赤いクマさんの楽譜にチャイコフスキーの「眠りの森の美女」のワルツが載っています。
連弾になっています。
今週、この曲を両手にしてきた生徒さんが1小節弾くのにやっと弾いている状態でした。
弾けない方ではない生徒さんなのですが、右手メロディー・左手伴奏というザ・定型というスタイルに手こずっておりました。
開始早々止めさせてもらい、「メロディーの音名を頭の中で歌ってる?」ときくと、首を横に振りました。
「一音一音縦に合わせてるの?」
今度は頷きました。
おー、なぜこのようなことになってしまったのか。
私の教え方に問題があったのだろうと思います。
先月から初心に戻り、ソルフェージュの本を初級の生徒に買ってもらい、両手のリズム打ちも確実に実行することにしました。
実は不思議の教本を使う前まではしていたことなのですが、この教本を使うようになってからは、この本で歌もリズムも足りるだろうと考え、やらなくなっておりました。
しかし、どう考えてもその辺りの力が皆不足しています。
このままではやはり不味い・・と思い、レッスンの最初にパパッとすることにしました。
それで、おや?と気付いたのですが、ソルフェの歌で同じ音が続くのにピアノ伴奏に釣られて一定に保てない生徒が意外に多いのです。
しっかり音程を保てる生徒もいますが、そうではない生徒の割合が昔より多い。教本では必ず歌ってきたのですが・・
「眠りの森~」を弾いている生徒さんも、伴奏に釣られて音程がフラフラします。
今頃ですが、もしかしたら小学校低学年の時にコロナ禍で学校で歌えなかった子たちがわりとそのようなことになっているので、関係しているのかな・・と思ったりしています。
ま、私のレッスンに問題があったことは確かです。
昔、前の先生からの引き継ぎで、ツェルニー30番、ソナチネを弾いていた20代後半の大人の生徒さんがいました。
毎週よく練習をして来られ、「よく練習されていますね。1週間でいつもちゃんと弾けるようにされてる」と言いましたら、
実は1週間でこの状態にして来るのがいつもたいへんだと。本当にたいへんなのだというので、
「指もよく動くし、何の問題もないように見えていました」と言いましたら、
楽譜を見てどんな曲か音が頭に浮かんでこない、音感がない、と。
「へ?そうだったんですか・・・」と驚きました。
それじゃ本当に苦労されているだろうとその話で初めてわかりました。
それで、ご本人が1年間ピアノは全く弾かなくて良いから、音感を付けることをしたいと。
それで、1年間みっちりとソルフェージュと聴音と初見をしました。
ソルフェは3冊、聴音は2冊、初見はヤマハグレードの課題6級まではしたと思います。45分レッスンでした。
大人になってから始められた方なので、どこまで出来るか分かりませんでしたが、1年間続けてみましたら、
以前より楽譜を見て音が頭に浮かんでくる、
どんな曲か少し分かるようになった、
ピアノの曲も前より弾けるのに時間がかからなくなった、と。
大人になっても、ある程度の音感は付けられるのだと知りました。
もちろん絶対音感ではありません。そのようなものはなくとも音楽は出来ますし、ヨーロッパではそのようなものを持っている人はほとんどいません。
今いる子どもの生徒たちは、まだ全然間に合います。
短いレッスン時間で優先させたいものの選択はいつも悩みますが、今回の経験で、この2つは外せないなと思いました。
短い時間でも特別に時間を割いてやらなければ、です。
当たり前ですかね・・