おとのくに♪♪

生徒さんのピアノレッスンで感じたこと、考えたこと、コンサートの感想などポツポツ綴っています。

直せる条件

2024年10月17日 | 重力奏法

最初に習ってしまったものを直すことは大変なことです。


指の力みなく、腕の重さを使って弾くピアノの普通の奏法を初歩の段階でちゃんと習わずに来てしまった人は少なくないかもしれません。


見る人が見ると、痛々しいです。


これを何とか直そうと試みるのですが、結局直せた人は、私の所では7年で2人だけです。

この2人は、一人は思いっきりハイフィンガーで指の力だけで弾くよう習ってきた生徒、もう一人は元々力みやすく指があちこち向いていた生徒です。


2人とも、真面目に練習をする生徒さんです。

ハイフィンガーの生徒さんは、先生のおっしゃることを忠実に守って練習を1年間頑張り続けたそうです。

1年経って、お母様がこれは何かおかしいと思い、教室を変わられました。


力みやすい生徒さんは、3カ月しか習っていませんでしたが、弾き方を教わらず、とにかくたくさん練習をした生徒さんでした。


2人とも「不思議な音の国 下巻」から始めました。


3年頑張りましたが、もう無理かもしれないと私の方が諦めました。

ところがそこから半年くらい経ち、急に力みが取れ、伸びのある音、歌うような音が少しずつ聞こえ始めました。


この2人に共通することは、いつもレッスンにお母様が同席してくださり、お家での練習も注意を促して下さったこと、そして、2人とも素直に直そうと思ってくれたことです。


これがなければ直すことは難しいのだと思います。



人間は覚えたことは忘れるようにできています。1時間も経てば半分は忘れます。

24時間以内に復習をするとまた思い出せるようですが、ピアノは運動の要素も必要ですので、知識として覚えるだけでは足りません。


頭だけでなく、体をコントロールする必要があります。

とても小さなお子さんが一人で出来ることではありません。
絶対に親御さんのお力が必要なのです。


そばで励ましてくれる存在として小さなお子さんには必要だと思います。


(思い出したのですが、今年の6月下旬に実家に帰省し、屋根のペンキ塗りをしたのですが、その日は市の駅伝大会がありました。九州や関西、関東の大学も参加したもののようでした。
ペンキを塗っていたので走っている姿は全く見ていないのですが、声は聞こえていて、その時に選手の後ろを走っているであろうチームの車からスピーカーで「いいよー。できるよ、できる!いいペースで走れてるよー」
なんて声が聞こえてきて、今どきは青学のあの監督の様な声掛けが流行りなんだな、なんて思っておりましたら、結果発表が防災無線で聞こえてきて、2位青山学院大学B、と言っていました。
なんだ、ご本人だったのかと笑ってしまいました。)



選手の後ろから励ましの声を掛けてくれるあの監督の様な存在が、お家での親御さんの役目です。

奏法を直すには、講師一人の力では絶対に無理なのです。


一音に3年かける、と言いますが、一人でレッスンを受ける生徒さんにも私は3年は諦めずにレッスンしてきました。

しかし、この7年で直せた生徒さんを振り返ると親御さんのご協力の有無が関係するとの結論に達しました。


もう無理だと思った生徒さんには、時々「この方が音が綺麗になる」とは言いますが、直すことはしません。

最初から私が教えていても、レッスンでしたことをすぐに復習をするお家とそうではないお家は大きな差が出ます。

レッスン日から5日も経って初めてピアノを弾くと、完全忘却の状態になっていますので、弾き方なんて思い出せません。

とりあえず、音符だけ弾いていこうになります。
毎度、完全忘却で音符も読めない人もいます。


私が毎日生徒さんの家に「練習の時間じゃない?」と声を掛けては回れません。

今は生徒さんにも、お迎えの親御さんにも、明日までに必ず10分弾いて下さい、と言っています。

プリントや教本のワークは皆よく忘れるので、「帰ったらすぐこれだけはやって」と言います。


「どういう曲か忘れた」はレッスン日から5日間はノータッチでした、の証です。

その繰り返しは確実に不毛を招きます。


奏法を直すのはただのレッスン以上のことをしているということなので、これが可能なご家庭かは冷静に見る必要があるかもしれません。



パソコン以外でブログを読んでくださっている方は、白い画面に文字がズラズラと並んでいると思います。画面の一番下までスクロールして頂くと、パソコン版で見る、があると思います。

そちらをタッチして頂くと少し読みやすい画面になると思いますので、お試しください。




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