1976年
巨人の新しいスター候補生、藤城、赤嶺の入団が決まった。夢を抱いて巨人のユニホームを着るルーキーたちとは対照的に、さびしく巨人を去っていく選手たち・・・。大竹、大本、谷山、魚、岡が自由契約を言い渡されてから一か月が過ぎようとしている。このうち現在落ち着く先が決まったのは岡ただひとりだ。浦和にある実家で家業の医療機械の製造を手伝うことになった。「父も後継者ができたといって安心してくれています。入団したときから、やめたときには家を継ぐ約束だったから、別にとまどいはなかった」帰る場所があった岡は幸せな方だろう。一時はユニホームを脱ぐ決心をした大竹は「まだまだやれる」の周囲の声に励まされ、日本ハム・福田コーチ(元巨人)のつてを頼りに「新天地でもう一度、がんばってみたい」と最後のチャンスにかけている。他球団で再びボールを振り、バットを振れる可能性のある選手はまだいい。大本は入団した昨年の夏、右足を脱きゅう、今年はキャンプで背筋痛を起こし、夏場の東北遠征でガラスの破片が太モモにつきささる事故に見舞われて二年間満足なシーズンを送れなかった。それだけに「もう一度実力を試してみたい。でも実績がないから、どこもとってくれないだろう・・・」大本はそういいながらも一分の可能性を求めてどこかの球団のテストを受けるつもりだという。十一日に故郷の富山県新湊市で結婚式を挙げる魚。いちおう大洋への話をすすめているが、もしこの話が破談になれば行き先は・・。実力だけが幅をきかせるプロの世界。入団の時にはチョウよ花よともてはやされても、力がなければ相手にされない。一軍での経験があり、長島監督からも将来を嘱望されていた谷山は「どこかほかの球団へ行っても、どうせまた二、三年でやめなきゃいけない。それなら若いうちに堅実な道を選んだ方がいい」とユニホームへの未練を断ち切って、運動具店への就職を求めて走り回っている。勝負の世界はきびしい。
巨人の新しいスター候補生、藤城、赤嶺の入団が決まった。夢を抱いて巨人のユニホームを着るルーキーたちとは対照的に、さびしく巨人を去っていく選手たち・・・。大竹、大本、谷山、魚、岡が自由契約を言い渡されてから一か月が過ぎようとしている。このうち現在落ち着く先が決まったのは岡ただひとりだ。浦和にある実家で家業の医療機械の製造を手伝うことになった。「父も後継者ができたといって安心してくれています。入団したときから、やめたときには家を継ぐ約束だったから、別にとまどいはなかった」帰る場所があった岡は幸せな方だろう。一時はユニホームを脱ぐ決心をした大竹は「まだまだやれる」の周囲の声に励まされ、日本ハム・福田コーチ(元巨人)のつてを頼りに「新天地でもう一度、がんばってみたい」と最後のチャンスにかけている。他球団で再びボールを振り、バットを振れる可能性のある選手はまだいい。大本は入団した昨年の夏、右足を脱きゅう、今年はキャンプで背筋痛を起こし、夏場の東北遠征でガラスの破片が太モモにつきささる事故に見舞われて二年間満足なシーズンを送れなかった。それだけに「もう一度実力を試してみたい。でも実績がないから、どこもとってくれないだろう・・・」大本はそういいながらも一分の可能性を求めてどこかの球団のテストを受けるつもりだという。十一日に故郷の富山県新湊市で結婚式を挙げる魚。いちおう大洋への話をすすめているが、もしこの話が破談になれば行き先は・・。実力だけが幅をきかせるプロの世界。入団の時にはチョウよ花よともてはやされても、力がなければ相手にされない。一軍での経験があり、長島監督からも将来を嘱望されていた谷山は「どこかほかの球団へ行っても、どうせまた二、三年でやめなきゃいけない。それなら若いうちに堅実な道を選んだ方がいい」とユニホームへの未練を断ち切って、運動具店への就職を求めて走り回っている。勝負の世界はきびしい。