
魔物。辞書を引くと「人をたぶらかすあやしい力をもつもの」とある。
定義としては、まぁ、こんなところだろう。
「天使のように大胆に、悪魔のように繊細に」良く耳にする話だが、アタリマエのことだ。
天使は実体化しても、嫌われることもないし、歓迎されこそするが撃退されることなど、ない。
悪魔は近づいてくれば誰もが逃げるし、あらゆる手段によって撃退される立場だ。
即ち、悪魔による繊細な隠蔽された仕掛けを分析・対策し、リスクとして管理した上で、何もキケンがないかの如く振舞え、という訓えだと解釈している。
宗教的なものは、ともかく、どうやら彼ら(魔物)はそれぞれ得意な分野があるらしく、色んなところに、いる。接触する者を飲み込もうと待ち構えているようだ。
路上に潜むヤツ。
彼は、自分の頭上に張った罠を踏み抜く者を、ひたすら待ち続けている。
信じてはいけないモノを信じさせようとする。「ここはイケる」「ダイジョウブ」だ。この魔物は、事象を誤認に導く時もあるし、瞬間の判断を本来のそれとは全く異なる方向に作用させたりする。
ひとたびソコを踏み抜くと、誤認や誤判断によって発生するリスクマネジメントがモノを、言う。リスクが見込まれていれば、ヒヤリとさせられる程度で解放されるが、それがない場合は、彼の元に召喚されるハメになるだろう。
彼にはできるだけ、会いたくないものだ。
身近なトコロで、オレの心の深底にも、いる。
コイツとは長い付き合いだ。時折、顔を出して、俺に囁くのだ。出てくる時は俺のアグレッシビリティと連動することが多いが、不随意なもので、アタマにキてても、いつも出てくるワケでは、ない。平静時に見かけることも、ある。
格闘技に耽溺していた頃は、年中、見かけたが、最近は特定の時だけだ。
月夜の経験が、恐怖となって、彼の出口にフタをするようだ。
んで、時折、コチラから、彼に、会いに行く。
アクセルをヒジいっぱいに絞り、水流を遡るような大気を突っ切っる先に、彼はいる。
大脳の表面を、彼が舐めるように、かつ、水のように這い回る。
落ち着いた、低い、彼の声が聞こえてくる。「もっと、イこうぜ。オマエにはヤれるんだ。」
肯定も、否定もしない。彼の囁きにうなづくことは、死を意味している。
否定することは、オレの望むことではない。
オレの自我は一層、強く覚醒していく。彼と相見える意味を再び確認しながら。
オレは、彼が、好きなのだ。深く、愛していると言い切ってもいい。彼に会うことで、オレは自分の真摯な、生に向かって生きる様を、自らが認めていたいのかもしれない。
あ、我が家にも、髪の長い魔物が1匹いて、コイツが一番、コワイ。







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