フォーム・・右投スリークォーター 球種…シンカー
1955年
なんのかんのと強気なことをいっていても第一線に力の差をみせつけられた南海は技心両面において完全な受身であった。この劣等感を吹き飛ばして精神面で五分と五分にもっていったのが飯田のホームランである。その意味からこの一撃はまさに値千金、南海はここから勝利の道を見出したといえるのだ。そしてこの道を間違えなく案内したのが小畑の好投であった。小畑の試合前のウォーミング・アップをみた蔭山が「きょうは普通以上の調子で、あの調子をマウンドにもっていけば相当いける」といっていたように、小畑は巨人打線を恐れず、一回南村を抑えるときに不敵な笑いを浮かべたほどの度胸のよさ、この南村をストレートの四球に歩かせたときも少しも動揺していなかった。それが平井に対する初球のシンカーとなり投ゴロで巧く併殺、二回にも四球の走者を投ゴロに併殺で退けた。スピードには特に注目すべきものをもっていなかったが、このシンカーは球速の不足を補うのに十分であり、巨人は最後までこのボールになる球に手を出していた。
1955年
なんのかんのと強気なことをいっていても第一線に力の差をみせつけられた南海は技心両面において完全な受身であった。この劣等感を吹き飛ばして精神面で五分と五分にもっていったのが飯田のホームランである。その意味からこの一撃はまさに値千金、南海はここから勝利の道を見出したといえるのだ。そしてこの道を間違えなく案内したのが小畑の好投であった。小畑の試合前のウォーミング・アップをみた蔭山が「きょうは普通以上の調子で、あの調子をマウンドにもっていけば相当いける」といっていたように、小畑は巨人打線を恐れず、一回南村を抑えるときに不敵な笑いを浮かべたほどの度胸のよさ、この南村をストレートの四球に歩かせたときも少しも動揺していなかった。それが平井に対する初球のシンカーとなり投ゴロで巧く併殺、二回にも四球の走者を投ゴロに併殺で退けた。スピードには特に注目すべきものをもっていなかったが、このシンカーは球速の不足を補うのに十分であり、巨人は最後までこのボールになる球に手を出していた。