します。
これが私が本を読んで勉強した頃、わけがわからなかったことです。
本によって障害の名称も種類も異なっていたからです。どれが本当なのだろうと思いましたが、どうやら統一されていないようです。
また、発達障がいがひとつずつ区切ることができないように、LD自体もそれぞれ関連しあっています。
一応、LDにどのような種類があるか、ここに挙げておきます。
読字障害・書字障害・計算障害・空間認知障害・表出性言語障害・聴力障害・記憶障害・運動能力障害
空間認知障害を「推論することが苦手」、運動能力障害を「不器用」と表しているものや、これをLDとはせずに発達障がいのひとつのカテゴリーとしているものもあります。また、聴力障害と記憶障害を表出性言語障害に含めているものもあります。
¨¨¨¨¨¨¨¨¨¨¨¨¨¨¨¨
これら全てのLDについてこちらに書くことは致しません。
ピアノレッスンに関係すると思われるものを選び、書くことにします。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
参考文献
『発達障害のある子へのサポート実例集 小学校編』
上野一彦 月森久江 著/ナツメ社/2010年
『怠けてなんかいない!セカンドシーズン2 あきらめない読む・書く・記憶するのが苦手なLDの人たちの学び方・働き方』
品川裕香 著/岩崎書店/2010年
『じょうずなつきあい方がわかる LD学習障害の本』
宮本信也 監修/主婦の友社/2009年
『こんなとき、どうする?はったつしょうがいのあある子への支援 幼稚園・保育園』
内山登紀夫 監修/ミネルヴァ書房/2009年
『健康ライブラリー AD/HD,LDがある子を育てる本』
月森久江 監修/講談社/2008年
『健康ライブラリー LD(学習障害)の全てがわかる本』
上野一彦 監修/講談社/2007年
『LD(学習障害)とディスレクシア(読み書き障害)子どもたちの「学び」と「個性」』
上野一彦 監修/講談社/2003年
『うちの子、なんかちがう?学習障害(LD)とその周辺の子どもたち』
上野一彦 監修/小学館/2003年
『学習障害 発達的・精神医学的・教育的アプローチ』
齊藤久子 監修/プレーン出版/2000年